サクラクエスト 第25話

 終わってみればなかなかにしてよかったかも。
 難しいところだけども、人がやれる範囲のことを描き、その中で実現しうる範囲でおさめていたのかなといったところ。もちろんフィクションだから物事そんなにうまくいくはずないよってところは差し引いて考えるべきだし、町の人の心がけを変えて祭を小規模ながら復活させたって終着点はまぁそんなところだよねといた感じ。キャラに祭りは成功したと言わせてたけど、それはそのキャラの主観であって結局のところ祭が成功したのかどうかは、まづ何を持って成功したと言えるのかを含めて有耶無耶にされてると考えたほうがよいだろう。描写からは外から人を呼べたかどうかはともかく盛況でしたという感じで、人口一万ほどの町だと考えるとあんなもんじゃね?と思う。町の人の自己満足で終わったとしても、意識改革としては成功したと言えるだろうし、成功体験が得られたという評価はできる。まづまづ持って落ち着きどころは無難。
 そういうところもあるんだけど、町おこしが成功したかどうかってところに意識を向けさせながらも、そのへん視聴者にはおそらく成功したんだろうなと思わせて実質のところ…な感じになっていて、そのことに疑問を抱かせないように、終盤になるにつれキャラのドラマ部分に重きを移していたのも面白い。テーマそのものがそういうものではないといっているようなものだけれども、結局町とかコミュニティというのは容れ物であって、そのなかの構成員がどういう生活をするか?ということなので、町やコミュニティを維持する(発展させる)ために構成員がすり潰されちゃ本末転倒でしょといったところ。そのことに直接触れてはいないんだけど、最后町に残るのかそれとも外に出るのか?というので、町と自分との関係性を整理してたのが好感度高い。まぁドラマの〆ではそういう整理は珍しいことではないけども。
 なんかそもそも地域が衰退するのは地域住民のせいでは決してない、それよりも大きな流れを作っているのは国の方針だとか地域住民の力ではどうしようもないことってのはさんざん言ってきたのだが、この作品が衰退する地方に住む人たちよりはマスとして人口減少衰退社会なにそれ?といった都市部の住民に多く視聴されるってことだろうから、そのへん国が悪いだとか都市が地方を搾取するから悪いと主張しても、客を逃がすだけなんでやっぱりこういう形にするしかないんだろうなとは思う。地方に住む、人口流出で困ってなんらかの努力をしている人ほど、「地方は努力が足りない」と言われてアホかと思っているだろうし。都市部の住民がコレを見て、地方はこんなに努力しているのに実を結ばないで言われなき非難を受けてる、都市部の住民こそ自分の住んでいる地域に対して何の努力のせずに人口が多いことに胡坐をかいて地方を非難をしているという風にも思わんだろうしな。ある意味堅実に作れば作るほど問題点をスルーする人たちは多くなるってことなのかも。あんまりこの作品が評価されたってことを聞かないが、そういうことなんだろうと思ってしまう。
 ドラマとしてはメインキャラ五名の活かし方がうまくって、こうその五名に限定しなくてもいろんなキャラがそれぞれ馴染んでいく様はしみじみとした感慨がある。なんかしっとりしすぎていて、個人的にはかなりよい作品と思ってるんだけど、名作とかそういう範疇で語るのもちょっと違うなぁというところ。話題にならなかったのがつくづく惜しい作品かな。