RPG不動産#12
メンバーが火山島に島流しにあってEND。なんかまだまだ話はおわんないよ…という感じだけど、トモダチゲームのようないかにもって感じじゃないし、芳文社のページで確認すると最新刊が第4巻で、どうも第3巻までの話をアニメ化したようなので、原作はまだまだ続いているけど、続編を作るなんてとてもとても…という感じ。というか、第4巻の説明を見てしまったから、この語のちょっとした展開がわかってしまった。っつーか、コミックファズで無料公開部分を読んだけど、最初のページに男性向けとあって、きららとかおんなのこ向けじゃないんだ…とちょっと意外に思ってしまった。まんがタイムとか、きららでないやつは確かに男向けというか、一般向けといった感じなのだけども、きらら系はかわいらしい絵柄なので、おんなのこ方面に手を広げたのだと思ってた。とはいえ、内容は確かに少女誌ではないから、おとこのこ向けかおんなのこ向けかと言われたら、あーたしかに男の方かも…とは思う。
うーん、正直この作品の魅力を言語化するのは難しいというか、世界設定がJRPGで、全体的にそのお約束に従っているし、不動産というネタを中心に軽妙なギャグを盛り込んで、シリアス展開も軸としてる…と言えば、別にこの作品自体にそんなにオリジナリティがあるとも思えないし、実際シナリオもどっかでみたようなエピソードのアソートでしかなくって、最初はというか中盤に差し掛かるまで自分もこの作品には見るべきところはないな…と思ってたから、その後自分のハートをガッチリ掴まれたその要素をうまく説明できない。
大きなメッセージとして種族を超えた調和のようなものがあって、そういうのはしょっちゅう提示されているんだけど、両者の和解のためにみんな努力しなければならないんだーみたいな大仰な感じは全然なくて、別にそれぞれの種族がそんなにいがみ合ってる様子もそんなにないし、なんかお互い自然に対話しているようにも見えて、そんなに強い主張じゃないんじゃネーノ?とも思ってしまう。ただ、終盤の展開では魔王側の残党云々とあったから、それなりに差別や不満のようなものがあるのだろうし、とはいえそれは明示的に描写されてないから何とも。主人公がRPG不動産に就職したての新入社員で、いろいろ失敗をしながらも、努力して成約を取ったりしてるんだけど、では、これが新人向けのサラリーマン応援歌的な要素があるか?と言われたら、それも違うなって感じ。
ただ、今回、桃髪ロングの神官の過去話にあったように、魔王の娘をこっそり連れ帰ってメインキャラに預け、竜娘自身は亜人と人間の両方の言語が理解でき、シリーズ全体でも仲立ちの役割を果たしてたから、そういう理想としての高らかな主張ではなくって、竜娘を保護したときにこのことは秘密だといみじくもセリフにあった通り、そういう理念を意識させない形でのなんらかの解決を図っていたのだなというのがわかるので、そのへんの「思い」だよなーという感じ。なんだろーなー、あいつは弱者なんだからみんなで助けるべき、優遇すべき…みたいな、ちょうど合衆国でいうところのアファーマティブアクションみたいなそういう能動的な運動ではなくって、自分と違う他者がいたとして、そいつがかわいそうなやつだからえこひいきしましょうってんじゃなく、そいつが自然に社会に溶け込んでいる姿を見せてたら、あいつは確かに見かけ上とか奇妙な風習とかで俺らとは違う人種なんだろうけど、生活する分には何の違いもない、俺らと同じ人間なんだと認識して、そこに自分との間に境界線を引くことの必要性を感じさせないよう、腰を据えてじっくり熟成を待つ…みたいな落ち着き方なんだよな。
しかしまぁ火山島という離島に左遷されたということであれば、おそらくその地での不動産業としての仕事は皆無だと思うんだが、どう話が進んでるのか気になるところではある。とはいえ、別に離島に行ったのは別の任務があるということなんで、不動産業が新天地での仕事と限ったことではないんだよな…。
不思議なもんで、今次々と最終回を迎えてる作品が多くなってるが、おそらく自分の中では今期終了作品の中で一番評価の高いものになりそう。
村人A#12
元の世界(転生後の物語世界)に戻ってきたと思ったらまさかの夢オチ。いちおうこの終盤の過去世界で、転生後の自分と過去の自分、そして未来の自分との三者が同時に存在してた…ということになるが、BTTFだと同じ人間が出会うとマズいみたいな設定があったのを思い出す。なので、今回夢オチだが過去に行った証拠として髪飾り…みたいな演出があったのだが、要するに同じ人間が戦うということは、自問自答してたってだけの話なんでしょという気はする。過去の自分を思い浮かべながら、今の自分がやろうとしてることと、それをやってしまったら将来後悔するであろう自分との間での心の中の葛藤。いみじくも過去に飛ばされたヒロイン二人が何の役にも立ってないとセリフにあったけど、まぁそりゃその通りで、これも主人公のセリフにあった通り、納得するための仕掛けを構成する素材として連れてこられただけ…みたいな。で、彼の中で一つの結論というか割り切りができて、心の中の葛藤が解決したから夢から醒めたという。徹頭徹尾主人公のインナーワールドのお話だったのかなと。
うーん、なんかこの作品に通底するテーマというのが見えなくなってきたというか、正直何がやりたかったのかよくわからん。まぁ転生後に知り合った幼馴染ヒロインともっと精神的に深い仲になるのかと思ったらそうでもないし、結局後ろに持ってきたエピソードを見る限り、主人公はあのガサツなエルフ親友のことを転生前からずっと気にかけていて、それが転生後のいろいろな生活を経て、そして今回の過去に遡るだか夢世界にダイブするだとかで、なんらかの精神的な解決を見た…という結論という風に見える。ただ、そうだとしてもアニメ前半部分はそれとは全然関係のない話のように思えたし、そのへんあんまりすっきりした道筋ではなかったような気はする。
というわけで、アイデア自体には見るべきところがあるんだろうなとは思うのだけども、なんかいろんな要素がこじつけ臭いというか、作者が読者をある結論に誘導したいんだろうな…という風に見えるんだけど、アイデアありきで物語としてスッキリしてなかったなという感じ。シナリオが主人公の混沌とした精神性でグダグダになるとか、そういう展開自体は全然アリなんだけど、そういうもんだいじゃなくて、問いかけに対する答えというか、議論の筋道がちょっとちぐはぐしてたという印象。
盾勇2#12
主人公が盾の力に呑み込まれそうになったが踏みとどまって敵を撃退して元の召喚元世界に帰ってEND。ナニコレ?。主人公の前世と、今期の敵役の前世がいきなり提示されて対決に入るのだけども、このタイミングで開示なんですかぁ…みたいな。むしろこれが今期のメインメッセージだったんだろうという臭いがプンプンするのだけども、どうにも唐突な印象。そして転生前のモノローグを聞く限り、主人公はボンヤリ生きてきて、転生後も与えられた役割をこなすだけだった…という流れで、むしろ今期の敵役のほうは転生前はゲームこそが彼にとってのすべてだったが、そんな生活に見切りをつけて転生し、むしろ彼こそが主体的に生きてきたとなっていて、主人公は今回のクライマックスで初めて主体性に目覚めたところからすると、敵役の方がよっぽど生き生きしてたんじゃね?という感じ。でもその敵役がやってたことは転生後の世界に災厄をもたらす波を発生させることなのであって、どうしてそこで方向を間違ってしまうかねぇ…といった感じ。
1期から振り返ってみると、主人公は召喚されたけども罵倒されパワハラに遭ってルサンチマンをこじらせるんだけど、手駒を揃え実績を上げて周囲に存在感を示して地歩固めができる→からの2期、それでも周囲の状況に振り回されるだけだったのが、いろいろなイベントを経て仲間と呼べるものとの関係性を深め、この世界で主体的に生きていくことを決意するという流れになっていて、あーなるほど、主人公の信条の変化の流れとしてはそんなもんか…という気はするんだけども、2期を振り返ってみてもイベントのそれぞれが個人的にはピンとこなかったから、振り返って気づけるものはあったけど、あ、そうだったの?ぐらいの重みしかない。
まぁ現実の人間だって、よっぽど何か感銘を受けるとか切羽詰まった経験をするだとかでない限り、自分の人生は自分で意味付けしないといけないなんてなかなか気づけないものなので、生きているその時その時のイベントになんか流されるように過ごしているのがフツーなのであって、そういう意味で別に自分が2期に入ってからの主人公が経験するイベントにピンとこないというのも、それはそれで自然なことなのよなーとは思ってる。ただ、個人的な感想として、そういう今期のテーマが主体性だというのは最初っから意図的に隠されていたような気はするので、もう流れていくドラマドラマがほとんど上の空で眺めていただけという。特に致命的なダメさみたいなものはなくって、エピソード自体はフツーだと思うし、出来はいいほうなんじゃね?という気はするが、どうにも個人的には没入感が極めて薄かったなというイメージ。
であいもん#12
「娘」の誕生日にメインキャラ総出でお祝いする話。なんじゃこりゃ?、というかやられたこれは!といった感じ。まさか最終回でひっくり返すとは…。
まぁこの変化は自分が過敏に反応しただけなのかもしれんが、今までずっとこのドラマが父親に捨てられてそれでもなお気丈に振る舞ってる女子小学生を周囲が優しく見守る…というハートフルなものとずっと思ってた。いちおうそれでも牙を剥く兆候はそこここに見られていて、一番のシーンが#6で母親が娘を一緒に連れていこうとするときの娘の拒絶の言葉「一緒に行くのは私ではなく仕事」がもうキレッキレ。
で、この最終回を視聴してアッと思ったのが、主人公は「娘」の父親代わりとして一生懸命振る舞って、それがある意味健気だとずっと思ってたのだが、実はそうではなく、娘にとってその気持ちは気味が悪い、でも好意を示してくれてるんだから、仕方なくつきあってるということがなんか腑に落ちてしまった。もちろんその構図はこの作品の最初っからずっとそうなのだが、物語が主人公視点で流れていく、つまり東京から帰ってきてそこで娘と出会い、境遇を聞いて同情し、実家の家業を継ぐには力不足だからせめて自分にできることはなにかと思っていろいろ試行錯誤する…という風になってるからついつい主人公の立場に立って考えてしまいがちなんだが、実家の方は主人公が帰ってくる一年も前から娘ありきの体制で動いているのであって、むしろ主人公は実家の跡取り息子でありながら、一番のヨソ者であって、彼が娘に示す厚情は娘にとってベタベタしてきて気持ち悪いでしかなかったんだな…という話。最初っから娘はそう言ってるジャンというわけなのだけども、視聴者としてはどうしてもそれが思春期特有の潔癖さとも思ってしまうのだけども、その偏見をこの最終回で吹っ飛ばしてくれたんだな…という。
ただ、不思議なのは主人公も娘もいつも通りやし、別に作品全体の雰囲気も全くいつも通り。なんか声優の演技とか演出だとかBGMとかを変えてるわけでもないし、視聴者でももちろん最初っから娘のきしょがる気持ちを分かっていた人もいるだろうけど、普通のハートフルコメディだと思って視聴してた人はその変化に気づかない人も結構いるのでは…とも思う。自分にとって決定的なのは、主人公が店員から親子に間違われ、デレデレしてるのを娘に呆れられながらも結局娘の同意を得て主人公が調子に乗るという流れ。娘は実質捨て子ではあるのだけども、別に本当の父親は死んでもう会えないわけではないし、その父親も捨てたのではなくてあの菓子屋に預けているのだから時が来れば引き取りに来る可能性も高いわけで、ではそうなったときに主人公はそれまで娘に対して築き上げている父親としての立場をどうするんだろ?と考えたら、周囲に親子と見間違えられてデレデレしてる場合ではないだろうと考えた由。
これも作中でセリフにあるが、娘は年相応の幼さがなく、主人公の両親も娘を引き取るときにおそらくその気性を嗅ぎ取って、娘は引き取る、でも甘やかすのではダメで、両親が本気で娘に向き合う覚悟を示すために跡取りなんて方便を持ち出したんだろうなという気はする。もちろん本人が嫌になればいつでも放り投げてくれて構わないとも思ってるだろうし、資産上の相続人は息子だとしても、店の経営権だとかは本気で娘に与えてもよいぐらいに思っていてもおかしくない。彼女に店の将来を背負わせることがむしろ彼女に前を向いて生きさせる駆動力になることを知っているか期待してそうしてるんだろうな…という風にも思えるんで、その見立てが正しければ主人公のやってることは確かに娘から見ると善意はうれしいが頼りないというか、バカにされてもおかしくないぐらいなんだろうなという感じ。
そういうわけで、個人的には今まで通り何の変化もないのに自分の中でどんでん返しが見つかったので、これなかなか大した作品というかアニメ化だったなぁとは思うんだけど、ただ、物語としてはごくごくフツーのドラマであって個人的に一押しみたいな力強さは正直感じなかったかなというところ。見て損はないけど、似たような作品は二次三次問わずどこにでもあるでしょみたいな。