迷宮ブラカン#7

 未来編の魔王に頼まれ、今一度過去に戻って世界を救う選択をするが…の巻。うーん、この展開はちょっとしんどい感じ。まず主人公が転生先の厳しい世界になんらかの親しみを感じてるにしては説得性が弱いし、状況を見るに見かねて手を貸すにしても動機を裏打ちするだけのものを今まで描けていたか?というと疑問に思うほどのシナリオだったように思う。なにより、現代日本ではブラック企業は選択肢として選ぶべきではない、もしうっかり見抜けずに入社してしまっても機を見て逃げろという流れ。ブラック企業ホワイト企業に変えるべきだとか、ブラック企業を蔓延させてしまう日本のシステムをなんとかすべきという論調でもない。いちおう主人公に自分が成り代わってやるという態度表明をさせてこの方向性にもってくためのエクスキューズをしているが、主人公に世直しを背負わせるのは現実の反映としてもムリがあるし、まぁ今までの主人公の危機の乗り越え方からすると物語上なんらかの改善はするという形に持っていけるにしても、それで現実のサラリーマンが少しばかりの夢をそこに見てなんらかのガス抜きなり希望を持てる流れに本当にもってけるの?という心配がある。いやだって、主人公、今まで危機を乗り切っても、結局のところ全体の構造を変えなかったジャン…みたいな。
 いやまぁ日本に帰るor過去に戻って世界を救うの選択肢のときに、そりゃさすがに日本に戻ってちゃ話にならんでしょとは思うのだが、だったらもうちょっと転生後の世界に主人公が愛着を持っていたというふうに今まで積み上げをしとくべきだったんじゃないかなぁ。いやまぁこの作品がそもそも、現状が厳しくても自分の力で運命を切り開いていけという主張なんだから、そういうキャラ同士の関係性で同情を買うような流れにできないのはわかってるんだけどサ、なら主人公は日本に帰るって流れになるジャン。そうしないなら未来編がまるまる要らなかったんじゃないかな。と現段階では思う。でもまぁまだ中盤も半ばなんで、今後の展開次第でこの流れも後後の展開には必要不可欠だった…ということなのかもしれないしで、判断を下すのはまだ早いというか。この作品主張としては力強いものがあるし、作品みてたら何とかなりそうなそんな受動的な態度でなく、主体性を軸にしてきたからなかなかいいんじゃね?と思っていたのだが、今回はちょっとズッコケた。

マギレコ2#4

 前回助け出された主人公が妹の友達の情報を得て会いに行こうとする話。ドッペルなるやり方が魔法少女の魔女化をかえって促進してしまい、それでにっちもさっちもいかなくなれば隔離されてしまうという。まどマギのきゅうべえが少女たちを甘言で騙し…の形を変えた繰り返しではあるが、いちおうこれで前回からの怒涛の展開から一息ついて、状況は良くはなっていないがとにかく踊り場のような気はする。
 やっぱまどマギキャラが出てくるのに違和感があって、結局マギレコのほうは割とつながり重視みたいな感じできてるのに、まどマギはとりあえず一人一人が独立していて彼女たちが彼女なりに自分の選択を背負ってきたというそれなりの覚悟ができているというのが大前提にあって、ではそっから各自の問題解決においてもうちょっと他のキャラにも、そして全体の構造にも目を向けましょうやって感じだったと思うので、まどマギ最後の鹿目まどかの選択からすると、マギレコはどうしてもスケール感がちっちゃく感じてしまう。まどかは最後には個を捨て全体と一体になることを選択してたはずなので、いまさらつながりを重要視して奔走してる姿を見るのはなんかもったいないというか。まぁおそらく本作のまどかパートはまどマギとは別の世界線を辿ってるはずなので、本作がまどマギの外伝というより、まどマギの世界観もキャラも拝借した、まどマギとは別の物語としてみたほうがよいのかも。
 虚淵が、それこそサンファンのほうに魅力を感じて他の仕事を断ってるんだとは思うが、サンファンサンファンで、あれもそれぞれのキャラが自律していて、確固たる人格をもったキャラ同士の命のやり取りって感じなので、そのへんまどマギもその系統…というかまどマギのほうが先行作品なので虚淵らしい作風だと言ってよいと思う。ところがマギレコだとこれはもう弱いものが群れる話なので、個人的には相性が悪いと感じてる。まどマギがあれだけ流行ったとはいえ、実は現代日本だとむしろ弱いものが群れて力を増幅させないと社会的な力になりえないんだろうなとは個人的には思っているから、こちらのほうが世情にあってるような気はするんだよな。なので、まどマギキャラの人気にあやかるんじゃなくて、マギレコはマギレコとして自分の主張を押し通せばよいのであって、まどマギキャラを入れ込んでしまうのは、いやまぁ今後の展開次第ではあるんだけど、あんまり感心しないなぁといった感じ。