神様はじめました 第1話

 シンシって神使なんだ…。
 ぎんぎつねのときはずっとわからずじまいだったのだが、IMEの日本語変換でも出なかったので、「紳士」なんだろうなぁと思いつゝ、なんか違うと思っていたが腑に落ちた。
 さて、タイトルからしてそのぎんぎつねだのといったどちらかといえばほのぼの日常系のものだと思っていたんだけど、実は女の子向けアンジェリークタイプなのかとちょっと期待はずれな気持ちで視聴していた。
 が、
 結構面白い。後から構成を考えると支離滅裂な部分もあるんだけど、基本的な物語(昔話)の構造に則っていて、結構感心させられる。まづ、主人公が危機的状況にあるということ。住むところがなく…というのは、物語(主人公)をドライヴする要素としては鉄板だが、日常を否定する役割を持つ。人助けでおかえし(家をもらえる)というのも一つ。新世界で一通り過ごすのも一つ、物の怪の世界に踏み入れるというのは一つのイニシエーション(共同体に認知されるため自ら試練を求める。一つ目や鬼婆に追いかけられるのも共同体による試練(大したことはないのだが))。試練の際の3つのお願いも物語によくある形で、しかも2つを無駄にし、最後の1つがキモであることも物語のテンプレ。絶体絶命のときに、主人公の機転が示されるのも物語の要素。
 まぁそういう物語のテンプレにしたがっている(剽窃している)といっても、コメディタッチでそれを感じさせない作りになっているのがまた面白い。で、参詣者の願いが聞こえるというシーンをはさんで、ちゃんと主人公が土地神になる(クライマックスでチューをする)動機をぬけぬけと仕込んでいるのも憎らしい。ヘンな話、この第1話だけでも「その後主人公は土地神として仲良く暮らしていきました」で終わってもおかしくない完結した作りになっていて、決して次回のヒキで視聴者に媚びるということがない。この1話で満足できるんだよね。周辺の描写が乏しいけど、むしろこれだけ詰め込んでいるから敢えてやらなかったと考えるべき。
 というわけで、原作も魅力がある作品なんだろうけど、エンドロールで大地丙太郎の名を見て納得。こりゃジャンルがどうのってんじゃなくて目が離せない作品になりそう。