文豪#13

 なんとかなってEND。正直最終回にはあんま期待してなくって、最後の決着は本人がつけるだろうし、その理由も苦しくてもそれでも書くのが作家というのも見えていた(書くのが嫌なら死なずに筆を折ればいいだけ)ので、ほぼこんなものだろうといった感じ。というか、それ以外の筋立てはありえないぐらいに思ってるから、先の見える展開がダメだというつもりもない。
 ただ、自分がずっと期待してた、この物語における、「本が消えること」と、今、現実の日本で文学作品が読まれなくなっている状況をどこかで重ねてくるのかなという部分が結局見当たらなかったので、そのへんが個人的には燃焼不足。この最終回ではその片鱗を見つけようとしてたので、正直あんまり筋を熱心に追っかけてないというか。バトルシーンも派手で、最終回だからだろうがよく頑張ってるなとは思うんだが、個人的にはやはり中盤の地獄変のかけあいが秀逸だったので、バトルシーンという子供だましなんて使わなくても面白いテキスト作れるじゃん、なんでその方向性で物語を閉じないかなぁぐらいに思ってたぐらい。
 あと、どうもキャラのチョイスが文豪というのは違和感があって、自分なんかだと文豪は誰かと問われたらまっさきに思い浮かぶのが森鴎外だとか夏目漱石なので、どうしたもんかといった感じ。ただ、これも森や夏目を出さないからダメってんじゃなくて、この作品のテキストの軸が、芥川の作品を中心に語られていたように、読んで面白い文学ということなので、どちらかというと日本文学の円熟期を取り上げたんだろうなというのは分かる。森や夏目は、どちらかというと物語としての面白さというよりは、近代を日本に持ち込むという役割のほうが大きいわけで、自己決定権や、その裏付けとなる近代的自我あたりは、もう現代ではあたりまえというか、空気のように意識されないものになってしまってるわけで、今更それを主題に据えるのは筋が悪い。ただ、やっぱり芥川は文豪ではないとは言わないけれども、どちらかというと天才だとか巨匠だとかそういう評し方のほうが自分にはしっくり来る。
 で、この作品に関しては、もう侵蝕者とかどーでもいーんで、そのへん面白いか?と言われると微妙だが、ただ、こうかつての作家たちの作品を紹介するとか、作家どうしの関係性をいじくってくるとか、そのへんでいろんなエピソードが知れるのは面白かったし、文学の面白さとは一体なにか?などのいろんなイシューが問いかけられてたり、放り投げてきたネタはそれなりに辻褄が合わされているところなど、結構楽しめたのは前回までで述べたとおり。第1話を視聴して、こりゃどーなるんだ?と先行き心配してたのだが、終わってみれば悪くなかったよ…みたいな。