現国アニメ#1・2

 異世界転生して内政を行うお話。#1視聴後に久しぶりにエンドロールで雑破業の名前を見たような気がする。しかし、もうなんというか、初っ端からこんなの現代社会批判だろというのがミエミエで逆に清々しいという感じ。アクアトープ感想では無理やりこじつけに近い形で述べた、最近は家族ですら持てない庶民の姿が可視化されてると述べたが、初っ端からそれに触れてるあたりとりあえず話の前提として庶民が窮乏してるんだよという共通認識を持ち込んでいるように思える。
 前国王も、王の座を譲られた主人公も、どちらも「国を預かる」と言わしめているところは、世襲で国富を私物化してる現政権への痛烈な批判だろうし、王国が窮乏するのを放っておいた連中というセリフも、政治屋だけでなく明らかに官僚に対する批判でしょというしかない。現代日本だとなまじっか処理能力が高いから国を傾ける速度を加速するというおまけつき。才あるものっていうのも。そういう政官財の既得権益層を放逐しなきゃ日本は衰退するだけという主張なのは、こうやって言わなくても視聴した人全員には伝わってるハズ。
 しかしやっぱ元がなろうなせいか、いろいろツッコみどころは多い感じかな。前近代なら姫周りの自己決定権はないハズ。もちろん上級国民だから一般庶民と比べて選択肢は多いから、その範囲で自己決定権を有したというのは別に前近代でもあったと思うのだが、勇者へ嫁げと言われたら、フツーはそうするのを自然に受け入れていた*1はず。主人公は姫に王位を譲るために帝王教育を施してるという形をとっているし、それは物語として何をやっているのか姫に説明するフリをしてその実視聴者(読者)に説明するということではあるし、前近代のありかたを踏襲するなら、姫は主人公と結婚してしまったら、あとは王妃としての立ち位置が確定してしまい、物語からは一歩退くことになってしまうので、ラブコメ要素だとか、物語に花を添えるという要素を捨てることになる。まぁそのへんはあまりつつかない方が吉だとはいえる。しかし金貸しからしてみれば、王国の宝物庫を空にしてからが一勝負なので、まだ国宝が残っていたというのは状況が深刻化する前、再建に要する元手はまだあった段階ということなのだろうとは思った。
 うーん、どうせ再建がなりませんでしたとはならないだろうし、そこかしこにトラブルを仕込みながら基本はイケイケ展開で、この#2を見た段階でもうあとは見なくてもいいかなとは思うんだが、雑破業だしさすがに視聴切りはしないつもり。現実の日本だとたとえ自民盗が倒れたとしても財界の搾取気質は治らないし、パソナや慶応閥が今甘い汁を吸えるポジションを手放す筈がないので、#2のヒキでのいかにも貧乏人でもがんばればなんとかなるという夢のありそうな展開はフツーにありえんでしょと心の中では思っているんだけど、そういうミもフタもないことを言っても仕方がないので、こういう形のポルノだとしても方向性として間違ってはないかなという感じ。

*1:姫が下々の生活まで熟知していたらいたで、逆に今までの贅沢な暮らしや、これからの贅沢な暮らしが身分制度に依存していることが理解できているから政略結婚に反対するはずがない