サンファン~#13

 前回の因縁は風呂敷をたたんで、また火種を作って続編を期待させてEND。なんかこれも一旦視聴を休止してから時間が経ってしまった。でも再開したらやはり勢いで最終回まで一気に。西幽の暗君の正体はというところまで読めなかったし、鳥海キャラの仕掛けも読めなかったおかげで、終盤はかなり楽しめた。アクションはやはり激しすぎて何やってるのかわかんないのはいつも通りだったと思うが、ちょっとばかしわかりやすさは考慮に入れたのかなと思わなくもない。
 製作は台湾がメインだと思うんで、もしかして中国との摩擦も作品中に織り込むのかなと思って視聴してたんだけど、どうもそのへん要素が薄いように感じた。まぁ冷静に考えてみたら、それ埋め込んじゃったら余計大陸中国に目を付けられるだろうから、避ける方が順当だろう。なので、むしろ社会批判というか政治批判は日本の現状に対して…のほうがしっくりくる感じ。ただ、日本には主人公や義憤に駆られた将軍のような人物はいない。で、そのいないことこそが批判になってるという感じなのだろうかという気はする。
 これは前に書いたかどうか自信がないのだが、日本のドラマとは違って割と悪役は絶対悪として描くんだなという。最近の日本のドラマは悪役にもそれなりの理屈を付与してたりするのが多くなってるという気はするのだが、それだと対立構造がボやけてしまうし、政権に都合の良いガス抜きになっちゃうのでカタルシスが得にくいというか突き抜けは足りなく感じる。せっかく物語を通じて視聴者に訴えかける機会があるというのに、そこで予定調和に逃げてしまうと、それ、本当に視聴者の心を本気で掴みに来てるの?ということになるし、クリエーターとしてやる気あるんか?ということにもなりかねない。最近の動向からすると、人それぞれに正義があると賢しらに主張したところで、では世界はわざわざ弱者から強者に対して寛容の心を示したとして格差は縮まってるのか?と言われたら、現実はそうはなってないワケで、この状態が続いていくのだとしたら、そういう予定調和の物語は結局のところ搾取構造を強化するものにしかならないのでは?という気はする。なので、この作品で悪者は悪者としてちゃんとメインキャラに対置させる構図の作品を見ちゃうと、日本モノのテキストは、もう敗北主義そのものなんじゃネェの?というのが浮かび上がってしまう。弱者は弱者なりに弱いのは仕方がないんだけど、最初っから戦わない理由を探してそこに籠ってちゃぁそりゃ社会構造は変わらんでしょみたいな。なので、日本の作品ではまぁライターも知恵を振り絞ってリライトしてるからそれはそれでカタルシスは得られるんだけど、それは腑に落ちるって感じしかしなくって、海外作品のように前進する力にはなりえないというか。で、この作品もシナリオは日本人である虚淵が書いているのだから、別に日本人ライターにそういう気概がないのではなくって、日本人向けに書くテキストはマーケットを見据えてそういうバイアスに振るしかないんだろうなという感じ。
 まぁ未だ日本は占領状態ってことなんだろうね。

ドラゴン家を買う#1~12

 ふむふむのお供その2.最初の数話はなんじゃこの生温いテキストはと思っていたのだが、そのほんの数話を切り抜けるとがぜん面白くなってくる。家を買うのはダシにしか過ぎなくって、本編のセリフでもちゃんと言語化されてる通り、可愛い子には旅をさせよという構造で、主人公のドラゴンであるレティとそのメンターである魔王の構図は、途中魔王の過去話で、かつての魔王とバーニーや大蛇との関係でメタ構造になっていて、エピソード自体は昔からあるものだけどちょっとばかし工夫してある。中盤には日本社会というか政治の批判も仕込んであって、行間を読めばかなり面白く感じるように作ってあるが、その要素は終盤では収束していって物語としての体裁を整えて閉じていくので、手堅くまとめてるなと感じた。子育ての要素も入れてるし、キャラデザを見たらまぁおおきなおねえさん向けなんだろうなとは思うが、物語の軸は昔ながらのものなので、あんま男女関係なく楽しめる感じ。この手のジュブナイル系作品を読みなれてる層には改めてチェックする必要もないとは思うんだが、手慣れた感じでまとまっており、そう悪くはないかなといったところ。不動産ネタあるあるを積み上げて馴れ合い自己満足的作品ではないからそのへん外れではないと思う。