サイコ3やっぱりやっちゃったね。

 まぁ予想通りというか。あのね商法だったという。正直なところ、今までの話の流れで、割と飽き飽きしてたという部分もあるので、これでおさらばということであれば、いわゆる足切りとしてはうまく機能してんのかなと思わなくもないが、どんなにダメな作品でも最後まで視聴して全体を評価するという立ち位置なんで、なんかもやもやすると言われたらそう。
 どうせ劇場版は視聴するつもりもないし、仮にTVで公開するとかネット配信するにしても時間をかなりとってのことだろうから、おそらく劇場版も含めた全体の評価をする機会はおそらくないと思う。ので、現段階で思ったことをちらほら。


 数話見て自分が違和感を持ったのは、シビュラシステムという管理システムをアップデートするなりの新しい知見がまったく提示されなかったこと。この最終回で、ビフロストというのがシステム構築以前からの存在というエクスキューズがされてたが、それもヘンな話で、1で盛んにパノプティコンと言ってるわけなのだから、シビュラシステムは日本社会全体が監獄であるということであって、監視社会でもあり、管理社会でもある。ドミネーターや色相観察は監視システムに属するし、適性をシビュラが判断して進路を決めるのは管理システムに属する。そういうガチガチの管理社会でシステムの隙間を縫って存在して活動するというのは、ちょっと前提条件崩し過ぎじゃないですかというのもあるし、システムの凄みを自ら毀損していてもったいない。システムに沿わない存在も監視システムで当然検知しているはずで、フツーにありえなくないですか?という感じ。免罪体質云々いうなら尚更。


 自分が気にしてることに社会問題のビルトインがあるが、今回政治における大衆操作や移民問題があって、これがわかりやすい形で提示されているんだけど、政治のほうもちょっと扱いが軽すぎるし、移民問題は個人的には論外に近い。そもそもシビュラシステムにおける政治の必要性とか???だし、シビュラシステムを盤石にするための都合の良いい存在が政治家として選ばれるのかと思ったら、そうでもないという。しかも当選者も政治能力が高いというわけでもないようだし、現実の日本の政治状況とそれなりに対応させてみたんだろうけど、コレを通じて一体何を言いたいのかよくわからん。
 移民問題が論外というのも、1では確か農業プラントが完全無人化されてたはずで、国民に必要な食料は無人で十分に供給されてるという設定なはず。天候に左右される農業でそうなんだから、当然コントローラブルな工業はもっと人が要らないはずで、おそらく世界観としては人々は単純労働はない世界で、クリエーティブな仕事をしてると想像できる。あとはメインキャラのような管理側として。ならば、低賃金労働者としての移民は受け入れるはずがないし、そうでない移民ですら管理コストを考えたら普通は輸入しないはずで、これもアレ?といった感じ。今回描写された移民はほとんどが弱者的なものが多くて、フツーに考えたら移民受け入れはリスクしか無くてあの状況が世界観にそぐわない。やはり日本の現状を作品に投射したんだろうけど、浪花節的ドラマの修飾でしかなくって、主張自体が薄っぺらい。


 というわけで、世界観をぶちこわす、社会問題も真剣に扱うつもりもないというわけで、個人的にはあんまサイコパスの名を冠するに値しないんじゃないかという気がしてる。ただ、ドラマ部分はいわゆる泣かせだとか、緊迫感の演出としてはそれなりに完成度が高くて、これがたまらんF1層あたりは喜びそうな気はする。監視官に情けを示されてほだされる執行官も、そのエピソード単体で見ると悪くはないのだが、物語全体のスパンで見渡すと、人間関係あんなに単純なものなのかな?という気がしないでもない。ただ、今までのおおきなおにいさん向けの萌えアニメが、男に都合の良いヒロインを見せてブヒブヒ言わせていたことを考えると、それのおおきなおねえさん向けの萌えアニメと考えると、割とクォリティの高いエピソードにはなってるわけで、それほど悪いとも思わない。


 1が絶賛するほどよいものか?と言われると自信がないが、それでも視聴した当初は迫力が感じられたし、こう一旦ハンマーで殴られて、この作品は一体何が言いたいのか視聴者として後追いさせられるだけの先進性があったと思うんだが、3のほうはキャラの相関関係に終始して凄みも何もあったもんじゃないという。1の虚淵が2では降板して冲方に変わったようで、それでも2のほうは世界観を壊してもいなかったし、こう社会人としてのペーソスだとか、そういうものがあってそんなに違和感はなかったのだけども、3では前回も述べた通り、シロートが都合あわせでつくったファンアートの範疇のように感じる。視聴している最中は退屈しないし、フツー30分枠の20分間ではなく、一時間枠の40分をノンストップで集中させるのだからたいしたもんだけど、自分がサイコパスというシリーズに期待してるのはそういう部分ではないという。


 しかしなんだな、今期のアニメは良い意味でも悪い意味でも先入観を覆させられるものが多くてなんか自分でもビックリ。原作付きのものは自分の情報不足だから単純に勘違いでしかないんだけど、それにしても、期待度が大きかった俺好きや暗殺者、けもの道、そしてこのサイコ3が自分の想像を超えた期待はずれだったのに、期待度薄かった慎重勇者や超余裕をかなり楽しんで視聴してるんでわからんもんである。