メイドが怪しい#7・8

 主人公が過去を思い出し、ヒロインに好きだと伝える話。うーん、これも不思議なもんで、冷静に考えるとストーリーが極めて単調なのに、個人的には割と物語にのめり込んでしまってる感じ。これがラブコメ効果なのか?。この作品の場合、恋愛の駆け引きとかもあんまりなくて、キャラの気持ちなんて見てれば明らかでモノローグで説明までしちゃってるから誤読のしようもない。だから読者としても「こいつ口ではああ言ってるけど、内心どう思ってるのかはわかんない」から本心を読もうとする努力も要らない。ただ、今回のように、主人公が今まで臆面もなくヒロインを褒めて内面をさらけだし、他人に相談してそれが恋愛だと教えてもらっていて、しかも好きだとまで言ってはいても、これが世間一般の恋愛とはやはり微妙にどこか違ってるわけで、そのズレを楽しむだけの奥深さは内包してる。…んだけども、それがこの作品のメインの魅力かと言われるとそれも違うような気もする。主人公のご学友である少女も、萌えアニメに出てくる典型的な内輪ウケキャラなのであって、作品全体の構造も萌えアニメそのものなので、ダメな作品の典型なはずだが、視聴中も緊張感が途切れないし、視聴後も余韻が残り、ストーリーを振り返ってあのシーンはどういう意味が込められてたんだろうと考えることも珍しくない。
 さて、しかしこの作品やっぱ夏目の坊ちゃんにやっぱ寄せてる感じがする。あの作品もなんかミスリードが多くて、一度読んだだけでは設定が入ってこない。夏目の坊ちゃんの主人公は両親が死んでしまうと兄と財産わけしたら散り散りになってしまうから平民かと思いきや、よーく考えたら明治時代に大学にまで行ける家柄というのは大金持ちとは言わないまでもそれなりの家格があるのであって、清は清で下女なんかやってるから身分が低いのかと思いきや、元はそこそこの家のお嬢様だったと、これは作品中に書いてある。結局夏目の坊ちゃんの清を若くして恋愛要素をメインに今風にアレンジしただけの話であって、主人公は夏目の方は無鉄砲と書いてあり、本作の方は素直も素直ということで、空気を全然読まないあたり方向性が一致してるとしか言いようがない。で、今回の話のヒキで出てきたメイド服のキャラの名前が、苗字の方ではないが「ナツメ」。これで夏目の作品とは全く無関係と言い出すんだったらさすがに全力でツッコむわという感じ。