スパファ#12

 主人公が次々新しい任務を引き受けさせられるが、娘の協力で一つ任務を達成する話。いくら人が少ないからって、兼務はないでしょみたいな。数あるスパイものだと、大抵一人一任務で、他国に潜入して組織に貢献することなく潜んでるだけみたいなものもあるというのに、アレではいくら凄腕でも目を付けられることになる。家族モノとしてみる分には何の問題もないけど、スパイ関係の話はやりたい放題になってきてる感じ。
 あと、水族館がやけに現代的過ぎる。何日か前にこの作品はシットコムなのだという書き込みを見てそれで得心する部分も多いのだけども、むしろシットコムの方がまだ時代考証に真面目な*1感じはする。
 やっぱり東西ごちゃまぜなのがイマイチな感じ。シットコムなら勢力同士の違いを戯画的に描くのが普通だし、個人的にも両方ごちゃ混ぜなので、両勢力の文化的、もしくは社会的背景が一緒だから、なんで両勢力が仲たがいしてんの?となる。とはいえ、敵国内に潜入してるから、今一主人公の本国がどのような文化的社会的背景をもってるのか、読者はまだ目にしてないということかも。
 これで一時お休み。後半はまた10月からの予定。

くノ一ツバキ#12

 主人公が男とされる、実際にはそれと判別できない絵を見る見ないで右往左往する話。群盲象を撫でるようなもんで、そのへんやきもきする姿はよく描けてると思うんだけど、正直引っ張り過ぎという気がしないでもない。続編あるんならこのペースでも構わないし、実際連載はこういう方向性なんだろうと思うと、あのね商法としてよく考えられてんのかなぁという気はする。サザエさんだとかドラえもんみたいな日常がずっと続く…という作品なんだったら引き延ばしに次ぐ引き延ばしで、こうやって思春期のいろいろなネタを繰り出して読者はそれを楽しむって方向性ならわかるんだけど、やっぱり男を見知る、もしくはその先に男と触れ合うというゴールというか、物語上のミッションが立てられているとみるべきなので、そのへんやっぱりどういう意図なんかわからん感じ。とはいえ、高木さんがメイン二人が距離を詰めながらも、二人がくっつくというゴールという漸近線に近づいていくだけで、本当のゴールには達しないという作風だったから、「男」にいつどれだけ近づけるか、もしくは出会わさせるのかは作者の胸先三寸というべきかねぇ。
 とにかくやきもきするってのが正直なところ。別に主人公が男と出会ったらそこでこののほほんとした、どっか心地よい風景がそこで失われるような気もするんで、出会うシーンを特別見たいわけではないというか、出会うなら出会う、出会わないで日常を描くなら描くではっきりして欲しいという感じなのだが、方向性が見えないのがこんなにももどかしいとは…というのを思い知らされる気分。

式守さん#10

 運動会の参加競技で、主人公が男女混合リレーのくじを引き当て、仲良しメンバーが次々と立候補し、練習ののち優勝する話。うーん、ああいうので優勝するなら大抵は運動部でチームを組むもので、くじ引きでメンバー決めしたならクラスメイトもあまり無茶は言わないもんだと思うが、まぁそこはね…。球技大会でもヒロインが勝ったりするから、運動部自体もそう強い学校ではないんだろうなという気もするが…。運動部がガチならありえないけど、進学校で部活動は息抜き程度の位置づけの学校だとありうるかな…ぐらい。
 まぁ優勝はやり過ぎなんだけど、今回の話の本筋はいつもの仲良しメンバーが協力して成果を出した…というよりも、おそらく主人公のコケそうになるところからの踏ん張りのシーンなんだろうなと思った。あんまり理屈をこねくり回してもなんだが、いちおう片方の靴が脱げて転びそうになるのを主人公自身が片方の靴も脱ぐことによって「能動的にコケるのを回避した」というふうに個人的には解釈したので、自分の不幸属性に対応してリカバリーした結果、リレーでは成果を出し、そのことから男女混合リレーのくじに当たったことが不幸ではなく、むしろ忘れることのできない思い出作りという点では当たり籤になったというフィードバック構造が今回の目玉なんだろうということ。なので、今回のメインキャラは運動神経の良い三人ではなく、運動が苦手な二人の方にクローズアップしてる。一般的にもボトルネック構造というものがあって、一番行動の遅い段階の性能が全体のパフォーマンスを決める…ということであり、システムではその底上げこそが重要なポイントになるという。そういうことを象徴的に示すために誇張して優勝した…という提示にしたんだという他ない。なので友情が大切だとか、何のかんの言って足の速いものが頑張ったから優勝できた…とか思ってたら、このシナリオの意図を読み間違えるんじゃなかろうか。
 しかしなんだな、OP映像から、きっとオリジナルシナリオがあるんじゃないかと思っていたが、予断は許さないものの、なんかなさそうな雰囲気かも。原作が四ページのシチュエーションありきのエピソードの毎号での羅列という構造から、あんまり物語性は高くなくて、単調な展開の繰り返しなんじゃないだろうかという噂もネットで見かけたのだけども、案外物語っぽくはなってる。他のエンタメ重視でジェットコースター的展開をウリにしたシナリオと比べると確かに見劣りはするが、萌えアニメとかやおいとかは突発的に盛り上がりがあるだけで、大抵が「推しキャラ」がいかに尊いかというエピソードのアソートでしかないから、そういう作品に馴れてるとあんまり違和感はないんだよな…。

カッコウ#10

 メイン二人の親との関係性の巻。主人公と妹が母の日に贈り物を買いに行くが、母が何を欲しがってるのかわかんないという流れで、あーなるほどねぇといった感じ。子供を大事にする母親だと、自分のことより子供を優先するから、貧乏だと自分のやりたいこと欲しがることを後回しにしちゃう。なので、子供からすると母親の嗜好がわからないということになる。ヒロインの方はヒロインのほうで、父親が勝手に決めちゃうから父親に会いたくない…という話だったのだが、ヒロインは父親の経済力に頼りっぱなしなので、ずいぶんぜいたくな悩みやな…という構図。貧乏人は子供に分け与える資産などないから、子供は自分の力で勝手に生きていけということになるが、カネ持ちは子供に資産を受け継がせたいから、子供がトチ狂って財産を消尽しないよう管理方法を教え込まなくちゃならない。カネ持ちの子供であればあるほど、豊かな生活に慣れ切って親の経済力のおかげなのに自分で何でもできると勘違いするので、親が管理しようとすればするほど反発することになる。まぁそれを象徴的に示したのが、クレジットカードやスマホがなければなんにもできないヒロイン、かといって自活できる力があるかといわれたらカップラーメンを作る程度という形。
 んーなんやろ?、カネ持ちのボンボンはお人よしが多いとは聞くんだけど、割と贅沢な暮らしをさせがちで子育てに失敗することも多いみたいで、政治的権力者は日本では男の長子相続だったりするのだけども、逆に商人だと、跡取り息子を育てるというよりは、実の娘をエサに実務力のある番頭を婿入りさせてという場合が多いらしい。この作品だと主人公が勉強好きで…というあたり、実務力のある番頭の立ち位置で、しかも育ての親が別にいるけど、ホテル王にとっては実子でもあるからこれは理想的な状態ということになる。学校の勉強もまじめにやらず、動画投稿サイトに夢中なヒロインに、どう考えても家業を継がせるわけにはいかないのは明白で、顔立ちはいいのだからもう本当に主人公を釣るためのエサとしての役割しかないのが見て取れるというワケ。取り違え子がうまいことハマった形でわな。
 そういや鬼頭明里小原好美、今期めちゃくちゃ被っとるなという感じ。このペア、まちカドまぞくでもペアなんだよな。昔のヒロインと比べて低音よりだから、キンキン声より刺激が少なくて耳心地がいいということなんだろう。発音もそこそこはっきりしていてセリフが聞きとりやすいし、今のトレンドといったところか。

サマレン#11

 主人公、正解ルートから外れたことを悟るの巻。うーん、つまらないわけではないけど、またループなのかよと思うとちょっと萎える。もう詰んだのだからせめて次回の参考に得られる情報は貰えるだけ貰っとこうというのはこの設定だと最善手ではあるのだが、死んだら終わりの現実社会だとあんまりない展開だからなぁ。もしかするともうループはないかもという可能性も考えられたし、個人的にはそうあって欲しいとも思っていて萎えると言っちゃぁ萎えるのだけども、とはいえ、本当にもうループするのは確定かといわれるとそこも本当に確定したとはまだ言えないのかなという気がしないでもない。黒髪眼鏡ロングの別動隊が全滅したように見えるから可能性はほぼないんだろうなとは思うけど。ただ、いくら可能性が小さいとはいえその可能性を捨てずにできる限りのことをしてしがみつくというのも展開としてアリだし、メッセージとしてはつよいから、やっぱそっちを期待したいなぁという。危ないことに首を売っ込み過ぎとは思うが、悲劇の瞬間までにタイムリミットが設けられてるからこれはちゃんとエクスキューズになってるとは思う。
 蛭子様に関しては、村にずっと伝わっていた因習か何かを可視化もしくは記号化した存在なんだろうか。宇宙から来た謎の生命体みたいなSF設定だと、実感としての恐ろしさに繋がりにくいような気はするので、なんらかの形で人間のありかたと不可分な存在のような設定になってるとは思うんだが…。

*1:まぁ、大抵は西側から見て東側はあんなに貧しいからこんなオカシイことをするんだという差別感情を笑いに転嫁するためであるわけだが…。