サマレン#16

 敵の真の狙いを聞く話。敵の言いなりになっていた友人の父親の談だと、楽園のようなところにカゲとして行くということだったが、なんかよーわからん。別に島の人を選別せずともすぐに行ったらええやんとも思うし、なんなら主人公含む島民全部カゲにして全員で行ったらええやんとも思うしで。
 友人の妹が父親に銃で撃たれた瞬間、あ、これでまたループかとも思ったんだけど、これは物語上の仕掛けがうまく働いてそういうことかと感心もした。ただ、自分がこう思ってしまったということは、メインキャラが脱落することはないんだなということでもあり、なら、ここぞというときに自己犠牲…という手も使えないんだろうとか思ってたのだが、敵を滅すれば…のところで、自己犠牲の選択を迫られるという。なんか本人たちはアッサリしたもんだったが、本当は未練タラタラだろうにとも思うしで、そのへんもちょっと評価が難しい。
 んー、物語が終わるまで視聴しないと何ともだが、劇を盛り上げるためにいろんな要素を持ってくるんだけど、このファンタジー設定で主人公たちを活躍させるためにいろいろ下駄をはかせてるんだけども、そのためにご都合主義も持ってきてるんでその辺の塩梅が微妙な感じ。全体として面白ければ結果オーライになりはするんだけど、視聴してる最中にそう思われたら実質負けなんじゃないかという気もするが…。
 あと、敵というか、島の風習がなんかヨソから来たSF的要素というのもちょっとよくわからん感じ。あのような小島だと、農業もできないし、とにかく真水を確保するのが難しいので、現代のように島外から必要な物資を運び込める状態ならともかく、前近代のように交通も発達してなければ、島外も同じように貧しくて援助してくれるような状態でなかった場合、島民が少しでも生き残るために少数を迫害してしまうような理不尽な因習もしくは陋習があったりしてもおかしくない。が、この作品、名前は変えてあっても実在の土地をモデルにしてるから、イメージダウンを避けるためにどうしようもない風習があったという設定にするわけにもいかないんだろうなという気もする。
 なんか難しい話だとは思うんだが、最初のうちはなんか凄いことをやってくれそうな予感があったのだけども、謎が明らかになっていくにつれ、こう致命的にこれはダメだってことはないんだけど、なんか話がどんどん軽くなっていくようなそんな感じがしてちょっと残念に感じてしまってるというか。敵の裏をかくとか、そういうしてやったり感もあってそのへん話はうまいというところもあるんだけども、ご都合主義の助けも十分借りていて、プラスマイナスの差し引きを考えるとそう大してプラスにもなってないんじゃね?と感じてしまうのもなんだかなぁで。キャラクターたちが理想と現実の狭間の中で揺れ動く姿を通じて、読者の我々も、自分のありかたや社会のありかたをついつい考えさせられてしまうようなそんな凄みはいまのところこの作品からは感じられないなぁという。まだ後編がまるまる残ってる状態なんで、ここから巻き直しって段階ではあるんだけども。