ハイスクール・フリート 第5話

 特筆すべきは病室での切り替えのシーン。
 これだよ、コレって感じ。職務として励まなければならないこと、守らねばならないことはあるんだけど、こうなんていうか、先輩後輩関係が何より優先されるこの世界の歪さが端的に表現されているのが肝。これがよいところでもあるのだが、それ以上に弊害が大きく、この構造こそが意識して取り除かないと先の大戦の悲劇を招くという箇所。組織の論理を超えて尚大切にしなければならない絆ってのは確かにあるんだけど、一歩間違えばそれこそが諸悪の根源ともなりうるところで、先の大戦を反省しなければならないとすればまさにこの一点に絞られるのではないか?というところ。難しいところだけども、その一番ともいえる急所をどう扱うか、今のところ好意的に描写していながら白黒はっきりさせていないように見える。もちろん羅針盤艦橋での艦長に各クルーが詰め寄る場面でかなりの問いかけ・提示をしているから決してストーリースタッフがそのことに無自覚ではないということが窺えるんだけど、両立をさせてくるのだろうからそのへんはまぁといったところ。アンビバレンツな選択を迫るからこそ物語として光るのだが、まぁ今ドキの視聴者の歓心を買わなくちゃ…だろうから、あまりスタッフを責めてもなぁというのはある。海洋モノゝの醍醐味は、舞台が一般社会から隔離というか隔絶しているからこその人間関係の濃密さと、冷静というよりは冷酷な判断との選択にあるとは思うんだけど、視聴者に媚びてちゃその辺の特色を失うことにはなるんだよな。が、表現の場が一般枠でのドラマだとかアニメだとかという段階で妥協というかまさに視聴者に媚びる方向性を選択せざるを得ない点でしんどい仕事だとは言える。
 しかしなんだなぁ。いくら視認可能な距離での砲撃だから命中率はよいにしろ、初斉射から命中弾で、その後も各斉射ごとに命中弾がありってのも驚異。噴式魚雷ってなんだよ、そんなの海中で魚雷化するよりそのまゝミサイルとして直接目標を目指すほうが反撃も難しいし命中率もいゝだろという。なんかツッコみどころも多くてせっかく状況や問題点の切り取りがそれなりによくても台無しにしている部分も多くてわけわからん。