虚構推理#10

 わからんもんやな。中盤までオモロイと思っていたのだが、終盤になって個人的にはツラいものになってしまった。人々の妄想が怪異を作り出す…、とか、人は信じたいものを信じるのであってそこに虚構と真実の区別はないというテーマ立てはたしかに面白いんだけど、いかんせん鋼人七瀬という都市伝説に魅力を感じないし、琴子の作り出す虚構も正直苦しい印象しかない。そもそも九郎先輩の親戚である六花が、七瀬かりんの死を素材に怪異を現実化したということのようだが、その動機が見えないし、鋼人七瀬を実在させようとする六花の陰謀も、消滅させようとしてる琴子の対策も、どちらも虚構を根拠とした「ためにする議論」でしかないので、視聴者の一人としては、なんでどうでもよい藁人形理論につきあわされなければならないのかみたいな感じ。現代におけるネットの影響力とか、そこで展開される空論が現実に意味を持ってくるところなんかは見るべきところがあるのだが、やはり展開される虚構に魅力がない上に、グダグダ感が半端ないので、ここに来て明後日の方向に飛んでってるみたいな…。
 まぁ物語の展開は「正直どうでもいい」で、シリーズ構成は「どーしてこーなった」。原作に準拠してるだろうからアニメ化で劣化したという可能性は低そうだが、でもまぁ原作に当たってみなきゃわからない問題だし、セリフ過多なのも原作のようにテキストベースだったら読者のペースで追っかけられるので大した問題ではないと前にも述べた通り、映像化にはそもそも向かない作品なのかも。今やってる九郎先輩と鋼人七瀬のバトルシーンも、もう代理戦争ですらないわけで。
 そういやOP映像ラストで琴子の前から九郎先輩が消えるのと、ED映像ラストで九郎先輩の前から琴子が消えるのが対になっているのだが、そのへんもこのアニメシリーズのラストで提示されるのかなと数話前から気になっている。