錆喰い#8

 知事におびき寄せられたパンダ先生が翻弄され、ピンチにビスコが救出に駆けつけて…の巻。うーん、オールドスタイルのフォーマット。知事が横取りするだけの狡猾さを持っているのに、何の対策もなく正面突破のパンダ先生とか、せっかく知事を無力化したのに止めを刺さないキャラ達、脅迫放送でも捏造とかすりゃいいのにわざわざ姉に反逆される様子まで見せて要らぬ憎悪を掻き立てるとか、わざわざ自分の悪事を御開帳までやってみせるなど、もう合理性の欠片もないシナリオに???。まぁ善玉悪玉に割り振られたキャラ達に想定通りの感情を視聴者に抱かせる目的があるとはわかるんだけども、なんかどこか滑ってる感じが否めなくて困った。いやまぁ物語のパターンなんて限られていて、目新しいことをやろうとすれば、それは王道パターンを踏襲するより得られる効果が少ない…ってことは往々にしてあることなので、ここで昔ながらのお約束を示すこと自体はそう反対もしないんだけど、個人的にはこういうシナリオが世代関係なくパターンとして人々に訴えかける普遍性…というよりは、なんかどこかドンくさい、お約束をどう取り入れたら最大限の効果を発揮するのかという作者個人の見極めや検証が足りない感じがしてどうにもノれなかった。
 しかしまぁ、そうはいっても今回の知事の告白、日本の現状を吐露していてそこそこ価値のあるセリフはたくさんありはした。本当のことは隠して国民に損をさせることばかり喧伝して自分たちは甘い汁を吸う。アベが政権に復帰した直後、彼の経済政策を効果があるだとか絶賛していた経済評論家なる太鼓持ちが大学教授を筆頭として雨後の筍のように生えそろっていたわけだが、そのほとんどがデマを撒き散らしていただけだったのは今となっては明らか。あのときアベ政権に協力した連中は、その後目覚ましい出世をしてるし、国民に追跡されにくい手段で直接カネや利権(その原資を辿れば国民から搾り取った税金)を貰ってたりしたわけで、では本当のことを知っていた学者連中は、真実をわざわざ口にして政権にケンカを売ったら干されるのがわかっているから口を噤んでいたわけで、その結果まぁやっぱり悪人は栄えました、国民は案の定窮乏してます…みたいな状況なわけで、原作者もそういう構造を分かって行間に埋め込んでるし、そういう作品だと分ってるからプロデューサーがこの作品をアニメ化しようと目を付けたんだろうし。で、ストーリーとしての本筋やクライマックスではないのだろうけど、一番メッセージとして伝えたいことがここだから、視聴者にストレスを与える方法をわざと使ってこのシーンを印象付けるそういう目的でこのようにしてたんだろうなとは思うんで、そこはまぁ。