異能バトルは日常系のなかで 第12話

 何気に前回の、中二病を患ってない中学時代の主人公のあり方が効いてるな。
 なんか逆に、ではなぜ高校生になってあれほどバカにしていた中二病にわざわざ罹患するのかというのが気になる。で、やはり全体を振り返ると、主人公は安藤というよりヒロインズという気がする。
 で、これも気になるのが精霊戦争の唐突さであって、やはり以前も述べたとおり、精霊戦争はネタであって基本的には要らないものだと思う。この作品世界における異能というのは、結局のところ趣味の一種であって、主人公とヒロインズは同好の士の集まりというかインナーサークルというか、秘密結社的な何かとでも言うべきで、ドラマの大半はラヴコメでしかない。自分的な理解でいえば、オンラインゲームのオンの部分が異能であり、オフ会の部分が日常パートであると考えるのが近いのかも。但しオンラインゲームは実プレーヤーは分散しているのが常であって、それだとメインキャラの絡みが描けないからオンとオフの境界をなくしてみましたってところか。まぁこの作品ではあまりにメインキャラとその他の人間との関わりが薄すぎるし、ましてや精霊戦争パートのキャラとの関わりも皆無といっていゝほど無い。この最終回でも主人公に、異能は自分が格好いゝと思っていればよいのであって、対外的に使うなという趣旨のことを言わせてるわけだし、そこは作者が異能は中二病と繰り返しているだけの事はある。この作品で面白いのは、ではその異能に関してメインキャラがすべてそれに対してノリノリか?と言われると、本筋で理解があるのは灯代だけであって、彩弓は理解はあるが方向性がちょっと違い、千冬はどっちでもよくって付き合いがよく、鳩子に至ってはまったく理解していないという構成。組織をつなげているはずのテーマに関してこれだけメムバーの理解度がバラバラなのに、なぜ組織が維持できているのか…というのが投げかけられている事柄であり、それがわかりやすく示されているのが恋愛要素であって、その辺は主人公の人間的魅力に尽きていると思う。しかも彼自身は異能に関しては全くの無能であって、じゃぁ能力が無いからまとめ役として不適格か?と言われると、まったくそんなことはなく、いや結局のところ組織をまとめるのにいわゆる、仕事の技術・能力が高いというのは必須ではないという結論になる。原作はともかくアニメ版を眺めてみたところそういうことを示したかったに違いないと思った。いやいやまわりくどいよねとは思うが、こういうスタイルが入り口であるようなターゲット層に無意識に仕込むという点ではなかなか良く考えられているとは思った。こう、なんていうか、仕事は全くできないんだけど、従業員に対して面倒見がよくって、人を使うのがうまい社長って感じなのだわ。そして例えば鳩子なんてのは、別に仕事内容に興味は全く無いんだけど社長の人柄に惚れて入社したらいつのまにか業務について勉強でもしてみようかみたいな従業員みたいなもんで、そういやこういう構造を持った物語って昔は結構あったような気がしないでもない。
 というわけで、ラノベ原作で、扱う内容がファンタジーであって、いかにも萌えアニメフォーマットだからそうそう期待はしていなかったのだけども、そうバカにしたもんでもなかったなというところ。とはいっても、異能の処理が一般化が十分でもない(いや、別に無理に一般化する必要もないが)し、かなり人を選ぶ作品なので、そのへん微妙というのが正直なところ。原作者は別にこれより(自分にとって)面白い作品は書けるんだろうし、こゝまで俗に振らなくても直球で…とは思うんだけど、それだと埋もれてしまうし難しいところだわな。面白いというには複雑な気持ちだけど、自分にとっては楽しめた作品でした。おもろ。