精霊幻想記#1・2

 異世界転生してもにょもにょ。これもあんまり気が進まなかったのだが、それほど躊躇なく視聴リスト入りさせた。かなり典型的な異世界転生モノだし、なろう原作なのだが、ストーリーも平凡なのに…とさんざん言ってはいるが…視聴後感は悪くない。
 HJ企画モノといったら、なんか共通点があるような感じで、これは自分でもうまく言語化できないのだが、背景としての世界情景がよく似てる感じがする。緻密な描写というワケでもなく、でもそれはおそらくストーリーに注視させるためであって余計な注意喚起をしないって感じかな。まぁすべてのHJ企画アニメを見たわけじゃないのでアレだが、下品方向での作品でいえば、クイーンズブレイドあたりとやはりよく似てる。背景のやたら明るい色遣いだとか、アニメ塗りが映えるキャラデザとか。ストーリーもそんなに突き抜けているわけでもないんだけど、QBを視聴した感じだと、ストーリーを貫くテーマが割としっかりしてて、ドラマ性もそう悪くないとちょっと意外に思った記憶がある。とにかくバランスがいいんだよ。ただ、QBと違って、この作品どう考えてもおおきなおねえさんむきだとしか思えなくて、神拾なんかもどちらかというとそっち向けのような中性的のような。でもそういうターゲット層の性差にもよらず、なんとなくHJらしさというかHJカラーみたいなものがあるような気がしてる。そういや神拾、2期やるらしいな。
 なんつーか、HJといえば昔はMAと並ぶスケールモデルの硬派な雑誌だったんだけど、MAではなくMGと並ぶ、実体を伴うホビー総合誌になっていて、まぁ要するにオタク趣味をガチで追及してると思うんだけど、こういうコンテンツ事業だとオタクに振り切らないさじ加減というのが感じられる。今回の話だとロリ先生と主人公のかけあい、おおきなおねえさん向けの、「自分を一人の女として扱って欲しい、気の利いた言葉でちやほやして欲しい」という欲望に応えているのではあるが、腐向けアニメのように聞いてるこっちまで歯が浮いちゃうような振り切り方はしないというか、そのへんドリーム全開の世界観とは裏腹に、テキストはやりすぎないというか、悪ノリしないので、そこへ上記の通り、ドラマの基本は押さえているのだから、パンチは若干弱く感じても、そう悪い作品であるという感じは受けないということになる。実際の編集方針だとか、企画会議でそういうのが盛り込まれてるのかどうかはわからんので、とりあえず自分が視聴した範囲でぼんやりまとめてみるとそんな感じ。
 さて、今回ビックリしたのが事故の描写。異世界転生モノの中には経緯なんて以下(ryの作品も多いし、別に詳細に(とはいえバスの乗客自体は詳細に描かなくてはならないらしい)描く必要もなく、こういうことがありました程度で構わないので、この力の入れようは類を見ない感じ。
 前近代の特徴云々を言っても仕方がないのだが、今回視聴して気になったのは、公平なジャッジがいること。ロリ先生もそうだし、剣術の先生もおそらく貴族なはずだが、貴族の子弟が差別意識丸出しなのに対して、そういうのがほとんどない。あとこれはわかっててやってると思うんだが、主人公が学業などに手を抜かないのは、これ昔だったらアレは自己アピールのはずで、貴族は自分が学業成績で卓越する必要も剣の達人になる必要もなくて、そういうのをいかに見つけて使いこなすか…が本分だから、本当なら貴族のほうで真っ先に目をかけて、オマエ見どころがあるから将来は自分の家来にならないかと持ち掛けるはず。そいつの才能が卓越してればしてるほど、家来にしたときに家の発展に貢献してくれるはずなんで、貴族の中で平民一人、その平民の才能が飛びぬけているとならば本来は争奪戦になってもおかしくない。それを貴族の嫉妬という風にいかにも現代のスクールカースト制を彷彿とさせている、いやまぁ世界名作劇場でもこういう構図は山ほどあった*1のではあるが、だからこそあーオールドスタイルよなとは思ってしまった。
 まぁそんなわけで、なんか要所要所を締めてるみたいな感じはあって、外形的にはどう考えても平凡な今ドキの異世界転生モノなのに、そうストレスを感じずに視聴してしまったので、そのへんの魅力を探りながら視聴していくんだろうなという感じ。

*1:とはいえ、世界名作劇場はそのほとんどの作品が近代化を意識してるのであって、平等だとか自己決定権などのテーマからしてああなってしまう