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無職転生

　いつもの年末年始一気見と、ふむふむのお供。1期のうちから視聴したいと思っていたのだけどもなぜか後回しになってた。ちょっと前にネットでバランスが抜群という評価を見て、気になっていたのもある。
　で、あー確かにといった感じ。ちょっと感心したのは今までの物語の要素をいろいろ抜き出し、現実社会の要素も組み入れながら、ちゃんと物語の体裁を取りながら丁寧に再構成してるという感じ。1期の前半は主人公の成長物語で、それ以降は仲間との旅物語になっていて、なんやろ?、ストーリーの基本構成はやはり世界名作劇場のような雰囲気。転移災害は、メタファーとまではいわないまでも、東北大震災の津波災害を意識してるんだろうなと思ったし、そう考えるとラストは復興のメッセージだろうなと思う。なろうでの連載が丁度そのぐらいだからなぁ。で、いじめやひきこもりなどの現代的イシューも積極的に取り込んでる。個人的には、転生後の構成がしっかりしていてそれ単体で十分楽しめるのだから、また生き返るというならまだしも、もう死んでしまっているのだからせいぜい生前の状況を描写するので十分で、ラストの展開はねちっこくてなくてもよいのでは?という感じ。あとヒトガミなる要素もなくていいんじゃね?という気がするのだが、さすがにこれは後々の展開も考えて原作者としては外せない要素として入れてるんだと思うのでそのへんはよくわからん。ヒトガミのヒントなどなくても話は構成できるのになんで?とは思うのだが、おそらくアニメ最終回以降の展開でバリバリ使うんだろうなという。
　実は2期に入ってもこの作品に通底するテーマがイマイチわかんなくて、終盤になってようやく「生に対する肯定」なのかなと思えてきた。まぁ家族というテーマがメインなのはわかるんだけど、今だとフェミが「家族」という単語に過敏に反応するので、割と家族に対する描写はあからさまな感じであって、でもこれだけ前面に押し出してこその人気なのであって、家族というテーマも大きく包含する上位のテーマが仕込まれてるんだろうなという気がしてる。で、各話もしくは数話にまたがるテーマなどが重層的に組み合わさってるから見ごたえは十分。あんまりヒネた勝負を仕掛けてるんじゃなくて直球で迫ってくるし、結論部分はかなりバッサリ割り切って中途半端なところが少ないから力強くも感じる。あとやっぱりキャラの動かし方が秀逸。
　タイトルの後付けには「異世界行ったら本気だす」とあったから、これきっと今日今この瞬間からではなく、明日から禁煙禁酒ダイエットをがんばるみたいな決断力も何もないダラダラキャラの馴れ合いを主に見せられるんだと思っていたから、ちょっと驚いた。画も枚数多くてキレもあるし、アニメのお約束を使ったギャグも確かに内輪ウケ要素を極力排除していてテンポ感よく押し流してる感じ。オーソドックスなテーマで、主張自体にこの作品ならではみたいなものはあまり見当たらないんだけど、視聴して満足感は高かったな。