色づく世界の明日から視聴した。

 幽奈さんが若干手応えがなかったので、なんか一つ視聴してみるかと在庫を漁ってなんの気なしに見始めたら完走してしまったという。
 確か視聴対象にするかと思った時の記憶は、過去にタイムトラベルするのか都合良いな…ぐらいで、それほど積極的でもなかった。イントロを見たときも、昭和時代にタイムトラベルするのだろうと勘違いしていて、まさかトラベル先がまさに今の時代だとは思っていなかった。
 一通り視聴し終わったあとに、この作品のテーマは何かというのを考えて思いついたのが、昔風に言うところの「命短し恋せよ乙女」だった。そしてこの作品のテキストの大きな主軸の一つに恋愛があるが、しかしそれすらこの作品の伝えようとしているメッセージからすると、数ある構成要素の一つであってこれ自体がメインテーマでもなんでもないという。
 まぁミソは、主人公が本来の時間に帰還する日付が9月であること、そしてタイムトラベル先が普通だったら現代ではないいつかというものが他の作品では一般的なのに、この作品はまさにコンテンポラリーであるというところ。
 ラジオを聞いていてもタイムリーなことに新学期になって云々という話がよくあって、なんというか、自分が子供の頃には「現代っ子はひ弱」と言われたものだが、今ドキだともう突き抜けて大の大人が子供の生死まで気にする時代になったんだな…ともう半ば呆れるような状態。単に嘆いているだけで何もしないなら事態は悪化しかねないだろうから、若者向け*1にこういう作品を作ってみせたんだろうが、青春群像劇としてそれなりに整っている出来ながら、そういう背景があるんだろうなと思うと素直に楽しめない自分がいる。
 前半部分では、キャラたちやたら繊細だなとかめんどくさい連中だなとか思っていたのだが、まぁそのへん上記の通り、この作品のターゲット層がその繊細でめんどくさい連中なんだろうからさもありなんといったところ。話の構成はよく練られていて、青春モノと言ったら若さにまかせてやりたい放題で、勢いで爆発したら割とやりっぱなしという側面があるが、ケツ持ちを丁寧にやってる感じ。後半は割とgdgdやなと思いながら視聴してたのだが、最後で盛り上げどころはきちんと盛り上げているし、風呂敷もきちんと畳んでるのできっちり〆たなというところ。
 自分なんで主人公が会ったばかりの葵の絵に、なんの精神的なつながりもないはずなのにいきなり色が見えたのかずっと不思議に思っていたが、最後の最後で種明かしをしてくれてフツーに感心した。相互相補的に影響し合うって主張も恩着せがましくなく感じられて、そのへんいろいろ濃淡はあるが、基本爽やか青春テイストなのが心地よい感じ。
 P.A.ワークスと言ったら、社会問題を取り上げることに前向きな割には突き抜け具合が中途半端って感じなのだが、この作品に関して言えばその中途半端さが逆に良い効果を発揮してるんかなという気はした。あと自分のようなおっさんにはちょっと目に毒な感じ。まぁそれも上記の通り、この作品全然おっさん向けではないので。

*1:主題歌のタイトルに「17才」とあるからもう間違えようがない