盾勇2#3

 災厄級のラスボスを倒したと思ったら…の巻。うーん、なんか戸惑ってる。そもそも#2でこのラスボス霊亀とやらが出てきた時点でいかにも唐突だったし、物語上の役割だとか位置づけがよくわからなかった上に、今回あまりにもスケールが大きすぎ、対抗する人間たちや攻城兵器との落差で「これ、本当に倒せるの?」みたいな無理感があった。いちおう首を落とせばよいという説明があったのだが、自分としてはきっとそうなんだろうなとぼんやり思っていて、どうにもこの戦いに勝てるような見込みが感じられなかったし、戦い自体に実感が持てないとかそういう感じだった。で、こう主人公パーティーが戦ってるあたりも熱さは感じたし、首を落とした際の兵士のどよめきあたりからはちゃんとカタルシスは得られて、まぁそりゃ絶望的な戦いを続けてきてちゃんと戦略目標を達成したのだから喜びもするわな…とは思っていたのだけども、あの霊亀の使いが生きていて「おそらく倒せてない」。うん、まぁやっぱり心のどこかで本当に倒せたの?という疑問はあったから、それを裏打ちされてなるほどなぁとは思ったのだが、そういう意味で、ちゃんと視聴者がそれなりに腑に落ちる展開にはしていて、で、絵的にもそれが過不足なく表現されているわけで、おーなかなか矛盾なく描ききってるジャンと感心もするのだが、ではこの話や展開で、何が言いたかったの?という疑問もわいてくる。そのへんは霊亀を操っているという存在がいてその意図を明らかにしないとアカンと思うし、でもまだその存在とは面識が全くないから、まず会うことからだよなーとも思うんで、そのへんは徐々に明らかにしていくんだろうとしか。
 というわけで、なんかヘンな感覚。キャラ達は物語中で奮闘しているんだけど、視聴者としては物語との間に距離があって、なにか他人事というか視聴者置いてけぼりでキャラたちが勝手に動いて勝手に感動してるとかそういう感覚があって、ではそれがダメなのか?と言われると、おそらくそれこそが制作側が実現したかった表現なんだろうとも思うんで、冷静に考えるとこれは好意的に評価すべきことなんだろうと思う。なんかキツネにつままれたような感覚。

阿波連#1~3

 人との距離が測りづらい女の子との関係性を描いた、おそらくラブコメ。なんか変則的な作品。男の一人称でモノローグが発せられてるので、男が主人公でいいと思うのだが、この主人公も物静かだし、ヒロインもおとなしい感じ。でもヒロインの行動が動きが激しくないんだけど突飛だからそれがネタとして機能するんだけど、とにかく物語が単調。でも一つ一つのネタが面白くないか?と言われるとむしろヒット率は高い方だと思うし、慣れるまではヒロインの行動が振り切ってるように見えると思うから、そのへん切れ込み具合もなかなかのもの。物語が単調といっても二人の性格からしてドタバタコメディではないのだから、雰囲気的にもこれが正解なんだろうしで、なんとも不思議な作品。なんといってもヒロインのキャラが立ってるから周囲との比較で輝いてるしで、悪くはないんだよな。
 なんかぼんやり考えていたのだけども、このヒロイン、もしかして人との距離が測れない性格については実在のモデルのような人物が原作者の知り合いかなんかでいるんじゃネェの?とか思ってた。フィクションなのは分かっていて、モデルがいるとしてもアレンジをかまして物語にはめ込んでるとは思うんだけど、作者の発想だけであれだけのキャラクター性を作り出せるものなのかとか、まぁ別に確信的にそう思ってるわけでもないんだけども…。なんつーか、自分がドリフのコントをリアルタイムで見ていたときは年齢もアレだったので意識すらしてなかったのだけども、志村けんだとか加藤茶だとかが演じてたのは今になって思えばボケ老人だとか障害者のすっとぼけ具合をアレンジしたものではないかと思うのだが、それに近い存在がいるんじゃないかって話。自分はこのヒロインに近い人を見たことはないんだけど、まぁこの作品で描かれるヒロインは結構魅力的に描かれてはいるんだけど、そうでなくても、絶えず人と仲良くなりたい、仲良くなればベタベタしたいと思っていて、親がしっかりした人なら割と子供をコントロールするんだろうけど、うまく相性が合いそうな男を見つけたら、元がそういう性格だとすると、一旦関係性を築けば、隙あらば距離を詰めてくるわけだから、いざお付き合いしてお手つきしない男はいないんじゃないかなーとか思ってた。
 いやね、このヒロイン嫁力高いというか、最強クラスの嫁でしょと思うわけですよ。例えば結婚したら笑いの絶えない明るい家庭が理想であって、そのために嫁は人当たりの良い、コミュ力高い女が最適とつい思ってしまうんだけど、そうじゃなくて、一緒にいて落ち着くというか、笑いの絶えない家庭とか、コミュ力高い嫁だとか、そういうのは自分も常に家庭を明るくするために努力を強いられ、嫁のコミュ力が高ければ、それに合わせてこちらも常に会話を強制されるとなったら、それはそれで疲れると思うので、そうではない、お互いが無理せず寄り添っているようなそういう関係性が築けるという意味ではこのヒロインこそが最強なんじゃね?という。そういう意味では理想の家庭なんて必ずこれが一つの正解なんだみたいなものじゃなくて、こういう家庭(この場合はまだ関係性の段階だが)もたくさんある理想の家庭の一つだよねーという多様性を語っているのであれば、なるほどというわけで。
 あと、こういう作品は絶対三次ドラマにはならんよなーと。アニメだから取り上げてもらえる素材なんだと思うと、ドラマにはドラマの良さ、アニメにはアニメの良さが棲み分けできてるというか、まぁ三次ドラマにも二次アニメのどちらも取り上げてもらってる作品なんかもあるんだけど、そういう選択肢が増えてるのはなかなか幸せなことよのうと思ってしまったという。