デカダンス#11

 カブがミナトを巻き込む展開は熱かったんだけど、でもまぁジルが直接デカダンスと接続できる方法を知ってることなんてわかってなかったわけで、ミナトが未練たらたら残ってるはずがない(カブラギが強制ログアウトさせられるのを待ってれば良い)んで、そのへんご都合主義ではある。デカダンスがゲームサービスにすぎないんだったら、サービス終了からのやり直しはごくごくフツーのことではあるし、別にそのへんカブラギがとどまる必要もないんだけど、結局の所サービス終了で何が起こるかというと、物質的なものは全部ダメになっちまうから、タンカーと呼ばれてる人間も強制的に抹殺させられるってことで、カブにとっては自分がすべてをかけてきたゲームサービスを守るってよりも、サイボーグたちだけの都合で生身の人間が殺されることに我慢がならなかったと考えるほうが個人的には納得いく…のだが、明らかにそれがメインだというふうにはなってない。そのへんの構図がうまいと見るか論点ずらしと見るかは難しいところだが、カブラギが義憤で人間を救うことを動機づけとしてしまうといろいろ齟齬が出るようになっているから、まぁそうなんだろうなという感じ。
 SAOアリス大戦が、アンダーワールド人という電子ネットワーク上のAIが実体経済を生き、この作品のタンカーという名の人間がゲーム世界上のモブとしてやはり実体経済を生きているという階級社会とその裁量のなさの奇妙な一致、なるほど昨今の現代日本の上級国民と庶民との対比を考えた上での提示なんだなといった感じ。そして世界の危機を救うのは決して下層階級ではなく、あくまで上級国民のお情けでしかないってのもちょっとした、しかしやるせない現実の反映ってのもなかなか胸にクるものはある。