蜘蛛T15

 蜘蛛子が同族から攻撃を受けるの巻。うーん、またまた洞窟に逆戻りバトルシーンの連続。エピローグの人間サイドの説明から、おそらく合流するための布石のような気もするが、1クールまるまるファンタジーバトルを延々と見せ続けられてきたものとしてはほんっっっっっっっとにまーたーかーみたいな。万が一にでもないことはないかもしれないが、蜘蛛子が少なくとも物語の最後まで死ぬことはないんだから、どんなバトルシーンがあってもどうせ生き延びるんでしょとしか思わないし、バトルもどうせそうやって結論が最初っから決まってるのだから、それにおいてどんな攻撃を繰り広げたなんかは作者の都合によるのだから、個人的には物語上この展開がメッセージ性においてなにがしかの意味を持つのでなければ興味がないとしか言いようがない。で、前クールでは、バトルシーンの連続で特に主人公の成長にはほとんど意味がなかった、つまり転生前ではスクールカーストに対してあまりにも受け身だった主人公が、転生後に自分の境遇に満足せず、生き抜くことに対して積極的に行動するようになった…という成長はごくごく初期に達成しており、それ以後主人公にはほとんど変化がないから退屈極まりなかったわけで、今回の話も展開上の舞台装置であっておそらくメッセージ性は極めて希薄なんじゃないかと思われるのである。これが現実社会とリンクされていて、読者としての読解力を試されるとか、人間としての存在に深く切れ込んで、お前だったらこの場合どうする?と重大な選択を迫られるとかそんなのだったら、あー意味があるなーとも思うんだが、そういうのでもない。この作品が物語として不条理や理不尽を示し、人間とは?というつきつめをしてるところは確かに文学的な要素があるというのは前も述べたとおりだが、それにしても水増し部分の水の部分が多すぎやしませんか?みたいな。

馬鹿野郎#16

 グランエッジャが独立国を宣言してその後の巻。レッカとリュート二大国にグランエッジャが加わって三国鼎立のように見えるのは、日本人大好きな三国志っぽいが、二大国以外は小国の寄せ集めだし、むしろ春秋戦国時代合従連衡に近い感じがする。君主が度量を示し臣下たちが知略を巡らせるところ、しかもハッタリ上等!なあたりなんかもそうだし、才能ある英傑が亡命して他国の大臣になるのも先秦時代の中国っぽい。
 アローが王になるのをためらっていたのにちょっと引っかかってしまったが、グランエッジャの王ではなく、リンガリンドの王になるために固辞したと考えてよいのだろうか。でもまぁ彼にとっては壁を越えることができたら権力を握ることには興味なさそうだし、オールマイティとして自在に動ける立場のほうが性に合っていそうではある。
 なんかちょっと懐かしい。昔戦国七雄の首都巡りをしたことがあって、臨淄にはまだいけてなくて、邯郸は行ったかというか行けたのか記憶が定かではないが、ほかの都市にはなんとか辿り着けたハズ。当然当時の遺構が現存してるはずもなく、でも後代に増築・改修された城壁なんかがあったりしてこれがそうかと面影を偲んでた。まぁ駆け足訪問だったし、じっくり見回れたところもないのだが、そういう個人的な思い出もよみがえってきてなんだか感慨深かった。