ひぐなく業#12

 圭一が沙都子保護のために村の総意を取り付ける話。なんかえらい明るい話になってきたみたいだが、でも次があるんだよね。綿流しのときに起こる祟りのほのめかしもあるし、果たして本当に沙都子が救われて終わる話になるのかどうか。
 日本のあり方…ということだったら、例えばダム建設にしても地元にカネを突っ込んで、特に土建屋に突っ込んだカネがそこからムラに流れていくようなシステムにして補助金漬けにし言いなりにさせてたわけだが、ダム建設を阻止した住民と役場がそういう補助金漬けの構造を構築してるってどういうこと?という疑問はあるし、この物語でいえば梨花がキーマンになっているようだが、彼女は雛見沢を取り仕切る御三家の当主らしき描写であって、ならなんで彼女も児童福祉施設にいるのか?とか、鬼騙し編だか綿騙し編だかで、あまり物語の主流に関わらず祟りという名目であっさり殺されていたわけで、そのへんの経緯も明らかにならんとよくわからんことが多すぎる。共同体にとって都合の悪い存在を祟りの名目で排除する代わり、共同体からも生贄として犠牲が出るというシステムのようだし、ヘンな話沙都子のおじが放逐されてハッピーエンドになるというそういう結末になるというのも楽観的な予想のような気がしてる。
 折しも明確な違法行為を行ったアベが検察から不起訴処分になったこともあって、なるほどお役所とか腐ってんなという部分も一致してるし、カネで黙らせられているとか、ダメだとわかっているのに雰囲気で支持しちゃってるところの描写からすると、これもやっぱり政権批判要素が濃くてなんとも。

あだしま#11

 安達が勇気を振り絞ってしまむらに縋ってくる話。最初ちょっと意図するものがわかりにくくてポカーンだったのだが、ちょっと考えてこりゃトリッキーな作りだと思った次第。まとめようとしたら、クラス替えがあって疎遠になった安達がいじけてしまむらに粘着してきて、しまむらはそれをウザく思う話…のように見えてしまうのだが、そうではない。物語初期の安達を思い出してみれば、再び体育館二階にこもり、しまむらが会いに行かなければだんだん教室にも戻りにくくなってやがて学校も辞めるという展開になってもおかしくない。なのに、しまむらが体育館に会いに行かなくても安達は自分で今までのあり方を整理するために行動し、勇気を振り絞って他人の目を気にすることなくしまむらにアタックしにいったわけで、これは演出の雰囲気に反して安達が成長してるという展開になってる。で、安達をそのように変えたのは言うまでもなくしまむらであって、今回文庫本を読みに来た女子高生が積極的に安達に関わろうとはしてなかったところからもその対比をしてるのは明らか。
 で、どちらかというと戸惑ってるというか動揺してるのがしまむらであって、クラス替え後、新しい知り合いができても、幼稚園の頃の友人と再会しても、もちろん一緒のクラスになった安達とも適当な距離をとって決して誰とも深く関わろうとしてなかったわけで、それが今回のしまむら自身のセリフにもあった通り、中途半端なのはしまむら本人であって、決断をして行動してきた安達に自分のあり方を再考させられる結果となってる。
 まぁ百合を念頭に置いて愛くるしい二人が甘い時間を過ごしているのを尊いとみなして鑑賞するのでもいいんだけど、こう、利害関係で付き合いを決める要素が少ない思春期で、なにげないきっかけで知り合った者同士がお互い相互作用を及ぼして、もともと成長期でもありはするが、いやが上にもお互いが変化させられていく青春の1ページとして、なかなかよい視点で切り取ってきたなって感じ。