ゼロクロ#2#3#4

 こう、理念を語る作品としては今の所踏み外してないなという印象。まぁキレイ事をぶちあげるんだから、幹の部分ぐらいしっかりしてくれなきゃ困るわけだが、さすがにそのへん素人が心配するほどでもなかったというべきか。おとぎ話仕立てなので、どうにも上っ面を撫でてるように感じられてしまうが、まぁそのへん象徴というか記号化の果のことなんで、こちらが具体例を思い浮かべながら視聴するのが作法かな。
 アデル噛ませ犬的な存在かと思ったら、結構いい役回りの性格付けでビックリ。そのへんのキャラ配置しっかりしてるなという感じだねぇ。
 #3まで、これ、本当におとぎの国のお話かと思って、まぁそれでもこういう構成は現実とは正反対のことばかり描写して、補色関係として現実を浮かび上がらせる手法なんだろうな…とぼんやり考えていたんだけど、#4であぁやっぱり闇の国は日本のメタファー(現在の日本に、光の国にあたるような要素全く無いので)だなぁと思った次第。もちろんかなり改変して、要素抽出した上で混ぜてあるって程度なんだけど。ヘンな話、#3まではあぁ、自民盗なるもののない世界、もっといえばアベのいない世界ってこんなに展望が開けてるんだなと思いながら眺めていたから、さすがにこの作品、まさか現実とのリンク一切関係ないおとぎ話で終わるはずないよねと頭の片隅にはあり、#4でなかなかこう腰の据わった話に自然に移行していったなぁという。
 しかしまぁ、これ、物語というよりは叙事詩みたいな感じなので、こうドラマ的な面白さとは乖離してそうなんで人を選ぶ作品かも。

シャチバト#2#3#4

 うーん、困った。パロディ多めなのだが、全体的な雰囲気が緩いんで、そのギャグ要素が場の雰囲気を和ませる役割を果たしてないというかその必要ないってなもんで、正直内輪受けっぽく感じる。そういうのがそこかしこに散りばめられてるので困惑というか。#3までは小規模組織における細腕繁盛期みたいな感じだと思ってたんだけど、#4に至ってなるほどこの作品商売の基本は信頼関係ってテーマなんだろうなという気がしてる。なので、今までも延々とそのモデルケースを示していましたってな感じかな。#4のトモダチというまとめも、結局の所現地のカスタマーの信頼を得てトラブルシュート(商売)の手助けにするって、それこそジャパニーズビジネスマンが高度経済成長期に世界中のあらゆる場所に飛んで経験してきたことだろう。なんか今、近江商人の三方良しの精神がにわかにブームらしいが、そういう方向に収束していくのではとか思ってる。
 しかしなんだな、商売の基本に立ち返るからこそ、こうのんびりとした話運びなんだろうし、その意図は理解できるんだけど、こう日本の雇用環境がこの20年で破壊と言ってよいほど悪化してしまい、言っちゃァなんだけどどこにあるのよこの桃源郷みたいな感覚を覚える。ある種の理想を示すわけだから、このスタイルはスタイルで間違ってないんだけど、個人的にはどうももどかしい。腹に一物も二物もありそうなキャラも揃ってるし、そのへん浪花節だけで話が進んだりはしないんだろうけど、やっぱり現実とはズレているような感覚が拭えない。決して悪いというわけではないんだよな。こう、この作品を視聴している間ぐらいは心穏やかに過ごすって立ち位置とも違うように思うし、のんびりした物語を見てそれでも現実はやっぱり厳しいよなぁとしみじみ感じ入るといった、どうにも腹にストンと落ちる感覚が足りない。
 政官財の策謀で労働者が非正規雇用に突き落とされ、しかも運が悪いことにこのcovid-19騒動で企業がバンバン容赦なく首を切ってる状況だから浮世離れしてる話になっちゃうんだよな。かといってコロナ騒ぎがなくてもおそらく多かれ少なかれその浮世離れしている感覚は色濃く滲み出てたと思うし、今の所そういう庶民の不安にどう応えるのか、おそらく受け止めきれないんじゃなかろうか。今、現実は厳しくても将来きっと世の中良くなると仮に言われても、根拠なくそう主張されてもついていけないと思うよ実際ってなもんで。
 いや、ホント物語単体としてみたらそう悪くはないんだよ、悪くは。でもこの作品を余裕持って視聴できる人が今どれだけいるのかとか思うとね…。個人的には心落ち着かないっていうか。