新番アニメなんかそこそこって感じ

 視聴してみたらそれなりに面白かったという作品そこそこあった。個人的にはまだまだ様子見って感じのもあるんだけど、ぱっと見だけじゃなかなかわからんもんである。

  • ランウェイ

 これはガチって感じ。少女漫画特有のちょっと噛み合ってない感じがあるんだけど、怒涛の展開で風景が変わるのが早い感じ。第2話のキモは「試練」って感じでミスリード多いなという印象だが、働き方改革とか言われてる昨今、労働環境劣悪な描写とかなかなか勇気あるなという。だが、ワナビー多いジャンルだし、本人覚悟の上だからあんま他人がとやかくいうべきことでもないんだよな。
 一応先週思ってたことから。主人公?の父親、ファッションブランドとモデル事務所を兼ねてるというか、シナジー考えてるんだろうけど、商売的にボリュームでかいのはなんといっても服が売れること。なので、おかっぱくんを採用といったのもまぁわかる。モデルはあくまで服が売れるための客寄せパンダでしかないんだが、とはいえ、いくらデザインが良くていわゆる「いい服」であっても、それが大衆に知られなくては、そして絶大な支持を得られなければさっぱり売れない業界。逆に言うとカネを稼ぐためには服が大量に売れなくてはならないが、そのための前提条件として宣伝が成功しないといけないという。なのでモデルとしての栄達はプライオリティ低いんだけど、かといってモデル自体が売れてしまうと、あのモデルの着る服は間違いないということにもなる世界でもある。ヘンな話誰もが道具でしかないんだけど、逆に今回の話でもあったように、誰もがそれを自覚しているということでもある。あんまり社会的貢献だの生きがいとかが介在しない。すべてがドライに、売れるためにある世界。
 自分が物心ついた時分にはもうほとんどが吊るしがあたりまえの時代だったが、父親が就職したての時代はスーツが月給の三倍の値段だった。そのスーツはオーダーメイド。それがもう今や吊るしがあたりまえになってる。なぜならそのほうが安いから。前回の簡易感想でも、母親が婦人雑誌の型紙から子供の服を手作りしてたという話をしたが、もう服地を買って手作りするより吊るしを買ったほうが布地の素材もよく、服が体に合わないといこともなく、もう圧倒的に安い。つい三十年ほど前でも香港シャツといえば、手を上げたら服がつっぱらかる、安いが仕立ての悪い粗悪品って代名詞だったが、今や日本が安い人件費目当てで技術移転してどこで作っても間違いないものになってる。
 おかっぱくん、部活動で古着を手直しとはいえあんなに大量に作っていたが、あれもよく考えてみたら、もう今や服なんて個人レベルで有り余ってる状態。自然災害が起こって援助物資を被災地が求めても、決して服だけは要らないと言ってるほど。なので、おそらく部費で買った古着は、一着どころか重量単位で安く買ってきたんだろうなという。
 ミシンも昔は高級品だったが、今や一万円もしないで、自動で刺繍までできてしまうものが買える。なのでこの話にも古着の値段同様実現性はあるのがわかる。ただ、安いミシンはどうしてもモーターが貧弱なので厚い布地はNG。
 おかっぱくんの家庭環境がイマイチわかりにくい。父親の姿が明かされてないのが不気味。保育園に通う妹がいるのだから、最近までいたはず。母親が誰とでも寝てポンポン子供を作る性格ならアレだがそうでもないようだし、四人も子供がいて母親は入院してるし、父親今何してんの?とは思う。しかも家族の会話に父親が一切出てこない。
 家が貧乏しても、上記の通り、大量生産で服が安くなってるので、それこそ上の兄姉が着た服を手直しして弟妹が着るより、バイトでもしたほうがよっぽど助けになる。なので、おかっぱくんの動機にちょっと難はあるんだけど、中高生が押し付けの制服に文句をいう割に、自由にしたところで業界の売りたい服を選択するだけなんで、服飾で自己主張するならせめて布地から手縫いしなよぐらいに思ってる自分にとってはよいアプローチだとは思う。カネ持ちは自己主張のための服は吊るしのなんか買わず、オートクチュールで一点物を作らせるし、その服だって何度も着ない世界。そういうのを庶民が真似してもねぇ。



 今回の冒頭、いきなりお祈りでびっくりしたが、その後の展開で、あ~これおかっぱくんを試したのねとわかって意地が悪い*1と思った。その後の個人デザイナーでの採用も同じ。玄関でトーガよろしく布地を身に纏って、いきなり縫えとか、もう準備して待ってたんでしょと思うしかない。マンガ業界の話を聞くと、専門学校行って上から教えられることを忠実にこなしていた人より、直接編集部に持ち込むぐらいでないとお話にならないらしくて、そのへん志はオッケーだったんだなという。但し服飾では学校教育で縫い方などの基本を教えないから専門学校行くのがメインルートにはなる。
 原作読んでなかったので、ファッションショーの現場をこんなに早く出すとは思わんかった。モデルがマッパ上等なのも、もうちょっとあとにしておかっぱくんモジモジやるのかと思ってたぐらい。なるほど業界の紹介をやるのならこのぐらいのタイムスケジュールでないといろんなネタが溢れちゃうのかなと思わなくもないのだが、もしかするとこのショーのエピソードが終わったら踊り場になるのかねぇ。
 まぁごちゃごちゃしてる割に構成はそれなりにしっかりしてるように感じたし、スポ根みたいな熱さも感じる。しかしなんか苦笑するのは、自分のセンスがおかしいんだろうが、ショーの衣装よりキャラの普段着のほうがよっぽどセンスあると感じてしまうこと。これ原作漫画ではもっとマシなデザインになってるのか、それともやっぱり自分のセンスの問題なのか、他の視聴者読者の感想を聞いてみたいものだが。


アニメ新番その9

  • 異世界クインテット 盾の勇者を入れて再起動。前シリーズのときも述べたが、異世界モノを集めて化学反応させてなにか特異な面白さを表現できていたのかと言われたらまだその片鱗も感じないといったところ。続編が始まる前に一度こういう作品で間持たせして意識付けしてるのかと思ったら、リゼロは前作を編集し直して再放送してるぐらいだし一体何の意味が?。まぁよく考えたら野球のオールスターゲームのようなもので、スター選手を集めたところで、ペナントレースのほうがやはり本命だと感じてしまうアレなんだろうな。
  • オーフェン 名前だけは聞いたことがあるが、内容は全く知らなかった。しかも過去アニメ化されてたらしい。なんで今更…と結構長い間考えてたんだけど、これ、昨今の凶悪事件になんか含むところがあるんだろうと(勘違いの可能性は高いが)思い至った。メインキャラが孤児というのは、現代における個人分断化が極まった現代人のメタファーだろうし、主人公の姉貴分であるアザリーが、突然龍になるというところなんぞ、その孤立化した現代人が、アニメスタジオ放火だの、福祉介護施設大量殺人だの、新幹線での一般人殺傷だのの凶行に及ぶアレ。物語では結局救済に終わるんだろうし、そのためにあの龍になったアザリーを必死で思う主人公のような存在がいるということを示して、凶行殺人の彼らにも、主人公のように必死になってくれる存在がもしいたら…なんて投げかけなんだろうなとぼんやり思っていた。

*1:おかっぱくんの手直しで自分トコのブランド服が馬鹿売れしたから彼は恩人。以後はっきり示してないがちゃんとその恩は返してる