薔薇王#14

 次兄が死ぬ話。そしておそらく長兄も…。なんやろ?、ホントセリフの一つ一つがずっしりした意味と価値を持ってきてる。画面は暗く陰鬱でこういうスタイルは最初っからこうなんだけど、最初の頃は辛気臭いなと割とネガティブなイメージだったのだが、いつの間にかこれこそが物語に合った色彩感覚だと思えてくるから大したもの。
 長兄に関しては自業自得だし、次兄は主人公が暗殺してるんだけど、なんやろ?、あんまり主人公が陰湿って感じがしないんだよな。もしかしたら長兄ですら暗殺してるんじゃね?、そうだとすると主人公は自分が王位に就くために次々と邪魔者を排除してるってことになるし、結果的にもそうなってるわけで、でも主人公は仕方なくって雰囲気が強くって、しかも秘密を抱えてるからむしろ同情を買うような立ち位置になってるように思う。ズルいよなーと思いつつ、実際のところ今までの積み重ねでそうなっているのであって、これがうまいなーって感じ。母親は母親で、世の母親といったら割と自分の子供のことはすべてお見通しだったりするんだけど、巫女というか不気味な予言者というキャラ付けで怪しさ満点。母親ならすべての子供に愛情を注いでいてもよさそうなものだが、主人公だけ嫌っていて、これは自分だけなのかもしれないが、差別しているのに母親が心配もし妄想ともいえる彼女の予感が的中してるのに、あーそういうもんだよなーと思ってしまい、あんまり母親を悪く思えない自分もいて、だからといって主人公が母親の言う悪魔でもなければ一人の悩める人間であって、どちらが悪者ってんじゃなくて単に不幸な生い立ちだよなーと思えてしまう不思議。
 人間とは冷静になれば合理的な判断ができるし、人が人を嫌うのはその人が持つ先入観や思い込みなのであって、根気よくその偏見を排除していけば人間判りあえるはずだ…とつい思ってしまうのであるが、この作品みてると、現実にはそうならないこともよくあることだよなーとわからされてしまうような魅力がある。なんでそう思えるのか自分でも言語化できないんだけど、それだけのものがおそらくシェークスピアにはあるんだろうなとかそういう感じ。

式守さん#1・2

 不幸体質の男にぞっこんの彼女が二面性を見せる話…らしい。うーん、現段階ではよくわからん。ぱっと見リア充爆発しろ案件のように見えるが、男の不幸体質に何か理由があるかもしれず、女が惚れてる理由も今は隠してるけど、OP映像見たらそのうち明かされるデショ…でしかない。ネタバレしないようWikiを見てみたが、元々がTwitterで公開していた漫画らしく、基本四コマ、最初に男による女の紹介があって女のキメ顔で終わるという構造で、これはうっかりネタバレを忘れて勢いで4~5話ほどマガポケの公開ページで読んでしまったのだが、確かにそうなってた。が、フレンズはおろか両親もバレー部のエースも出ておらず、元々がシチュエーションしかなかったのをアニメ化に際して原作をちょこちょこつまみながらオリジナルストーリーをでっちあげてるのかも。
 男に守られていることを演じながらその実女が男を守ってるという構図は、守ってるのは女というのを表に出さないだけで昔の物語にもちょこちょこ見られたし現実にもそういうカップルを見かけているからそんなに新しいものでもないし、その御褒美として男には女が喜びそうな言動をさせてるというだけで、優男カネと男は無かりけりでしかない。ヅカにハマりそうな女向けのように思えるから、あんまり男が見て楽しめるものかどうかはわかんないけど、上記の通りキャラの設定にはそれなりの理由があるというニオイはプンプンさせてるから今後の話立てに期待といったところ。

このヒーラー#2

 ゴーストとサイクロプスの話。ゲストキャラはOP映像であらかじめ紹介されてるという親切設計。ヒーラーにとってはよいおもちゃを入手したのだろうという感じやねぇ。というかまさか勇者が初心者だったとは思わんかった。もうちょっとヒロインがひねくれているのかと思いきや、夫婦漫才のかけあいはそこそこ軽妙で楽しめたから、個人的には前回ほどの警戒感は薄れた感じ。

モブせか#1~3

 男が乙女ゲーの世界に転生する話。#1視聴した段階ではビミョーって感じだったのだが、なんか意外なことに#2から典型的な三文芝居になっているというのに、妙にカタルシスが得られてそんなに悪い感じがしない。次回ゲームでの実力者である王子連中と戦うことになっておそらく勝つんだろうけど、その俺TUEEE展開だとしてもこのB級テイストがなんか心地よい。結婚相手を求めていながら、近い女キャラには恋愛感情を抱いておらずヘンに爽やかなところとか、下品さを装ってはいるがじぶんの気持ちに正直なだけのように見えてなかなかなクールガイって感じ。タイトルからしてもうちょっと主人公は地を這いつくばる展開が最初は続くんだろうと思ってたら、早々と上昇気味だしストーリーが軽い軽い。
 しかし出世のためには上級貴族の娘を娶るとか、それどこの平安貴族?って感じでちょっと驚いた。あと、王子の婚約者だった公爵令嬢も、王子の嫁になるためだけに育てられてきたといってたから、これは自己決定権がなかった前近代的価値観の申し子であって、その道を断たれたとなれば、近代人が想像するよりはるかに世界に拒絶されたという実感があるはず。まぁ転生先は別に前近代ではなくあくまで乙女ゲーの中なんで、歴史的にどうのというのは無意味なんだけど、B級でありながら割と考えて作られているような感じがして妙に感心してる。

くノ一ツバキ#1・2

 くノ一が主人公の思春期物語。うーん、いい話になってるとは思うんだけど、まだピンとこない。そもそも男についての知識が全くなさそうなのに、なにやら色ボケ風味なのがよくわからん。たった一目でも会えば、そこに理屈抜きの動物的要素で男と女が惹かれ合うってことならまだしも、常に目上の人からネガティブなことを聞かされてるだけで、同じ人間の、異性ということすら知らなそうなので、そこで何を想像してるのか全く不明。あの様子だと父親とか兄弟とかからとも最初っから切り離されてそうだしなー。
 原作者が高木さんの人なので、ちょっと期待してたのだがエンジンがかかるのが遅そうな感じ。そもそも高木さんからしてストーリーだとか展開の妙という作品ではなく、叙情的というか感情表現の作品であって、最初っから関係性が出来上がっているし、そこに読者の誤読が入り込む余地がほとんどないから安心してどっぷり漬かれる感じだけど、この場合、男という未知なる存在との関係性が構築されてるどころか、競走でいえばスタート地点にすら立ってない状態。
 今期で男と出会うまでの展開になるのかどうかわからんけど、男と出会えば日常に変化が現れるわけで、そのへん緩やかな日常が続くだけの高木さんとは違うものになるだろう。今はその変化が起きるまでの準備期間のハズだからのんびり待つのが吉だとは思う。