黎明期#12

 敵を撃退して、卒業を果たして、新たな任務を受けての三本立て。歴史上圧倒的な大軍を敵として死人を出さずに撃退なんてあったっけ?と考えるとお伽噺でしかないんだが、何度も言ってる通り、これは考えるためのテストケースであってという話。これだけ手間かけて攻めてきた相手から相応のモノを貰ったわけでもなさそうだし、この作品的にはメイン三人の卒業試験だということだったし、魔女にとっては生徒の実力を推し量ったり、ちょっとした指導だったりもしたわけで、正直視聴者に対してそんなに主張したいことがあったというよりは、物語の体裁を整えるため…といった方が強かったのかなといった感じ。
 ん~、初期のころからするとそんなに悪くはなかったかなという感じだが、結局はジュブナイルだったなというところで、と禁ほど内輪ウケみたいな印象はなかったかなといったところ。

サマレン#12

 今度はヒロインと一緒にループすることになったという話。うーん、やっぱループかぁ。悲劇を起こさないということは、自分が生きることを大切にするってことだとは思うんだけども、やはりループはいくら今までの過程で努力していてもその「生」を捨てることであって違和感はどうしても残る。しかも今回はいかに確実に死ぬかがおおきなミッションだったわけで、その生のために一生懸命死ぬために努力するって構造がいかにも滑稽でどうにも受け付けないというか。
 結局のところ、ループのたびに隠してた情報をちょっとずつ開示して物語を進めていく手法でしかないので、このループ構造がこの物語独自のなんらかの記号って部分が見えなくては、やはり方便の類だなという気はしてる。確かにループのたびに慎重に事を進めているし、できるだけ最善手を取ろうとしてるのはわかるんだけども、結局のところゲームのリセマラとどの程度の違いがあるというのか…。
 あと、やはり蛭子様あたりになにか込めているものがあるとかそんなの。存在自体が理不尽ではあるんだけど、島社会を維持するためには必要不可欠だとか、なんのかんのいって島民全員が何らかの形で世話になっているとか、そういうどうしようもない構造を示してくれるかどうか。今のところはあの医者家族の利益のためだけに…という話になってるけど、果たしてそれだけかどうか。

かのかり#13

 正ヒロインの舞台を主人公が観劇して…という話。正ヒロインは女優になりたくてレンタル彼女をやってるという設定で、今回の主人公がヒロインを支えるってくだり、これ男女逆転したら、売れないバンドマンをファン兼彼女がバイトしながら支えるってのと同じなので、やけに単純な話になってきたなという感じ。前期でアニメ終了したであいもんは、売れないバンドマンだった主人公がその夢を諦めて実家に帰って…という話だっただけに、なんか時代遅れの話を見せられてるようでなんか時宜を逸したなぁって感じ。
 今だとアイドルものが粗製乱造されてる時代だし、そのアイドルが自分がちやほやされたいとか売れたいだとかのほかに、アイドル活動の社会的意義とは?みたいな段階はもう必要不可欠になってきてると思うんだよな。東京二次五輪が、結局五輪利権にいっちょかみして濡れ手に粟の掴みガネ目当てのカネの亡者の祭典だったわけで、で、アスリートとやらがコロナ禍で感染者が医療機関に治療拒否され、政府が医師会を支持して積極的に国民を見殺しにしてる最中に競技にうつつを抜かしてたわけで、ほほーん、アスリート支援にも税金が投入されてるわけだが、コロナ禍で政府に殺された感染者そっちのけで自分が輝くことを優先させたわけだ、この人たちは…みたいな状況下で、では、女優でもアイドルでもアスリートでも、ホント自己実現以外になにか搾取以外の社会的意義ってもんがあるの?みたいな話。
 コロナ禍でもなかなか事業を継続できなくてバタバタ倒産してる企業もあるし、それ以前から日本は経済的に衰退期に入っており、政府も産業界に経営層が甘い汁にありつける利権のために税金を投入するけど、産業自体の振興はもうとっくに見切りをつけていかに国民から搾取して自分たちが安泰でいられるか?という段階なので、ミュージシャンになりたいんですとか、アイドルになりたいんですと言ってる場合なのかということもある。それが本当に社会に必要とされるものであれば、別に特定層だけが独占しなくてもよいし、門戸はすべての人に開かれてる必要があるし、そうでなければ、もっと国民が食っていける産業はなにかについて考えた方が良いんじゃね?みたいな。しかも芸能界って今回の話にもあったようにコネ優先の社会であるわけで、それ自体が理不尽なものであるのだったら、ではそれに自分が割って入ったところで、芸能界のコネを全廃する方向性に働きかけるんですか?という話でもあって、もうどうにもこうにも詰んだ話のように見える。
 ほんの数年前なら、まぁいうてお伽噺として個人が夢を追い求めるって話でも十分通用したと思うんだけど、これだけ世が極まってくると、あなたの自己決定権は、他人を蹴落とすことと不可分じゃないんじゃないんですか?という要素が強くなって、いや、それでも世の中は厳しいんだから他人を蹴落としてまで自分のやりたいことをやれという話になるのか、それともできるだけ人々を包摂するような社会にすべきという話にするのか、もう自己実現という理想を追い求めるというのは全面的に肯定されるものではなくなってきてるよね…という話。
 この作品が面白いと思ってたのは、生きていくためには自分自身を徹底的に商品として客体化していかなくてはならない、後期資本主義のもうどうしようもない側面を描いてたというところだったと思うので、これからどういう方向性に話が進むのかちょっと不安でもあり、どーするんだろ?といったところ。

式守さん#11

 デート準備と二人の…というか特にヒロインの過去話。どうやらヒロインには主体性が無いらしい。まぁそうやって言われてみると確かに最初の頃からそんな風に描かれていたんだなという気もするが、なんか今更こう提示されるというのもよくわからん。
 なんかメイン二人に因縁でもあるのかと最初の頃は思っていたのだけども、告白が文化祭というのを見てそれはないと思っていたから、昔ばなしをされてもそんなに深い感慨はなかったという。ヒロイン側に父親が登場してないのはどんな意図だろうか。
 眺めている分にはフツーなんだけど、次回最終回だということを考えるとラス前で割とのんびりしてるなという感じで肩透かし。

くノ一ツバキ#13

 集落に攻めてきたのは男ではなくって、サルとタコが悪魔合体した怪物のようなものだった…という話。もしかして生徒を試すために教員側が仕掛けた試練かなんかかなとも思ったんだけど、そうではなかったという。最終回として忍法の見せ所として持ってきたんだろうなという。確かに迫力はあった。
 うーん、やっぱ物語として何が言いたいのか最後までよくわかんなかったというか、まりみてのように、男の視線を気にしない環境で女が生き生きと暮らす日常を描きたかったんかなとかそんなの。最後まで上記の、この話はいったい何が言いたいのか?というもやもやが晴れなかったし、突き抜けたエピソードもなかったと思うんだが、自分割と日常系のものは嫌いではないし、ストレスも感じなかったから、終わってみたらそう悪い作品ではなかったなという評価。