リアデイル#12

 主人公が終の棲家を定めてた場所に移住する話。ラストということでもうちょっと歯ごたえがあるシナリオかと思えば、そうではなくしっとりと終わった。Web公開版でもまだ話は続いているし、そのWeb版の更新が終了した後も商業化して連載は続いているのでアレだが、このアニメの終わり方を見ると、空を飛んだ…というのは昇天したという暗喩にも見えてしまう。つまり、このアニメ版は、主人公が病院の停電で死んでいくその寸前で、この世に別れを告げるその短い間に思いっきり健康な体で動き回る体験をゲーム世界で堪能して満足して死んでいった…という解釈も可能で、猫メイドに給仕されてのんびり茶を飲んでくつろぐ姿は、なんか老人が死ぬ前に人生を回顧するそういう風に見えてしまった。
 なんのかんのいって俺TUEEE展開でしかないし、よくある異世界転生モノではあるのだが、自分があんまり嫌悪感を抱かなかったのは、元々主人公が病弱で、生前は主体的に生きようと思ってもそれが可能な状態ではなく、ゲーム世界に転生したというのは、なんというか、神様みたいなものがいるとして彼女の境遇を憐れんでフツーの人間の生活ができるよう猶予を与えてもらい、転生後はちゃんとその意図を汲んだというか、彼女自身が何の屈託もなく与えられたセカンドチャンスを堪能して一生懸命生きていたその姿なんだろうと思う。フツーの異世界転生モノは、転生後に一大決心をして思い切りよく行動したりしてるのだが、転生後にそれだけ主体的に生きていけるのなら、なんで転生前に思いっきり生きなかったのか?というそういう反論が巧妙に拒絶されてるわけだ。それで他者の命も尊重してるわけであって、いくら俺TUEEE展開だとは言ってもそこには何らかの自制が効いていて、ポリコレを振りかざす傲慢さはあまり見られない。
 まぁなんのかんのいってファンタジーだし、ところどころ深く切れ込む場面がなかったわけではないんだけど、全体的にヌルい展開で、冷静に考えたらそんなに大した作品でもないのだろうとは思うんだけど、個人的にはどこか親しみのある作品だと思っていたし、次の話が楽しみではあったので、好印象のまま視聴を終えたって感じ。

わしかわいい#11

 以前クエストで一緒になったパーティーと再会してなんか撃退する話。うーん、よくわからん。というのもこのアニメシリーズに通底するテーマが全然見えてこなかったから。まさか主人公のアバターが美少女に変わったギャップを楽しむとかが本題とも思えんし、今タラタラやってるクエスト消化そのものに意味があるとも思えんし、何らかの成長モノになってるとも思わん。で、これ、もしかして変則かどうかわからんけど2クールありそうな雰囲気。いちおう最終回の予定が立ってるけど、物語としてはあまりに中途半端だよね。とはいえ、蜘蛛ですが…が結局のところ途中で終わってたからこれも続きは原作読めで終わるのかもしれんのだが。で、そうはいってもこの1クールで何を見せたかったのかもよくわからんので、それもまだ最終回までお預けなのかな…。

ファ美肉#11

 主人公ペアがなんか対決する話。なんか承認欲求こじらせてるって感じなのだが、アイデンティティ社会ってのも罪深いって感じ。そっち方面にテーマが寄ってる感じなので、コメディ部分もあまり笑って楽しむ雰囲気ではなくなってるし、なんらかのクライマックス感はあるけど、こっちにしてみれば若者の承認欲求なんてどうでもいいし、そんなものに振り回されるから自分を見失うんだとしか思えないから、子供が癇癪を起してるそれ以上の感想が思い浮かばない。
 上級国民が何者かになろうとすれば、一将功なりて万骨枯るなのであって、庶民が犠牲になるだけだし、庶民の一人がやはり何者かになろうとすれば、やはり他人を蹴落とすことになるだけなので、何かやりがいを持ちたいとか、そりゃ自己実現欲求を持つことはそれはそれで構わないんだけど、それは内面化しとけって話なのであり、能力もないのに社内政治で他人を蹴落として企業の実績を落としてる出世欲の塊のようなオッサンとか、女であるというだけで優遇されたい女とか、まぁそういうものをアイロニーとして描いてるんならわかるんだけども、あんまそういう風にも見えないよねって感じ。

殺し愛#11

 メインキャラ男と女の馴れ初めの過去話。いちおう悲劇展開で今回の話は終わるんだけども、ガキとはいえ女こえーわ、というかこういう女結構見かけるよねってなんかしみじみ思ってしまった。自分は守られている存在なのに、そういう認識が全くなく、周囲を振り回して守ってくれてるその人自身を不幸に見舞わせる。いちおうこの作品だと女の方も犠牲者って立場なので次回以降、悲劇は悲劇なりに予定調和方向に寄ってくるとは思うが、物心つかない子供のすることという形にしてはいるものの、世の中にはこういう女もいて関わりになると厄介だよね…という主張をこっそり埋め込んでいるんなら、なんかこの作品やるなって感じ。

ハコヅメ#12

 痴漢捜査続き。しかもまだ次回に引っ張るという。痴漢程度に大げさやなと思っていたのだが、電車のように冤罪だろうと何だろうと被害者の訴えをそのまま受け付けてオシマイってんじゃなくて、天下の往来での事件なんで、警察の管轄内の狼藉は許さないというナワバリ意識と、プライドなんだと気づいてなるほど。
 しかし、もじゃ髪と黒髪ロングのやり合いは予定調和やな~って感じ。もじゃ髪のセリフは嫌われ者になっても誰かが言わなくちゃならないことだし、直接当人に言ったら心が折れるからワンクッション置くわけで、では黒髪ロングはハイハイと聞いちゃったら当人に正論がやはり直接当たって心折れるから支えなくちゃならないしで、あれは割り振られた役割を各々が自覚して演じてるだけであって、赤髪が殴られ役ってのも事態を収拾させるためのやはり役割って、これは今回の話でもいわれてたこと。
 これは現代だと、成果主義で道理を分かってない管理職がクッションも配慮もなしに直接当人にパワハラかますから組織がギスギスするし、管理職当人は成果主義上等だからまるでわかってない。それでナァナァで済ますと今のキチフェミが調子にのってるように、本来負わねばならない責任を負わないで好き勝手言うことになってこれまた社会が壊れるしで、この描写はある意味社会の潤滑油みたいな機能としてわざわざ提示されてるんだろうなという感じ。ちょうど水戸黄門なんかの時代劇で、「いつもすまないねぇ」「おじいちゃんそれは言わない約束よ」のように、家庭で介護するのがアタリマエだった時代に、老人が調子こかないよう、アレは老人向けに「所詮嫁は他人なんだから介護されていることをアタリマエに思わず、たとえ嫁にダメだと言われても日常から感謝することを忘れるな」という啓蒙なのであって、社会的な学習要素ってな感じなんだろうね…。