恋きも#5

 ヒロインが修学旅行で沖縄に行って離れ離れになり、お互い距離が取れて改めて気持ちの整理を行う話。あー、やっとというか、自分がこの作品を違和感なく受け入れていたという違和感の正体がわかったというか。ヒロインとイケメンサラリーマンとの関係性、これ、結婚を前提としたお付き合いだからか~。一花は身持ちが固く、もうこれ以上はないというほどパンピーだし、亮は、おそらく見合い直後の男性がその後の結婚を前提としたお付き合いという立場で見たら、これはもうこれ以上はないというほど理想の男性像なわけで、この作品、戦争体験世代よりあと、つまり団塊よりもちょっと上の世代あたりから昭和世代までを幅ひろくカバーできると思う。
 物語の大枠がそうなってるからといっても、実際に一花と亮は見合いをして準婚姻状態にあるわけじゃなし、そのへんは今ドキの風潮通り自己決定権を行使して相手を選択しなおしても構わないわけで、そのへんの今ドキと昔の結婚観の相違点が仕込まれてるのは結構面白い。自由恋愛市場に放り込まれて弱肉強食の構造のストーリーを見せられるより、確かにこっちのほうが恋愛とか人間関係の論点が整理されて提示されるという形になってるから、いわばサッカーをみるより野球を見るような感じで楽しめるんだろうなと。
 まぁそういう構造に気が付いて改めて振り返ってみたら、昔は良妻賢母を育成するために女子高なんかがあったぐらいで、女は就職するにしてもそれは結局のところ腰掛でしかなく、いずれは誰かの嫁になるという時代の話なのであって、そういや昔は女子高生がちょっと上の社会人と付き合ってドキドキワクワクの少女漫画とか小説とかもそれなりにあったよね…というのを思い出すというか。まぁそういう作品のストーリーもタイトルも忘れてしまってるわけだが。

ひげひろ#4

 主人公?が家出少女を飼ってることがどんどん周囲に共有されていく話。これは構図として新しい形なのかな?。主人公が善意を示せば示すほど、物語の構造的には彼は共同体に貢献する功労者になってしまうわけで、当然読者としては褒美を期待するようになってしまうし、ヒロインはヒロインで、贈与されればされるほど、前回の話でいえば交換ではなく返礼という形を示さなければならないわけだが、あいにく彼女はたった一つのもの以外彼に与えるものがないわけで、シナリオ的にもそういう方向性にヒロインが追いつめられてしまう様子が描かれてる。で、それを防ぐために周囲のキャラがどんどん釘を刺しに来るという。視聴者的には、では主人公の社会に対する貢献にふさわしい報酬は自分なんだとサブヒロインがこれでもかというぐらい猛アタックをかけてくるところがハーレム展開で、なるほどこれがこの作品の客寄せパンダ要素なのかと今更ながらに感心するが、しかしこういう仕立てはある意味萌えアニメの典型なのであって、そこが新しいわけでもない。
 ただ、ヒロインに対する主人公のありかたはやはりアジールという描かれ方だし、周囲のキャラがいろいろ理解を示してくるのも、単純ではあるが多重な包摂構造を示しているんかなと思うと、このへんがちょっと新しいのかなという気はする。とはいえ、なぜサブヒロインが家出をすることになったのか、その際彼女が元居た共同体はなぜ包摂できなかったのか、というのを考えると、これから明かされる彼女のトラブルまでにとどまって、おそらくそこには上部構造に問題があるのだというのがあるはずなのに提示されない可能性が高いからなんとももどかしい感じではある。
 まぁなんのかんのいって、ターゲット層ほぼ間違いなくおっさんだろうし、その下心をうまく操って、いろいろ妄想をたくましくさせるのはいいんだけど要所要所でブレイクかけて、ちょっと冷静に考えてみましょうやという流れなのはよーかんがえとるわ…みたいな。