なんというか、これだけ日本が変質するとは思わなかったな。

 共謀罪閣議決定とか大丈夫か?と思ってしまうわけだが、アベの国有財産の横流しや稲田の教育勅語発言だとかで世は騒いではいるが当のアベは海外出張にのんびり行って合衆国の舎弟役を務めているわけだ。これ、20年前だったら即日内閣が吹っ飛ぶ案件でしかないのだが、どうなんだろうな。
 さて、本題はそこではなく、一時期流行ってた上野千鶴子由来の以降の経済発展云々の話。自分は地域おこしあたりから日本が踏ん張るにはどういう手法でないといけないかずっと考えていたが、やはり世界的には経済は縮小方法にあり、当然にして経済運営がマズい日本はその影響を大きく受けざるを得ないって結論しか出ない。中国や東南アジアの安い労働力の代替として地球最后のフロンティアと期待されたアフリカも、結局投資に見合うだけのリターンはないという判断になってる。
 自分は政権交代あたりから、自然エネルギー利用によるエネルギー自活という方向性しか日本が踏ん張る余地はないのかなと思っていて、しかし英国も合衆国も自由貿易から目を背けているというのに未だに自由貿易マンセーと自民盗が言ってるのをみると眩暈がする。先日ロシアの農奴制についてWikipediaを眺める機会があって驚いたのだが、ロシアの農奴が貧しかったのはまさに自由貿易のためであるという。まぁ英国も合衆国も自由貿易の罠に早めに気付いてよかったねぇと嘆息するしかない。が、そういう国民をシバキ上げるアベ政権のあり方からするとエネルギー自給の道はちょっとありそうにない。エネルギー自給をなぜ自分が有望と考えるのかというと、エネルギーがふんだんにあれば資源はリサイクルにエネルギーを投入することによってなんとでもなるので、基本的に国家としての自活が可能。あと、自然エネルギーを主眼に据えればそこに必要なのは土地なので、地方の産業化に繋がる。但し産業化といってもそれほど労働力が要るわけでもないのでいうほど雇用には繋がらない。しかし国土の全領域に至るので産業の偏在が起きにくい。しかしこういう妄想をしても実現には至らないのだからあまり字数を費やすのも無駄な話である。
 経済成長云々という話があるが、そもそも日本は急激な景気の減衰期に当たる。これは別にアベの悪いとかそんなのではなくて、もうバブル崩壊後から一貫してる。というのも、例えば老人介護を例に取ると、昔は老人介護は家庭内の労働であって、それが外部経済化して賃労働になると、あら不思議、介護量を払ったり貰ったりする金銭の授受がそのまゝGDPに算入されるわけだ。別に昔も今も老人介護の仕事は誰かゞやっていたわけで、新しい仕事が発生したわけではない。同じように派遣労働もそうなる。企業が直接労働者を雇用すれば、そこには労働力と賃金の関係が一つあるだけだが、そこに派遣会社が挟まると企業と派遣会社、派遣会社と労働者の二つの関係になるわけで、そこにGDPを増やすマジックがある。別に企業が労働コストゝして昔より多くの報酬を払ってるわけでも、労働者が多くの報酬を貰っているわけではなくて、そこに派遣会社が居座ってカネを掏り取って労働者にとってはちっともありがたくない状態になってはいるのだが、こういう二重計算でGDPが算出されてやれ経済成長だの難だの言ってるわけだ。こんなインチキ統計で日本は経済成長をしてないけど横ばいとかちょっとちゃんちゃらおかしいんじゃねぇのとは思う。
 で、景気がどうのこうのというときにやはり思い出すのはヾブルの時期なのだが、あのとき例えば自動車産業で何が起こっていたのかというと、自分と同じ世代の人は覚えていると思うのだが、車検年度による中古車査定で損をしないという理屈で、新車を五年で買い換えるということが全国で起こっていたのだ。今となってはお笑いなのだが、結局そうやって企業は消費者に新車をその必要もないのに頻繁に買い換えさせてそれで得た利益を再投資して*1クルマを再開発してたのだ。今経団連のお偉方はそういう時代を知っていて、その基準で(さすがにその状態は二度とはこないとは思っているだろうが)景気を考えているのだから始末におえない。そういう設備基準で生産しているのだろうからそりゃ賄賂をたんまり贈ってその見返りとして優遇されるってことになるわけだ。数年前もあまりに消費者の財布が締まっているから、販売価格を維持させるために補助金を出すかやらなきゃペナルティを課すと脅してかわざわざ政府が販売店に中古車を廃棄処分させるようなことをしてた。もうそういう耐久消費財を買い換えさせてぼったくるという景気浮揚策は必要ないんだよ。
 しかしそうなるとしんどいのはモノが売れないのにどうやって経済を維持していくかってことなんだけど、もう無理だからモノの裏づけのない第三次産業で国民を過酷な低賃金労働をさせるという地獄になってるわけで、これはねぇ。
 自分はいつもいってるつもりだが、今アベがというよりアベを担ぎ出している官僚がやってることはやはりカネを流してその価値を薄め、当然にしてそのカネはカネ持ちのなかで還流するだけだから格差が拡大するってこと。ジュースに水を入れて薄め、国民にはその薄まったものを以前と同量、カネ持ちには水を入れて増えた分だけわたしてるわけだから、大多数の国民が窮乏するのはあたりまえ。しかもアベがやってるのは結局のところ必要以上に借金をしてばら撒いて(結局それは大企業に流れて死蔵される)おり、何が危険かというとそれは将来の豊かさの前借りでしかないこと。前借りをすればするほど将来は貧しくなる。だからアベが前借りして散財すればその後に来るのは急激な貧困であって、その流れから国民が何を思うかというと「アベの時代は豊かだった」と錯覚してしまうこと。要するにアベのやってることは日本国内で焦土作戦をやってるだけのはなしであって、景気の壮大な先食い。一週間均等に食いつないでいかなければならない富しかないのに、それを三日で食い尽くせばあとの四日は壮絶な飢餓状態が訪れる。さすがにあまりに急激な変化にはしないだろうが、カネを借りてさもそれが自分のカネであるかのようにばら撒いてしまったら、あと始末をする層はとんだ尻拭いをさせられるというだけの話だ。ヘンな話橋本龍太郎が消費税増税をやって失敗した直後に日本経済の行く末を見通して、従来型の景気対策などをせずおとなしくソフトランディングを目指していればよかったのだと思う。が、結局やったことは子鼠劇場による身の丈に合わない金融政策であってこれが日本の失われた20年を決定させた。で、国有財産の私物化も含めてアベも似たようなことをやってる。
 これまたしんどいことなのだが、アベというか官僚が描いた経済政策も噴飯ものだが、国民が想像する景気のよさという想像力の貧困さも手伝って行き詰まっていると感じるが、その話はまたということで。

*1:その再投資のおかげで売り上げは伸びても結果的に赤字というトンデモ経営がデフォルトだったというおまけつき。