ひげひろ#5

 ヒロイン同士が一斉に鞘当てをしだす話。うわー、この女上司、ズルい女だな~というのがもう始終頭を離れなくて困っていたのだが、しかしこれ物語での役割を果たしてるだけだし、そのへんストーリーテリングの手法がなかなかよくできてるって感じ。ただ、今回の話で明らかになったこととか、今回の話までで自分にとっていろいろ見えてきたことがあって結構面白い作品だと見直した。
 何が結論か…という大上段に振りかぶるのもなんだが、今回の話でオカシイのが、女子高生と社会人とはいえ、やはり年頃の男と女が一つ屋根の下で暮らす状況というのはたしかに異常であって、女上司もそう認識してるし、もちろんそれは絶対的に正しいのだが、これで今回の結論で、主人公とヒロインがそれなりの信頼関係にあるからこの状態を許すとなっちゃうのは、現実的に考えてファンタジーというしかない。ただ、これは主人公とヒロインを二人っきりで暮らさせるという状況ありきでのこじつけなのであって、それ自体がメインなのだからこれはもう仕方がないのだが、普通なら女上司の取るべき手段は、ヒロインを自分が引き取る…とか、それなりに信頼のおけるところに身柄を移すなのであって、今までの状況を続けさせるという結論は本来ならズッコケるしかない。
 ただ、ズルい女だとはいっても、今回の話でこの女上司がなんで主人公の想いを受け止めなかったのかというか受けることができないのかもぼんやり見えてきて、それが処理屋というセリフ。これを上司として直接本人に言っちゃうのもなんだかなぁで、というかそれ絶対言っちゃダメ案件なのだが、とはいえこれはファンタジーなので、これが自分にとって補助線になったように、やはり必要があって言語化したんだなというのがわかる。つまり、主人公は会社に有望株だと目をつけられている人材であって、昔の年功序列型の会社だったらおそらくしかるべき時が来たら出世して管理職になるのが間違いないという立ち位置にある。今だと成果主義が蔓延して営業成績みたいに目に見える数字で成果のはっきりした構成員が出世するようになった組織が多いが、そのおかげで割と社会が壊れたという側面が大きい。これ、出世したい人間は数字の出ない職種は徹底的に避けるようになるし、とにかく数字が大きければ大きいほど出世ができるということになれば他人の成果を横取りすれば(自分が働かなくても上乗せできるからなおさら)評価されるし、とにかく目先の数字目当てで顧客を騙してでもということになりがちで、そういう行動の結果もたらされる不経済な部分はとかく外部に肩代わりさせられてしまい。そりゃ社会は壊れるだろというしかない。だが、主人公は部下の面倒見もよいし、ヒロインとの関係性からすると義理堅く、周囲からの信頼もある。決して仕事ができないという描写でもないのだが、これは昔の組織でいうと、「目に見える数字を出すわけではないが、部下をうまく使って組織を良好な状態に保つ」という人材マネジメントができる人物なのであって、まさに大組織*1であれば必要不可欠な管理職としてうってつけの人間。
 で、女上司は主人公を有望株とみなしてるから、今喰っちゃうと主人公の出世の道を断つことになるし、仮にそれでも喰っちゃうという選択をするのなら女上司は退職するなり別会社に転職するなりして自分のキャリアをあきらめることになるから…というのがわかる。まともな職場なら結婚した二人を同じ職場に留め置くことはしないし、仮に許すとしても片方は子会社に出向なり、支社が別にあるなら転勤させるということになる。なんでそういうことをするかといえば、それはもうそういう状態になったら後輩ちゃんはどう思うかね?で明らかにわかる作りにしてある。二人が結婚したらそれでスパッと気持ちを切り替えられますか?という話。物語なら別にお互い適切な距離を保って良好な関係をつづけましたメデタシメデタシにできるが、現実社会というのは生身の人間が作り上げているのだから、簡単に割り切れる人間もいれば割り切れない人間もいるわけで、ましてや欲望の強さは現実社会ではどんどん膨張している段階なのでそのへんはまぁ。まぁそのへん女上司がズルいというのは社会がどういう原理で動いているのかを分かっているということでもあるし、そういう能力があるからこそ出世したんでしょというそういう作りにもなっている。前にこの会社も自分を社員というより女として見てるというセリフもあったしで、そのへんキレイごとだけの会社でもないというほのめかしもあるしで、家出女子高生というホットイシューを安易にモチーフにしてるのかと思ったら、案外そのへん詳細に設定を組んでる感じ。
 そういう経験はしたことがないのだが、例えば一人旅をしていたら旅先で親切なおっちゃんに出会って家に招待され家族で歓待されたとかという話も昔はよく聞いたし、そのへん女の一人旅自体昔は少なかったし、仮にその一人旅で女が困っていたら同じように歓待した例もあったと思う。いやもちろんそうやって歓待すると見せかけて手籠めにしたという例がないわけでもないんだろうが、見ず知らずの人間を家に連れ込んで親交を深めるということは別に珍しいことではなかったし、家出ということがあればそれなりに気を使っていたのではないかと思われる。
 ただ、現代日本はあまりにも人の弱みに付け込んで特に本作のように少女を消費するようになっているだとか、少女は少女のほうであまりにも簡単な理由で(本作は理由は深刻だと設定されているようだが)家出をするし、しかも少女を包含しているはずの共同体はあまりにも放置気味になっているしで、そのへんなんで日本はこうなった?という問いかけが本作でなされているんだろうなという気はする。

クラマー#5

 サッカー部男子との合同練習にこだわるのと、コーチがやらかしたユニフォームを何とかしようとする話。うーん、なんかよーわからんというのが正直なところ。前回までやってた高校No.1との練習試合、コーチが全日本代表だったころのコネでやれたということで、参加したのは1年生だけでそのありがたみがよくわかってないなというのと、2年生カワイソウみたいな。そりゃ2年生組がうらやましがって焦るのはわかるんだが、それでやることが頼み込むことなのもやっぱどっかズれてて、ユニフォーム獲得の1年生組も含めてやってることがナナメ上なのはどーなの?という感じ。もちろんこういう展開になっているのは意図があってのことなのだが、その意図が現段階では見えてこないというか。普通なら女子サッカー部で猛練習をして、男子との合同練習にしろそのハードワークを見せて納得させるぐらいの流れにするのだが、どうもこの作品、そういう単純な熱血モノを避けているようで、ならしばらく待つしかない。ただ、学校側の対応もよくわからんところで、これもフツーなら、全日本代表、それもそれだけではなくトップ選手を招聘してまでコーチに据えているのに、単に男子サッカー部に部員が殺到したという学校側の都合で、招聘までしたコーチの環境を奪うのはどーなの?みたいな。県立とあるから公立学校で、なんかやたら学校運営の金遣いがオカシイ感じ。とはいえ、この展開は単純に女子サッカー部に困難を与えるって機能だからリアリティに注意を払うのは優先順位が低いということなのだろう。ただそうやって整えて読者に見せているのが、女子部員の迷走ぶりなのだから、よっぽど先の展開で目を見開かされるほどのものでなかったら…という不安はある。
 あーあと、携帯端末を持ってるのに遅刻組と連絡とろうとしてなかったのなぜなんだろ?。後で他人の弱みを握るために使ってるシーンがあるから、フツーに考えて、今ドキの高校生は携帯端末をいじめツールとして使ってるんですよ…とか、緊急時の連絡に携帯端末を使うことに考えが及ばないほどこいつらはバカなんですよという提示でしかないのだが、まぁ後者の可能性が高いとは思ってるが…。
 しかしあれだな、OP動画見てると活き活きと大会でプレイしているところを描写してるから、この展開に持ってくには1クールでは全然足りないのでは?とは思う。どうせ次の#6ではユニフォーム代目当てのフットサルや、男子との合同練習獲得の成否をやるわけだし、1クールだと残りはあと半分。これだけスロースターターなら普通に考えて2クールはあると考えるべきだが、このアニメ化がどのように組まれているかがよくわからんところではある。劇場版は中学生編らしいし、TVアニメの続編扱いではないらしいから、はてさて。

恋きも#6

 会社の同僚が参戦してきて四角関係になりそうな展開。うーん、メインの二人だけの関係性だけではストーリーに起伏が生まれないから外部から擾乱要員を連れてきてるという構図が明らかになってきたので、まぁ二人だけのストーリーだと単調になるから仕方がないんだけど、どっかで見たような構図にはなるよねという。
 亮について想像をたくましくすると、最初のきっかけはわからんが、父親と衝突し、家族に認められない鬱憤を、自分の容姿を武器に女をとっかえひっかえして代償行為を繰り返して晴らしてきたということなのだろう。でもそれを父親が知ってさらに激怒したのなら、それはどちらかというと父親はちゃんと父親の役割を果たしているのだが、亮にはそれがわからないときた。だが、ヒロインと出会ってそれまでもてはやされた自分の容姿になびかない単なるモブとして扱われることに衝撃を受け、特別扱いされないことで脱皮したという風に見える。おそらく彼は先天的なスペックの高さを鼻にかけ、その態度が父親の怒りを買ったのだと思うのだがそれはさすがにまだ明かされてないからわからんのだが、その先天的なスペックの高さが通用しない相手に出会って衝撃を受けたとかそんなシナリオなのでは?。そして純朴なヒロインと接触するたびに謙虚になり、その態度が会社でも温和になったという評価につながってるとかそんな気がしないでもない。
 妹は妹で、そのへんわかってるかどうかはともかく、とにかくヒロインと兄がくっつけば兄が安定するのはわかっているから、そのためにいろいろ支援している模様。妹は比較的満たされてる状態だし、満たされていない兄を見て他山の石としてるから行動にそつがないと解釈すると腑に落ちる。まぁ妹にとっては唯一満たされてない点がそこなので、妹の行動はある意味満たされないところを満たそうとしてるという意味において彼女自身の問題にもなってるというところか。
 まぁアテが外れてしまう可能性が高いとは思うが、いうなれば自分の解釈通りに物語が進んでしまうと以後確認作業だけになってしまうので、逆に自分の予想が外れてくれる方が作品を楽しめてしまうという。まぁ今回参戦の同僚OLも役割的には噛ませ犬なのは明らかで、基本負け犬になる結果になるとは思うが、そういうのを表に出しすぎるとつまらないわけで、いいとこまで迫らせるんだろうなと。ただ、迫らせすぎるとそれはそれでドロドロの展開になり、物語が殺伐とするからやはり一定距離より近づけさせずというバランスにとどめおくとは思うんだが、これも自分の予想通りに進んでしまうとそれはそれで個人的にはつまらないというか。いやいや創作ってなかなかにして難しいもんだねぇ。

やくも#4#5

 #4は父親の愛用茶碗を割ってしまい…で、#5は先生を尾行していった先にあったのは…の巻。#4は先週チェックしてたけど、感想書くの忘れてた。
 #4はそりゃ割った茶碗はそうだろうというのが明らかなのに随分明かすのを焦らしてた。ただ、それをするだけの意味はちゃんとあって、主人公が茶碗づくりをステップアップしていく過程のタイミングがうまく配分されてた。
 #5では、久々梨が邪魔者だろ…と思ってたら今回の話でのギルティは実は…という展開で、ギミックがよーできてた。久々梨の行動が視聴者にとってストレスフルなんだけど、それにもちゃんと意味があったという。
 ショートアニメだから、ストーリーの基本から大きく逸脱するだけの余裕はあまりないはずなのだが、メインの陶芸を軸に、観光地紹介だとかドラマ部分とか詰め込む要素が多いのにストーリー部分をひねってくるのはなかなかシナリオライターも頑張ってるなという感じはする。

*1:大企業であればあるほど、人をどう使うかの能力が大事であって、例えば実務で数字を上げる能力とか会社の戦略を立てる能力とかは必要なく、そういう人間をどうやって連れてくるかとかどう使いこなすかのほうがはるかに大事になるため