モン娘医#2

 歌姫(候補)の病気の原因は貧困でしたというお話。自分どうしてもキャラデザとかモチーフからしてレビュアーズを思い出してしまうんだけど、もちろん視聴者を劣情方向で引きつけようとする要素はあるものの、そこそこ社会問題うめこんでる印象。モンスターは、もう有り体に言って外国人のメタファーだし、それこそ今の欧米のドラマに出てくるエイリアンだとかゾンビはまんま移民のメタファーだし、西洋ファンタジーに出てくる、やれオークだのゴブリンだのコボルドなんかも、もともとはある民族や部族から見た他の民族や部族なのであって、日本だって土蜘蛛だとか蝦夷なんかがそれに当たる。そういう価値観や習俗の異なる人達との相互理解あたりはフツーに表現されてるというか。正直わざわざ西洋風ファンタジーでワンクッションおかずに直接言ったら?と思わなくもないが、さすがにそれは生々しくてエンタメに振れないんだろうねぇ。
 あと今回個人的に面白かったのは買い物は一期一会というセリフ。今でこそ工業の近代化が果たされて、同一商品が大量生産されてるから、いつ何時でも同じ商品がほぼ同じ値段で手に入るってことを当たり前に思っているが、手工業の段階になるのも近世末期だし、人類の歴史でいえば、基本的にモノは手作りで、規格として同じであってもどれ一つとして同じものはなかった時代のほうが長かったわけで、サーフェちゃんのワクワク感、気づいてみれば結構きらびやかさが想像させられる。あと、欧米はともかく、日本だと商品が常設店舗に常備されてウィンドウショッピングを楽しむということがほんの二百年前には全国規模でいえばほぼありえなかったことなんで、商業都市にいく憧れなんかもなるほどといった感じ。
 あと意外だったのは今回のメインを張ってたルララ、歌手になるのは生活のためであって、決してあこがれの職業になるだとか、自己実現だとかの視点がまったくなかったこと。こんなのごった煮の三文芝居なんだから、現代の価値観を臆面もなくぶっこんで構わないと思うんだけど、ヘンなところで前近代を反映させてるのちょっと感心させられた。
 しかしなんだねぇ。疾病の原因が貧困であるってことでどうしても頭に浮かぶのが、コロナ禍で明らかになったのは世界一の経済大国でありえないほどの被害者が出てる合衆国とか、アジアでは今でこそ中国韓国に抜かれたが、それでも経済大国である日本で犠牲者がアジアトップレベルなの、もうげんなりする。ホント日米、特権階級が格差を拡大して富を私物化し、疫病なんかの災害時にそのときの搾取の蓄積が庶民にダイレクトに反映されてドンドン死んじゃうの、まぁアメリカは歴史の浅いがっついた国だからようやっと自国が野蛮な国とわかったろうってなもんだが、日本だと昔から庶民に厳しく、支配者の尻拭いを庶民がさせられるの、相変わらずだねぇといったところ。