虚構推理#11

 うーん、やっぱ個人的にこのシナリオの展開自体は微妙。六花が特設サイトを設置してPVを稼いだってことだろうから、某巨大掲示板というわけでもないとは思うんだが、そうなると、どういう人達がこの特設サイトまで覗き込んで鋼人七瀬の実在を信じていたんだろうということに行き着く。七瀬かりんはアイドルとはいえ、もう過去の人なのであってそれほど多数が注目する存在ではなかったと思うのだが、ならば特設サイトに集う人たちはそう多数だとも思われず、都市伝説を信じてしまうような人たちであって、それを信じないような人たちはそもそも素通りすると思う。亡霊を実在させるのはそう信じたいと思う人の願いなのだから、都市伝説を信じる思いが強い人が多数集まったと考えるべきだが、上記の通り噂の旬の時期で瞬発的に信じている人の思いが強い時期はあったとしても多数の人が信じているとはあまり考えにくいから、そもそも鋼人七瀬は実在できなかったのでは?と考えてしまう。もしくは人の噂も七十五日をすぎればなので、ほっといても自然消滅とか。
 まぁ前回あたりも言った通り、琴子の用意した嘘に個人的にはあんまり魅力を感じないし、論が長ったらしくて正直読んでられないので、書き込み人のつぶやきにもそういわれてたしスルーされているのでは?とか。あとどうしても気になるのは、都市伝説を信じたい人たちが鋼人七瀬に何を期待し仮託しているか?の部分が描かれてないので、鋼人七瀬を信じて楽しんでる人たちの強い思いをそう簡単にひっくり返せるものなのかな?という疑問も残る。
 ただ、ネットでの世論操作の部分を除いてみたら、これはやはり六花と琴子の対決という構造なので、これまた前回も述べた通り、六花の動機が読めないとよくわからん部分はある。



 しかし、鋼人七瀬騒動のテキストをなぞっていても、これはむしろ叩き台でしかなくって、逆に陳腐であることこそがある目的にとってみれば望ましいということであれば話は別である。今回最後に述べられた象徴的なセリフ、

 嘘から生まれた怪物は、嘘によって滅びる

 ことこそがいいたかったことの本質なのだとしたら、まぁなるほどといったところである。もちろん具体的な言及先はウソつきアベ内閣だとしたら…ってことね。モリカケ桜、アベの主張した答弁はすべてウソだし、もちろん国民の全員がウソだとわかってる(都市伝説がウソであるとわかってるように)わけだが、アベやそのオトモダチ、そして支持者は「ウソだとわかって」信じてる状態。いくら真実を突きつけても認めないのだから、事実を根拠にして倒そうとしてもムダでしょということになる。鋼人七瀬が現実化して実際に人が死んでいるという「ありえないこと」が起きてるのも、まぁこれはいくら犯罪行為を繰り返しても一向にアベ一味がブタ箱にぶち込まれないのと「完全に一致」してるし、そう考えると琴子が虚構を操って鋼人七瀬を消滅させたという筋立てはむしろ枝葉末節なのであって、やはりこれはウソをウソだとわかっているのに頑なにそれを認めようとしない人への対処を寓意的に描いているのだとしたら、まぁ確かにこのシリーズの殆どの部分を鋼人七瀬編に費やしてることにも説明がつく。六花は裏で大衆を操ろうとしてるアベそのものだし、鋼人七瀬を信じてる人は、アベにくっついて利益を得てる支持者や、なぜかウソを信じたがるマヌケな人たちを表しており、現実に顕現した鋼人七瀬に殺された刑事は鋼人七瀬を信じてない日常の業務に忠実な人*1だったわけで、犠牲になるのは日々秩序を守って生活してる庶民のメタファーなのであって。

2ndQ2020アニメ新番チェック

 具体的な作品名を上げるわけではないんだが、そこそこ見たいと思う作品があったという認識。今期1stQも最初は不作だなぁと思っていたのが、実際にはそこそこ楽しめる作品多かったので、なんか最近自分の趣向のことなのによくわからんって感じではある。おそらく見どころはランウェイぐらいだと思ってた記憶があるので。銀英伝新章が犬HKに行ってしまったのが残念。

*1:最近のホットイシューでいえば、森友学園で改ざんを命じられて自殺した近畿財務局の下っ端職員とか