1stQ2020アニメ振り返り。
客観的にみても個人的にもかなり時期を逸した感があるが、いちおう整理として。
- オーフェン 物語の進行を考えたらコレで終わるはずはないと思っていたのに馬鹿正直に1クールと考えて変則2クールだったという。本来ならまとめ感想は2クール目終了時なのだが、いちおうマスターピース復刻としてYUNOと比較すると、時代感覚の比較としても救済について色々考えさせるという点についてはよかったのではなかろうか。ただ、自分のようにあの時代を知ってる年寄りと、比較対象として過去を知らない若者とでは感じ方は違うという危惧はある。個人的にはこの作品で描かれている個人と個人との距離感が、今この瞬間のよりやはりよかったよなぁという気がする。自分は昔より今のほうがより一層個人分断化が深化してると思うのだが、逆に若者はあの作品見て自分の心に寄り添ってくれないと思ってしまうかもという心配がある。そうじゃないんだけどな、今の関係性はより依存させてコントロールしようという意図がどっかに感じられて気味悪いんだけどな、やはり個人は個人でたとえ根拠が弱くても自分の意見をとりあえず持った上で、そこでコミュニケーションを始めるべきなんだろうけど、なんか今どきだと最初っからおんぶにだっこみたいな…。
- セクステット まさかの3期決定。あとからあとからなろう系原作のカドカワアニメキャラが登場するので、続編までの販促だと思うんだが、とはいえそれに当てはまらない例もあってなんとも。有機的つながりをうまく利用して、1+1を2ではなく3でも4にでもするんだったら見どころあると思うんだけど、いつまでたっても1+1=2のような単純加算の結果しか出てないように自分には思える。それに意味はないとはいわないまでも個人的にはキャラ同士の馴れ合いの範疇を出ない感。
- ちはや まさかのまつげくん放出で、個人的には原作者おそらく恋愛ものから距離を取りたがっていたのでは?という雰囲気が特にこの期で感じてたから、ちょっと意外。まぁいつものちはや節だし、ドラマ性に文句はないので安定してるとしか。
- 防振り 個人的に大当たりの作品。なろう原作ということで決心して原作目にしたらアニメのほうが圧倒的によかったという不思議。むしろアニメはお遊び要素が鼻につくとまではいわないまでも、原作のほうが落ち着いた雰囲気ではあるんで、そのへん好みの問題と思うが、原作をあくまで部品とみなして、アニメテキストスタッフがなるべく原作の雰囲気を壊さないよう再構成した手腕は単純に拍手を送りたい。
- プランダラ 今も続いているのであまり触れても仕方がないのだが、ストーリーテリングの手法としてあまりにトリックスター要素が大きくてついていくのがしんどい面もある。が、記号とかメッセージ性はなにか?と念頭に置いて視聴したら結構考えさせられる要素多いのでオモロイ作品の部類なんじゃネーノ?とは思う。
- ネコぱら 萌え要素バリバリなんだが、そこから興味を離して物語の構造を考えると面白かった作品。ネコの姿をした萌えキャラは被差別階級のメタファーと考えると、この物語ディストピアを描いていると考えるしかないのだが、最後までその色を隠していたし希望を提示する形で終わったのはさすがとしか。
- はてな なんか制作状況が混乱してるのか、コロナ関係なく放送休止状態みたい。メッセージ性は悪くないけど、第1クール後半は迷走してる雰囲気だった。
- 推し 全国レベルのアイドルを題材にしてたら決して描くことが出来ないだろうアイドルとファンとの関係性をロコドルを扱うことで生々しく描写してたと思う。視聴してる間は退屈しないし、それなりにメッセージ性はあったと思うが、いざこうやって一ヶ月も経ってみるとあんまり頭に残ってない。
- ソマリ なんか今でもソマリ(人間)は国際社会における日本のメタファーでは?という考えが頭を離れない。過去の過ちに対して真摯に向き合わず、他国の迷惑顧みず好き放題振る舞っておそらく顰蹙買ってるだろうオマエみたいな。クレジット見るとプロデューサー級のスタッフにグローバル規模の外国人の名前が見えていたから一層そんな感じ。いちおう話の構成的には浪花節なんだけど、正直視聴者の涙腺スイッチを押すだけの役割で、個人的にはドラマとして心を揺さぶる力はそんなになかった。童話仕立てなのにお子様向けでなく大人の童話という形をとってるんだから、フツーに考えてお涙頂戴が真の目的ではなくアイロニー山盛りのはずだろと思うしかないのだが世間一般の受け取られ方どうなんだろ?。
- アステロイド 終盤の話の区切りが惜しかったが、それでも全体的に見て若者の群像劇としてよく出来ていたというか。所詮高校生ではあるんだけど、労働から解放されて自分の将来に向けて準備するその姿を描くという枠の中では前向き要素詰め込んでよく話をドライブしてたと思う。
- シャーロック 1stQ2020としては第2期からに当たるが、第1期のまとめをやらなかったから述べておくが、それまで話をよく保たせていたのに、個人的には終盤でやっちゃった感が残念だった。下町を舞台にしたから、おそらく現在の停滞した日本の庶民に横たわる苦悩を抽出してたんじゃネーノ?と思うんだが、サイコパスのおかげでという流れはなんかそういう期待を裏切られた感じでどうにも後味悪かった。今この社会がそういう病理に蝕まれているという主張だったらわからなくもないんだけど、それをメッセージ性とするならちょっと救いがないし、こうやってアニメにする意味あんまりなくね?と思うが、まぁ前期結構スルー気味に視聴してたから読み取れてない可能性はある。
- ランウェイ ファッション業界という題材選びが珍しいから前のめりで視聴してたが、振り返ってみると勢いで突っ走って1クール全体のまとまりはあんまりなかったかも。たとえそうであってもエンタメとして十分楽しめるのは間違いない。
- レビュアーズ うーん、難しい。おそらくフーゾク業界を題材にしたというだけで、バカフェミ跋扈する現代では十分冒険だし、割と凌ぎきったなという感覚はあるが、物語として面白いわけではないし、ネタとして単発で小爆発が起きたというだけのもの。おそらく狙ってやっていたのだろうが、下品さ方面に突き抜けていたと思うので却ってエロさは縮小気味になってたと思う。ポリコレ棒に立ち向かっていったのは評価するが、個人的にはそういう冒険性や話題性がなかったら凡百のものだという感じ。けなすほどでもないが、おもしろさを人にすすめるようなものでもないというか。
- マギア 終盤で話が動くのでアレだが、静かな均衡を楽しめないなら初期に見切られてもおかしくない作品。話運びは丁寧だし見ごたえあるとは思うが、ただ、人にすすめるのにここが見どころ!みたいなものは探しにくい。サイコパスが虚淵路線を捨ててメロドラマに路線変更したのと比べると、これは虚淵路線を捨てずによくやってるなとは思う。
- 虚構推理 最初は目の付け所よいなと感じていたし絵は端正で崩れないしで心象悪くなかったのだが、鋼人七瀬編でグダグダしたなという結論。おそらくシリーズ全体からすると区切りのつけにくい原作だったのだと思う。そういや一昨日ダイソーいったら、この作品のOP,インストゥルメンタルがBGMとして流れててビックリした。そんなにあの曲人気あったっけ?。視聴してソンはないけど、人によっては迷走と感じてもおかしくないし、多くは期待するなといっておく。
- イド テキスト全然悪くないんだけど、この社会情勢を背負った大多数の視聴者に一体何が言いたいわけ?みたいな。刑事モノならなおさら事件の背景に社会不安だとかそういうものが込められていて、庶民に寄り添う要素があっておかしくないんだけど、特異点を舞台に推理ゲームやられてもそこに現代病理に対する緊急性はあるの?みたいな。まぁ糾弾気味なのはあくまで個人の期待成分によるところが大きいんでそのへんは捨て置いてもらうとして、まぁそういう推理ゲームをエンタメとして消費するんならかなり出来が良いのでおすすめとは言っておく。
- ペット 大人たちの気色悪いもたれ合いが妙に楽しめる作品。そういう欲望の断面図みたいなのが好きな人には大いにおすすめ。
- へやキャン まぁ何度も言ってる通り、作風考えたらこれも悪くはないし楽しめるが、本編さっさと視聴したほうがみたいな。
- シートン 弱肉強食の世界を生き抜くというテーマが最初にわざわざセリフにまでされて提示されていたのに、結局萌えアニメの範疇で終わったなという。まぁこれは原作ありきのことなんで、こういうノリを楽しむものなんだろう。タイトルからして動物トリビアになるのは予想できるし、あまり多くを期待せずキャラの馴れ合いを眺めると割り切って視聴したら、絵のクォリティかなり高いしエンタメとして結構楽しめる。
さて、この期で自分が思ったのがM・A・O祭りだったなと。声優として意識し始めたのはソウナンですかで、あの作品ではぶっきらぼうな役柄だったんだが、なんつーか演技の幅が広いなという感じ。つーか、ココ最近声優の変革期なのかな?と思われるところがあって、割と初見でそのキャラの担当声優だれ?みたいなことが多くなってる。こう昔だったらメインヒロインの声あては、ちょっと聴いただけで誰が演じてるのか分かる配役が多かった。今視聴してる作品に出てる人だと堀江由衣だとか伊藤静だとか。声の響きに特徴があって、その声質で視聴者をがっちり掴む系とでもいったらよいか。ところが、今だとそういう声の特徴で勝負するんじゃなくて、いわゆる「誰にでも化けられる」感じの声優が抬頭し始めてる感じ。エンドロール見て初めて自分がよく聞いているあの声優が演じていたと気付かされる場面が多い声優ね。それがM・A・Oだし、もうちょっとヒロインよりでいえば茅野愛衣だとか。今期だと内田真礼かな。はめふら内での一人多役はどうでもいいんだけど、そうじゃなくてはめふらと新サクラを比較したときに、初穂に内田真礼を使うというやり方をしますか~というちょっとした驚き。実力派といえば悠木碧がいて、昔は声の特徴で耳に馴染んでいたのだが、最近でも演じ分けの方向性で着実に演技してる感じ。出番が多いと言えば東山奈央がいるのだが、こうキャラクターの心情を表現するのはうまくても、別人になるのはあんまり得意でない感じ。まぁ難しいところで、東山かなり売れっ子なんで、出演してることがわかればその声に期待するファンも多数いそうなんで、本人がいくら別人になりきることができても周囲がそれを許さないそういう環境なのかもしれないしでそのへん判断つきにくい。まぁそんなこんなで、割とそのへんの演技に対する変化については結構楽しみにしてる。
男の方はそうねぇ。そのへんワナビー女に負けず劣らず多そうだし、正直なところ、新しい声質が欲しかったら人数バラエティには困ってないのかな。ただ、アニメに関してはガンダムが土曜夕方に放映されていたのが終わって以降、男キャラの重要度がかなり下がってしまって、男が主人公であっても結局物語上は女キャラの添え物になってしまってると思うんで、あんまり論じても仕方がないかも。
波よ#4#5
相変わらずオモロイんだけど、こう、主人公のオンエアのシーンとドラマ編では勢いが全然違う。正直ドラマ編はそんなに惹かれるってものでもないんだけど、よく考えると上記自分がそう感じているように、オンエアとの落差を敢えてつけてるのかもしれん。物語としてみたら、本来なら主人公の生き様に焦点をあてるべきなんだろうが、そのへんの倒置も面白いところ。オンエアシーンでも、まだまだ主人公はお膳立てされた環境でわけも分からず一生懸命な様子で、状況に振り回されてるって感じなのだが、ディレクターの男気や、ADの勢いある現場に臨席して活気を堪能しているその感情のあり方に、見ているこっちも引き込まれる。自分もこういう職場で一緒に働きたいとかそんなの。
カレー屋パートでは人生設計の提示をして、視聴者にも人生の過ごし方の問いかけしていて、タイミング的にもドンピシャでそのへんいろんな鑑賞ポイントを設定して視聴者を振り回したり考えさせたりで飽きさせることもない。まぁよー考えて作られてるわ。