ルミナス#2~4

 ユニット結成から初ステージまで。なんかビックリした。ストパンというコンテンツをしゃぶりつくしてマネタイズするために、アイドル要素という世間ウケのよいものを織り込んでテキトーにでっちあげた作品なんだろうと思ってたんだけど、結構シナリオ真剣に組んでるみたいに感じた。ストパンOVAから数えてもう15年も経つコンテンツなので、その当時中学生だとしてもその頃の視聴者はもう30代になろうかという時間経過で、大抵のファンはもう中年という年齢層になってることになる。新規客も見込んでいるのだろうけど、基本は固定客を重視して企画が組まれているのだと思うから、オタク向けの内輪ウケてんこ盛りだとさすがに薄っぺらくなるから商売としては…みたいな誠実さがあるんだろうなという感じ。
 自分はもともとストパンには組織論、それも日本社会における理想のマネジメント論が織り込まれてると思っているのだが、この作品ももう最初っからガチでその話を展開してるなと思った。#2では就活の話になってるし、#3では新入社員に対する教育の話になってるし、#4は、見かけはアイドルの初ステージという形になっているが、別に新入社員が初めて取り組んだプロジェクトだの、初めての商談みたいなもののメタファーになってると感じた。
 就職面接のシーンなんかモロそうで、ただ、現実の面接だと志望者は就活マニュアルに載ってる定型文をなぞるだけだし、面接担当官もそういうハンコで押したような対応はもう見飽きているわけで、こうやって本音で志望動機を語ったり、それに対して面接官が辛辣なツッコミを入れてるところを見ると、あーライター現実社会の彼らの気持ちわかっとるなwwwというしかない。どうせ大手企業は学歴フィルターかけて企業が取りたいと思う人材を好き放題取り尽くしてるわけで、人気のない企業はそのおこぼれに与るしかないわけだ。そこで虚飾を語られても時間の無駄なわけで、双方あまりメリットのあることではない。
 #3でも、体力作りだと言って見当違いの訓練を部下に課してるシーンがあったけど、これも新入社員に圧迫研修を受けさせる企業なんかのメタファーで、現実だとこれでふるい落とされたら新入社員は使い捨てされていくし、そうでなくても新入社員の方から辞めていったりする。まぁパワハラ上司、新入社員をうまく成長させたいのだったらそんなやり方では…と思うのだけども、現実の研修担当者は辞めたければいつでもやめてもらって構わないって態度で、そこで嫌がらせして辞めさせてもどうせいなくなるのだから心置きなく圧力をかけていくわけだが、なぜかこの作品では上司自ら自分の不明を恥じて謝罪する展開www。これ、一昔前だったらアンガーマネジメントなんてものがマスコミによって持て囃されていたのだけども、なぜかその有識者が語り掛ける相手はパワハラ上司ではなく、パワハラを受けてる被害者wwwで、何頓珍漢なことを言ってるんだろ?、コイツパワハラ上司側の回し者かと思ったものだが、そこはそれ、この作品、あくまで理想の組織を語るスタイルなので、まっとうにダメなものを矯正する方向性。
 なんだろうな?。そういう組織論も健在だし、今回アイドルというものを織り込んで歌の持つ力というものもテーマにおさめているけど、こっちのほうも直球勝負。ヘンにいじくったりせず、歌がどんな人たちにどういう影響を与える*1か?ということについて真剣に語ってるし、オリジナル曲だけでなく、民謡というかそういうものにもクローズアップして、子供は親に歌って聞かせてもらったその曲を自分の血肉として取り入れるし、そこで曲の持つテーマや精神性も継承されていくし、やがてその子供も親となれば自分の子供にも歌い継いでいくのだろう、そうやって歌や曲というものが一時の流行という一過性で消費されて最終的には消えてなくなっていくのではなく、そこで支持されていったものがその文化の一つの形として人々を繋ぎ合わせていったその力に敬意を表しているわけで、ストーリーに並々ならぬリソースが注がれていることが分かる。自分、アニメは他の作業をしながら視聴することが多いんだけど、3話連続で一気見して、もう内容が濃密で他のことをする余裕がなくて見入ってしまってたよ。

*1:こっちもちゃんとマネジメント論になっていて、企業が売りたいものを消費者に押し付ける…のではなく、ちゃんと消費者にとって何がベストエフォートなのかちゃんと顧客に向き合って商品を売れとかそんなの