Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 0〜13

 1のほうを一気見してた。いやもう驚きというか、人形劇の進化を目の当たりにして、ひょっこりひょうたん島ぐらいの意識しか無かったのを打ち砕かれた。第1話の最初の方は、武侠モノってこうなのかーとか当たり前に受け取りながら視聴してたが、そういや虚淵脚本だったなと思い直す。さすがに武侠モノを研究してライティングしているだろうから大外しはしてないだろうが、そういうのが念頭にあると日本的な考えもあるのかなという気がしてしまう。何より自分が武侠モノをまともに読んだことがないので、本場と比べてどうなのかを論ずることすらできない。
 中国メイドだろうからと思っていたのだが、同じ中国でも台湾という話。出てくるのはほんの僅かだが、それでも現れる中国語は普通語とは違っているのだけはわかるが、なにせ台湾語を知らないのでそのへんはなんとも。
 最初視聴し始めて違和感があったのだが、それがストーリー進行の遅さ。台詞は間断なく配置されているのだが、ジャパニメーションを見慣れていると、こんなに話が進むのが遅いのかというのを思い知らされる。とはいえ半分ぐらい見終えると慣れるのでそのへんは時間の問題。というか、この時間こそが本来の人間の活動時間に合わせたテンポなんだろうなと思う。
 ストーリーは、まぁ主要キャラがオッサンなので、やれ成長モノというのとは一線を画すのだけども、そのへんは脇役の若者キャラに背負わせてはいるが、そこはさすがにメインではない。物語上のミッションはあって、確かにそれに向けて進行していくんだけど、テーマはそこにはなく、因果関係というよりは相関関係に焦点があたっているというか、口はぼったい言い方をしなければまさに「人間の生き様」がメインになっていると思う。主役級キャラは正体が伏せられていて、それがクライマックスで明かされるからそのへんの盛り上げ方はさすがといったところ。こういうの日本では流行らないのかねぇ。確かにこんなのばっかだったら暑苦しいことこの上ないけど、そうはいってもこの熱量の多さは圧倒される。まぁ自分にとっては日本のアニメだと昨今こんなに連続して視聴しようかというほどのものはないかなという感じ。
 まぁ映像の素晴らしさは見てくれっていうしかないというか、別に書いてもよいけど、百聞は一見にしかずだ。そこでお薦めしたいのが特番も視聴すること。あの人形の動きがどうやって作られているのか、撮影現場も収録されていてこれが面白い。自分は本編の前に特番を視聴したけど、本編を視聴して一通り感心したらその答え合わせとして、後から特番を視聴するのも悪くはないと思う。特番も他のみたいに感想も仕事モードで表情作ってますってんじゃなくて、作っていて面白かったよという熱量が伝わってくる。
 2のほうもとりあえず放映は終わったみたいだが、1ともどもあまり評判になったというふうにも見えないんだが、ちょっともったいない感じ。昨今の人形劇を知らない人にとっては、少なくともこんな世界があるんだなとびっくりすること請け合いなので、一見の価値は大いにアリだと思う。