真の仲間#6

 主人公とヒロインが川遊びをしてキャッキャウフフの水着回。うーん、構造的になんかテーマがなにものにもなれない自分とかそんな感じになってきてる。とはいえ、主人公とヒロインはもうすでに一回なにものかになっていて、主人公はパーティーから放逐、ヒロインはそのなにものかを自分で放棄して自分が欲しいものを手に入れてる状態。なにものかになりたくて焦っているのはサブキャラの、なんか感じ悪い冒険者のにーちゃんなのであって、そして対照的に主人公の家に遊びに来てた子供は別になにものかになりたいとは思っていないという。コレ、オモロイのはそういう立場が主人公以外は全員固定されていて、おそらく主人公が保留状態にあること。パーティーから放逐されてなければ主人公も英雄と一緒に魔王退治に同行してただろうし、今回の話だと魔王退治に仮に興味がなくても妹が心配ではあるだろうしで、これ、今魔王退治パーティーが主人公が必要だといって捜索してるけど、このアニメのクライマックスとして、では主人公が魔王討伐パーティーから誘いを受けたとして、それに応えるか拒絶するかみたいなのが来るんだろう。主人公は今居る土地でそれなりの存在感を示しているようだし、今更戻れと言われても…みたいな流れで、個人的には断るという展開であってほしいとは思うのだが、まぁ魔王退治にちょっくら手を貸してそれが済めば後はほっといてくれみたいな結末が妥当なんじゃという感じはする。主人公を放逐した魔導士もお前はいらんと意趣返しもして欲しいところだが、どうせ主人公の性格付けだとあいつも退治には必要だし…でうまくやってくとかそんなの。そういう予定調和はあんま見たくはないんだけどね。
 うーん、この作品男のドリーム全開の妄想アニメだと思っていたけど、こう悪化し続ける日本の就職環境という点においてはむしろアクアトープの「やりたい仕事がやれてる自分カッケー、不満も努力で解消」みたいな脳筋より課題設定がマシになってきてるのが意外といったところ。まぁどっちがという議論をするとすればテーマがすれ違う感じではあるので優劣を問うのはあまり意味がなさそうな感じだが。
 あーあと、英雄とジャヒーがどちらも@大空直美なのがなんとも。とはいえ演じる役柄がほぼ重ならないのでわかりづらいというのがあるんだろう。いちおうジャヒーの声だと思って聞くとなるほど大空直美だわとは判るんだよな。

平家物語#9

 敦盛の最期まで。なんか語り部は母親に会ってるし、静御前に助けられて行動を共にするかと思えば、平家の最期を看取るために袂を分かつという流れ。木曽義仲、プチ平家と前回言ったのだが、なるほど扱いもプチであって、あっさり流されて逝った模様。兼平の最期が平家物語では壮絶なエピソードなのだが、それについては描かれてなかった。敦盛の最期も元ネタこんなに激しく組み合っていたっけ?とネットでggってみたらやはり自分の記憶の方が正しかったような感じ。でもまぁ実際はこんな感じだったんだろうなとは思う。そうそう当時の貴族はお歯黒なんだよな。確か江戸時代まで続いていたようだけど、それやってたら現代の視聴者ドン引きという判断なのだろう。武者は討ち取られたときに見苦しい姿をさらすわけにはいかないから、化粧をして出陣してたみたいだが、白粉を塗ったり、目の縁に隈取みたいなものはちゃんと描いているから当時の風俗を無視してるわけではないんだけど、うーん。鵯越も見たかったと言えばそうなんだが、大体平家物語だと一気に駆け降りるみたいなダイナミックさがあるんだけど、野生の鹿しか通れないんだったらフツーはおそるおそる下りたはずで、それじゃあ絵にならんわな。あとやっぱり義経は美少年に描かれてた。現実の義経はヒラメ顔の出っ歯だったという記述があるらしくて、本当のところどうなんだろとも思うが、判官びいきという言葉もあるように義経人気で美化されたんだろうなという気はする。
 あと、平家の都落ち太宰府まで到着してたのか。てっきり播磨→讃岐→壇ノ浦と、どんどん西に移動して関門海峡で途絶えたというイメージだったから、この歳まで誤認してたのは結構自分もアホやなといったところ。

暗殺貴族#6

 自立していた少女たちを拉致した既得権益層から主人公が魔力持ちを助ける話。わりとエグい話。ストーリーがということではなくてこれの元ネタになったであろう現実の犯罪との類似性があまりに高いから。子供をダシに補助金ウマウマの商売は、ちょっと前に子鼠と組んで、そして最近また顔出ししてきた駒崎あたりのレントシーカー、そして少女を囲って貴族に売春させるのはプチエンジェル事件。プチエンジェル事件は少々古いからピンと来ない人もいるだろうが、顧客はモロ自民盗議員だったというアレ。もっと大きな構造でいえば、自立の手段を奪って特権階級に従属させ言いなりにさせるという構図は、市場原理主義で自営業者を潰し、大企業どころか派遣業者に搾取される現代の非正規労働者のメタファーが今回の少女達みたいな構図と一緒。自分なんで黒髪ロングのエピソードがなかなか出てこないのか不思議に思っていたのだが、いちおう前半の区切りとして(大抵今までの集大成とか話の整理として一つのクライマックスを折り返し地点に持ってくる場合が多い)ここに大きな主張を持ってくる作品が多いから、ああなるほどという感じ。銀髪金髪のエピソードはやろうと思えば1話にまとめることができるし、銀髪は恵まれた層、金髪は家計の問題で、この黒髪ロングはモロ社会問題。
 しかしなんだな、結局救われるのは一人だけなんか…みたいなもやもやはある。救うのなら全員と思ってしまうが、それだと悪人の悪行は未遂に終わってしまうし、執行済みということにするんだったら、なんで手駒一人だけが無事?みたいなものはある。別に救うのが間に合わず、絶望の淵にいるところを主人公に拾われた…でも構わないワケでそのへんのやるんだったらやる、やらないんだったら巧緻を尽くして要素を有機的に組み上げるべきと思うが、まぁこの人の作風は回復術士で確認済みなので、らしいと言えばらしい。
 そして回復術士がそうだったからでまぁ先の見通しもついたというか、今回の話でいえば、顧客の貴族が逮捕された…というのもリアリティがない(プチエンジェル事件では顧客の逮捕者がいなかったはず)し、今後意趣返しのターンになるから視聴者にカタルシスを感じさせてガス抜きさせるだけなんでしょみたいな。で、なんだろ?やはり回復術士と同様、現実社会でも権力層は治外法権上等で攻めてきてるんだから、庶民は合法的手段を積み重ねたところで警察検察裁判所みんな特権階級のお仲間上級国民なんだから、そんなことで勝てるはずがないでしょ、大切なものを守るためには強くなければならない、そしてそれは上級国民が非合法的手段で攻撃してくるんだったら、合法的手段だけに頼るなという結論を延々示して終わる…みたいな。