魔装学園HxH 第11話

 シルヴィア、死んでしまうのかと思ったよ。
 これだよ、これ。もしかするとこのまゝアホアニメとして終わってしまうのかもと思っていたゞけに、視聴開始当初に期待していた要素が見つかってようやっと安堵したというか。というか、第一話の段階からそういう構造が示されていたのに、今更気づくなんて自分もつくづくアホである。
 まづね、冒頭の廃墟同然の東京で、生命力を吸い取られている東京人の描写からしてワロタ。こんなの中流であるという幻想を見せられて過酷な労働環境で搾取されてる日本人そのものじゃんという。吸い取られたエネルギーは現状の日本を考えたらおそらくアメリカが想定されているんだろうなとも思ったんだけど、冷静に考えてみればそんなことはないわな。だって現状の日本で、日本人同士を分断させて搾取してウマウマしている日本人の組織とはなにかなんて、もう明らかといってよいほど明らかだもんな。
 こう千鳥ヶ淵が絶体絶命なときに現れたのは誰か?、しかもまるっきり強くてびっくりしたのだが、これはさすがにちょっと考えてシルヴィアだとわかった。これまたワロタのも、敵を倒して自機を核爆発させる時にシルヴィアが出した背徳武装の形がまるっきり棺桶だったこと。もうこれみてあーこりゃシルヴィア自己犠牲のパターンだなと思ってた。戦車が走る棺桶だとか潜水艦がモロ棺桶だとかというのと一緒であって、しかし結末に拍子抜け。とはいえその結論を見たらなぜそうしたのかは明らかであって、これは先の大戦の特攻の強烈なパロディだから、単純に自己犠牲として描くのではなく、逆説的に描くことによってそうしてるんだなと気づく仕掛けになってる。先の大戦であれば、隊長の指示は今回のように無理をするなというのではなく、まさしく自分が死んでも敵を食い止めろ、すなわち玉砕しろというものであり、すべてが逆転した構造になっている。
 そして、空輸されてきたブツがまんま慰安所なのがこれまた強烈。そして中で行われる行為もまんまそのまゝなのが飛び抜けてクールなのはそうなのだが、やはり逆転した構造になっていてそのへんアイロニーが利いている。先の大戦では、騙すなり強制的になり植民地や本土の貧困地帯から連れてこられたわけなんだが、この場合志を同じくする同じ組織の心の通い合った仲間同士で行為が行われるわけであって、これが先述した通り第1話から示されている構造でもある。特権構造の維持のために国民が使い捨てにされた先の大戦と違って、仲間なり自分の居場所を守るなりの理由が明らかになっていて、本人たちが別に自己犠牲を伴わない形で納得して戦っているという構図になっている。
 まぁだから靖国でなくて、千鳥ヶ淵なんだなということではあるのだが、そのへんやはり単なるエロ小説ではなくてそういう構造が評価されて受賞していたんだろうなと納得できるものにはなっている感じ。戦いの際にキャラの表情が萌えではなく燃えになっていたことからしても、本話こそがキモであるのは明らか。で、コレを示してしまったら、あと話を続けていくのはしんどいだろうなという気がする。