Engage Kiss#1~13
メディアミックス見据えたプロジェクトでのオリジナルアニメ。ちょっと前に気になっていたのだけども、HDの不調でグズグズ放置してた作品。#1のスタッフクレジットで丸戸の名前が見えたから、ハズレだけはないなという最低保証が得られて結構視聴に気合が入った。内容はダメ男に女三人(四人)が群がる典型的な萌えアニメのフォーマットなんだけど、ストーリーがね、
滅茶面白かったという。
この期の作品としてはリコリコがあるんだけど、エンタメとしてのシナリオの質はこっちのほうが遥かに上という判断。でも、こうやって両作品を視聴したうえで比較すると、あー確かにリコリコがこの作品より持て囃されるのは納得だわーという感じ。
EKのシナリオは、シリアスとコメディの緩急が巧みで、シリーズ全体を見ても最初はコメディ要素多めで、ストーリーの進展とともにシリアスの度合いが深まって、クライマックスでいきなりコメディに変化して、そのコメディの雰囲気で日常回帰してエンディングになるのが驚いた。
あきらかにこちらの方が低予算で、動画もOP映像は本編の使いまわしだし、動画枚数も少なくて、おそらく全体の予算はリコリコの二分の一とか三分の一程度だと思われる。でも仮にリコリコのように資金を投入して動画の質を上げたところで作品全体の質は上がらないという気はする。で、リコリコは特撮技術を駆使すれば実写ドラマにもできると思うんだけども、こちらの方はなんつーか、オタク向けに特化したんだろうなという感じではあるが、アニメじゃないとできないことをやってるという印象。
最初は社会問題に触れないのかな…、それも現代日本社会とリンクもせずによーやるわ…と思っていたのだけども、そのへん終盤で逆説的に提示してたし、主人公、若者というか青年であって、序盤からだんだん彼が壊れていくという構造は、アルジャーノンに花束をが主人公がだんだん賢くなってその後壊れるというか元に戻っていくという構造と正反対で、成長という要素を排除してるのが久々に「大人」を主人公にしてるんだなとちょっと清々しい気持ちになった。
っつーわけで、昨日一気見したのでその余韻がまだ残ってるという感じで、これがもっと時間が経過したらどのように自分の中で変化するのかわかんないのだが、そう評価されなかったというワケでもないんだろうけど、リコリコの影に埋もれてしまった感がするのはなんかもったいない作品だなーという感じ。ラノベテイストなのが人を選ぶというか、ターゲット層を制限してて仕方がないなとは思うんだけど、それさえクリアしてしまえば、シナリオライターの掌の上で踊らされる快感を得られるいい作品だと思う。