ひげひろ#10

 いつの間にか吉田の外堀が埋められてたという話。うーん、よくわからんところだが、近代市民的感覚からすると、吉田のいう通りあとはヒロインの問題で終わっているのだと思うのだが、前回のあさみの焚き付けといい、今回の吉田の会社の周囲からの誘導といい、もうヒロインのフォローアップをトコトンやるべきみたいな流れになってるのはどーゆーこと?みたいな。いちおう家出少女を拾っていいことがあるに違いないという動機の視聴者へのボーナストラックなんだろうなという気もするが、ラスボスが母親になっていて、おそらく話は通じなさそうな予感を匂わせてそりゃ誰かの支援がないとうまくいくはずがないでしょという展開にしてるのはなるほどなぁとも思う。それでうまくいくかどうかはともかく、現実社会でのこういう親子関係のねじれを何とかする際は、まず親と子供を引き離し、しかるべき仲介者が仲立ちをするという手法はそこかしこで取られているわけで、案外リアリティがない話でもない。
 で、兄の話からすると、ヒロインは吉田のもとでいわゆる「育ちなおし」をしたということになってる。幼児期に何かが欠けているおかげで機能不全を起こしたまま年を重ねてきたからまともに成長をしていないのなら、それが満たされた状態でもういちどやり直して人としての成長をしましょうってのも、現実に行われている手法でもある。いや、ホント、結構下世話な期待感を煽るエンタメものながら、細部ではちょこちょこ詰められてる感じがあってなかなかにして侮れん感じ。
 しかし、緊急時の対応には抜けているところがありながら、兄が礼儀正しい常識人というのも、登場の仕方からはちょっと想像できなかったところだし、そのへん油断ならん。でもなんだろ?、そう期待させているだけなのかもしれないが、ヒロインは吉田のことを単に父親を投影してる存在なのではなく、父性を兼ね備えた恋愛対象と見てるとしか思えん。吉田も言ってることは一般人のそれなのだが、周囲が煽ってそういうことにしたいとか、上記のように誘導してるという風に見ているのだが、物語の流れ的にはやっぱり吉田も恋愛対象として見てるということにしたいんだろうなという気もする。
 しかし、もう終盤を迎えてふと考えてオモロイと思ったのだが、昔ばなし的には鉢かづき姫に似ているが、個人的には王子の嫁取り物語の男女逆転版と思えること。普通男なら手を付けるところをそうではなく、会社でも上司に期待されるほどの有望株で、正義感が強く、昔の村落共同体なら指導者になっているぐらい吉田のステータスは高そう。つまり登場人物の中では賞品としての価値が一番高い。ヒロインはスティグマを負いながら諸国を放浪する貴種流離譚の形をとっており、流れ着いた先に一番の伴侶を見つけたとかそんなの。吉田も今いる会社辞めるのか、もったいないとは思うんだけど、ヒロインと一緒になれば荻原フーズかなんかに受け入れられるだろうしでそんなに心配することもないのかな。

恋きも#11

 父親と亮が実家でいつも通りの険悪さだったが、父親とヒロインが出会っておそらく認識を改めたであろう回。
 まーよーできとるわというか、昔ながらのフォーマットって感じ。父親は久しぶりに息子とあってるから変化に気づけないが、迂回路で変化を知るという流れでまぁフツーに大団円の流れ?。どちらも横やりを回避して清算済ませてるしな。
 っつーか、息子の過去のあり方を思えば、そりゃ高校生と付き合って迷惑かけてると思うのは当然の流れで、むしろ母親のほうがヤバい。今回の、娘の友達と息子がつきあってることは知っていて、息子のことを信じられないと言ってるわけだから、要するに高校生とつきあっているのに息子は女遊びをしてた頃の感覚でいたってわけでしょ。
 でもまぁ母親の感覚がオカシイというよりは、娘からの話でそうえげつないことになってるわけでもないことは察してるはずなので、ゆくゆくは結婚を考えているんでしょという感覚なら、あれは昔だったらフツーのことなのだろうという気がする。自分の従姉の話だが、見合いで結婚した相手がかなり年上の人で、それこそ従姉が高校を卒業してそう年月が経ってるわけでもなく相手は40代だったから、自分もビックリした記憶がある。ヒロインの母親も好意的だったし、そりゃ相手の男は見目麗しく、おそらく一流企業の社員で、気遣いもできるとあれば結婚相手としてお眼鏡にかなってるというのは、年上ということを除けば大歓迎の要素だろう。しかも娘は今回の話のように特に将来の進路についてはっきりした展望も可能性もあるわけではなく、夢に向かって必死に努力しているというワケでもないんだから、ぼんやり大学行って、それこそ男女問わずそこそこの大学に行けなければ大した就職もできない時節柄ともなれば、行き遅れになるより明るい未来でしかないという感覚もわかる。でもまぁその感覚は、現在の日本では階層としては消滅してしまった中流のものだよな。いや下層民なら一層娘はエエトコの嫁ってのが昔より願望が強いかも。
 なんか終わりに近づいてきて、自分でも意外だったのだが、割と昭和期の香りが強い作品だったんだなというイメージ。体育教師、アパレルブランド立ち上げ、弁護士、どれもキラキラしてんなとは思うんだが、今は一流大学出てなけりゃサービス業でクレーマーの相手をしなくちゃならないし、そりゃ昔は専業主婦で家に閉じ込められて自分の可能性をつぶされてるという感覚があったんだろうが、一定以上の職業につけなければ、家で家事や育児をやってる方がまだ気が楽なんじゃね?という世の中になってしまってるんだよな。少なくとも自分の行いに関する責任範囲にとどまることができるんで、下手に就職してしまうと他人に振り回されるぶんだけ擾乱要因が増えてなんなのコレみたいな。

やくも#10

 コンテスト出品作品の釉薬決めと焼き終わり。こうやって人があまり知らなそうな小ネタをぶっこんで説明するのうまいな~と思いながら見てた。しかし主人公の母親が高校在学中に作ったという丘の上のあのオブジェ、どうやって焼いたんだろ?。学校にあれだけの大きさのものを焼く窯はなさそうだし、企業に焼いてもらったとか?。電気代とか考えたら割とコスト高そうな気はするが。それともパーツに分けて焼いてあとから接着したとか?。
 次号予告でコンテストで賞が欲しいらしいがどうかねぇ?。どうせ繊維ひもの部分は座って圧力がかかると沈み込んで結局陶器のごつごつしたところがあたるので、とても座り心地が良いとは思わないんだよね。でもアイデアがよいし、座って涼しいというコンセプトと、目の粗いひもを編んだ構造の喰い合わせが良いので、アイデア賞ぐらいとってもおかしくなさそうな気はするが、それ以上はとてもみたいな。
 実写パートは今回のお話に対応させたのか、以前作ったカレー皿の色付け。そりゃ陶芸に関してはドシロートなんだけど、セリフにあったように没頭する様子は視聴していてよく伝わってきたというか。なんか実写パートもバラエティ程度の意味しかないんだろうけど、情宣としてはそれなりによくできていて、あんまり馬鹿げてるという感じはしない。これ目的で視聴するかといわれたら厳しいけど、暇つぶしにはちょうどよいというか企画として失敗してるとは思わないなぁ。レヱルがこの実写版に全体的に劣ってるみたいな。陶芸と鉄道、多治見と人吉、どーしてこうなった。