ぼざろ#12

 ステージ映像と演奏時のトラブル回避と後日譚。まぁこんなものかなといったところ。なんかはてなの増田に主人公が陰キャのまま成長してなくてよかったとあるが、最後も最後のシーン、ボヤきながらもバイトに行くのは、結束バンドに誘われる前の彼女にしては大いなる前進なのであって、あれを成長と見られないのはさすがに…といったところ。
 視聴を終えてちょっとした時間をおいて振り返ってみると、物語全体ではそう大したことを言ってるわけでもないなという感じなのだけども、最近の流行の要素をふんだんに盛り込んで、個人としての成長、関係性の構築、自分の将来に対する不安、趣味としての紹介部分、コメディとしての緩急の巧みさなど、もうホントにバランスが優れてて視聴してる最中の没入感はすごかったという感じ。
 なんつーか、小鼠改革による非正規雇用の常態化に始まり、アベによるモラハザ、岸田による国民負担倍増からの庶民のさらなる窮乏化の真っ最中、もう学校でまじめに勉強したところでせいぜい低学力層はおろか、中程度の学力ですら安定雇用にありつけるかどうかみたいな局面に来てるので、そこで低待遇でも堅実な方法を取るべきか、一発逆転も夢見てやりたいことを極めるのか、どちらが正しいのかよくわからん感じになってきてるから、こういう夢物語を提示するのも正直分からん感じ。ただ、これは元々が若者に夢を見させる類のものではなく、成り上がりストーリーはあくまで媒体であってコメディが主体だろうし、アクアトープのようにいくら3K職場とはいえ水族館勤務とか職業ガチャでSSRを引き当てるほどの幸運でしょみたいなのとは全然性質が違う。そのへん現実と妄想の区別がつかないって読者もいないだろうし、単純に笑い飛ばすような作りになっているので間違えようもないんじゃないかな。日常でもなくかといって非日常でもない、そういうバランス感覚はきらら枠ならではといったところか。