デカダンス#10

 システム側からの反撃を受けるの巻。個人的にはナツメの不安定さがイマイチ。タンカーの皆様方がガドルがいなくなって単純に喜び、今後の生活に明るい展望を持ってるのに対し、ナツメはやりがいが消えて八つ当たり。カブラギもなんか謝っちゃって、ナツメが更に調子に乗るってのは正直何の冗談かと思わなくもないんだけど、うーん、やっぱナツメは昨今のアホな若者の代表格って描き方なんだろうね。常に考えの中心に自分がいて、世界の構造どころか社会性に目を向けることもなく、自分の可能性だけを絶対視してるところとか。先の大戦でも末期の特攻隊員、検閲もあるし本音をぶちまけてしまったら実家や仲間が非国民との誹りを受けてしまうことがわかってるから決して口にしないが、誰もが国のためというお為ごかしのために死にたくはなかったわけで、そのへんナツメの能天気さが際立つというか。
 もし上記のような自分の見立てが正しいのだったら、なるほどこれはアベ新時代の若者のあり方としてはなかなかアイロニーが効いてるというか。利権側でもないのに搾取側の社会像を支持してしまうという。まぁ今回で目が覚めたって展開だろうし、あと数話でどこまでやるか、まさか組織として追い詰められてる状態ですべてをひっくり返してディストピアを打破しましたって結末はなかなか想像しにくいのではあるが、そのなかでどこまで主張を押し通してくるか…みたいなところだろうか。サイボーグということは、社会システム全体を壊してしまえばメンテにも事欠く事態になるだろうし、そのへん全部をなかったことにもできまいしで、なんとか小集団が維持できる範疇でシステム外にエクソダスって展開が無難のような気もするが。