オーフェン

 しょぼカレ見たら今回が最終回らしいのだが、フツーに次号予告もあって、よくよくしょぼカレの欄外をチェックすると、全13話+テレビ未放話1とあり、次が本当の最終回かも。が、テレビ未公開となると次どうするんだろ?。ネット配信?。全話無料放送とあって、次回劇場版ってことはないだろうが、しかし、今回を最終回として感想をまとめてしまうのも躊躇われる。話としても全然次に続くって感じだし。
 で、お話としても、結局暗殺編が終わっただけで、世界の謎については次回持越し。よくよく考えてみたら全然今回でまとめるようなものでもなかった。
 それでも1つ言わせてもらうと、今回の話で散りばめられていたのは、人間なんのかんのいってしがらみで動くのだし、貸し借りなんかも原動力になってる時代だったんだなと。最近の作品群がどちらかというと理念先行型で動いているのと比較すると、やはり印象が違ってくる。この作品の初出である’90年代っていっても、もう地縁血縁関係は健在だとは言えない状態だったと思うが、バブルが崩壊したとはいえまだその傷が深いという認識はなく、企業が人間関係丸抱えしてた時期だったと思うので、そういう雰囲気が濃厚だなと今振り返って思う。袖振り合うも多生の縁という感じで、地縁血縁という初期設定に縛られるのではないが、一度なんらかの縁ができると、面倒見たから最後まで面倒見るだとか、面倒見られたからその恩を忘れないとかそんなの。
 ところが、今となってみると、企業は新卒一括採用はするけれども、業績いかんによっては会社への貢献度ほぼ無視する形で社員を容赦なく切り捨てるし、最初っから非正規雇用で使い捨てにする気マンマンで、かといって庶民の方で支え合うシステムが構築されているかというと全然そんなこともなく、新しくできたネット社会でも、パソコン通信の時期を過ぎてしまえば、あとは匿名でお互いに傷つけ合うような状態になっており、安住の地などどこにもない。油断すれば石もて追われる羽目になるわけで、そんな誰の助けも当てにならないところで心に響くのは、確かに理念しかないんだけど、それは誰の安全も保証してくれない机上の空論なのであって実効性はなんにもないという。
 旧来の地縁血縁関係が重苦しいものであって、それからの脱却の流れも理解できるが、でも結局の所新しいつながりを構築することはできなかったわけで、それが自民盗を中心とする政官財の推し進める個人分断化にうまく利用されて孤立させられることになった。今更、捨ててきた地縁血縁関係を取り戻す必要もないし、新しい関係性を構築できなかったといってそれを責めるのもムダ(要するに日本人に民主主義は100年早かったという現実が横たわってる)ではあるんだが、そうであってもせめて分断化された庶民同士でいがみ合う*1ことさえなければ、こうも生きづらい世の中ではなかっただろうなという思いは個人的にある。だからこそ、今回の描写で繰り返されるセリフにある、貸し借り関係で保たれる人間関係、濃密ではなくても、一旦良好な関係性を築けたコミュニティがあるのなら、それを基盤に社会を構築することができてれば、権力構造に組み伏せられて搾取の限りを尽くされることもなかったのにな…ということを思い知らされる感じはする。

*1:例えばクレーマー、モンスターペイシェントモンスターペアレンツ、ネットスクラム、炎上案件など