艦これ、イヴェ後の雑感

 今回のイヴェは第1期最終を飾るという名目で、随分工数の入ったものだった。昨年の夏イヴェ、秋イヴェの最終海域と比べると幾分クリアするために工夫をすればそれなりに突破できそうな作りではあったのだが、それでもE-6最終ゲーヂ、E-7第1ゲーヂはプレイに博打要素を盛ったもので、敷居が高いものであった。
 なんというか、第1期最后だからとスタッフがいろいろがんばったのだろうが、やはりいつもの運営のあり方そのもので、「ぼくのかんがえたさいこうの…」的要素が強かった。それなりにテストプレイ(とはいっても何種類かの編成を組んでマクロで走らせたものだろうが)をやったのだろうが、いかんせんユーザーに対する制約が強すぎるというか要求が大きすぎる。もともと艦これはそれほど課金は要求しないがその代わり時間をふんだんに使わされるものだったのだが、今回はマップが複雑で、マップ拡張やら何種類ものゲーヂなどを把握するのでも一苦労。もちろん全体的に大規模なマップだから絶対的な時間数も必要。自分はマップの確認だけでも疲れてしまった。博打要素の大きいマップは今自分が採用している編成が正しいのかどうか、攻略中に「こりゃいける」という見通しが立てば修正なりをして最適化できるのだが、そうでないと自分の編成が間違っていて大幅に考え方を変えねばならないのかということにも考えが及ぶ。今の編成のまゝ繰り返して出撃すべきか、それとも別の編成をためすべきかというのを見極めるにも時間がゝゝる。これは特に秋イヴェで、純西村艦隊で出撃すべきか、潜水艦入り編成で出撃すべきかというのに当たる。こんなのが二つもあればユーザーが混乱するのは必至。
 課金要素だが、今回は女神の必要性を感じなかったし、レヴェルキャップ外しで回避が大きく向上させるということも効果的ではあるが、そうでなくても何割かの試行回数を増やすぐらいで何とかなっていたと思う。が、よくよくサーヴィス開始当初のことを思い出すと、艦これも遠くに来たもんだなぁと感じる。初期のイヴェでは割と女神攻略で時間節約ができていたように思う。女神を搭載すると装備枠を潰すのでその分不利になるのだが、特に時間のないサラリーマンあたりは女神を載せてさっさとクリアしていたような気がする。そう艦これはあまりプレイに関係しないところに課金要素があったような気がする。あの頃はお気に入りのキャラを100隻とか集めて○○提督と呼ばれていたりしたが、今はそういうのもあまり見かけない。攻略に特定キャラでルート固定や特攻効果なんてものがあるから、できるだけコンプする必要がある。なので母港枠すら初期設定のまゝの完全無課金ユーザーも実質的に排除の方向。サーヴィス開始直後は「あなたゞけの艦隊」というキャッチフレーズがあったような気がするが、前述のとおり満遍なくキャラを揃えて育成も平均的にするのが推奨という形になってる。マップに最適な艦種があるのに、敢えて独自のキャラ(西村艦隊だとか)に執着して攻略するからプレイにも独自性が現れていたのだが、今や最適のキャラに自分のお気に入りキャラを数隻混ぜる程度の自由度だ。
 難易度の選択制もユーザー間の断絶を生むもので、自分は今まで甲で攻略してきたから当然甲での攻略法しか参考にしないし、ならば乙丙(丁)の記事は余計ぐらいに感じてしまう。もちろん乙丙を選ぶユーザーは自分の持っていないレア度の大きい装備や膨大な知識を要求されるだろうから、ある程度参考にできないこともないが正直甲難易度の攻略法とかついていけなくてやっとれんということだろう。そもそも運営は新規実装したルールですら公開せずにユーザーで検証しつつ勝手に推測してユーザーで情報を共有しろという不誠実な態度なので、ユーザー間での情報のやり取りの断絶を生むやり方は一歩間違えたら命取りになるだろうぐらいに思っている。実際自分もWiki攻略サイトさんの情報がなければクリアなんて不可能。もし先行攻略組が情報を抱えてしまったらサーヴィス自体が破綻しかねない。実際こゝ最近ではWikiもある時期を過ぎれば情報の更新がされなくなっているようだし、攻略サイトさんも自分が攻略して興味があるうちはそれなりに記事の修正や更新をしているようだが、終盤になると放置というのが珍しくないし実際そうだろうと思う。上級者が甲難易度というタコ壷に入ってしまってるというほどでもないから、初心者やライトユーザーに手ほどきするという場面が無くなっているわけではないが、難易度で各ユーザーが断絶するとそういう手ほどきがなくなっていく方向性になってしまうのは仕方がないだろう。なんとも寂しい限りだし、まぁ頭打ちとはいえ新規ユーザーも敷居の高さを感じて二の足を踏むだろう。
 結局初期の頃はあまりに重課金を要求するサーヴィスが多かったのを艦これはそれほど課金要素はないよってことで客をかっさらっていたのを振り返ると、今のやり方は逆転していて商売の推移としては面白い。自分が今やっている他のサーヴィスなんかはむしろユーザーの負担を減らすようにして客離れを防いでいる傾向なので、艦これはそれらとは逆行する形になっている。
 艦これが当初ハードルを下げたのも、とりあえず登録者を増やせるだけ増やして後々ふるいにかけてカネにならないユーザーを脱落させるというそういう目論見があったのかもしれないが、大抵のソシャゲは当たるかどうかは博打であって、艦これはたしかに最初課金要素などの敷居を下げはしたがこんなに大ヒットしたのは予想外で、半年経ってサーヴィス継続のための見通しが立たなければ最后のイヴェントで絶望的なマップをやって商売は畳むって言ってたし、実際大和や武蔵などの目玉艦を初期の頃から奮発して(後になって困ったから日本艦の報酬は絞る羽目になった)たから、いくらなんでも大量集客からのふるいがけはないだろうと思う。初期の頃からサーヴィス単体で収支はとれてると発表してたし、それを思うと最近のやり方はちょっと釈然としないものはある。
 初心者といえば、甲難易度の報酬もちょっとなぁといったところ。昨年の夏イヴェでもSFMkⅢなんて初心者にも渡せばよいのにと思ってた。初心者こそ強めの装備はありがたいだろうに、それなりに強い装備を持っていて艦隊が充実しているユーザーは難しい海域でも攻略できてレア装備をその度に入手でき、そうでないユーザーは難しい海域に挑戦しづらいからレア装備が入手できなくて足止めさせられるってのは、まぁそれはそうなんだけど、両者の差が開くばかりでこれも断絶を生む原因かなと。
 前にも言ったが、所詮商売であって、運営もそれなりにカネを儲けなきゃならないし、今のやり方で成功してるんならユーザーの側で文句を言うのも筋違いで嫌ならやめろって話なんだが、なんつーか、こうユーザー間の断絶を生んで情報共有に阻害を来たしたり懐を狭くしてそっぽをむかれてもまぁそれは仕方がないよねというか、好きにしたら?というしかない。なんか思い込みや社内での上司受けを狙って必要もない機能を増やして競争に負けていった日本の家電業界になんか似ているような気がしてね。
 今までのやり方でやたらルールを複雑化して工数を増やしてるだろうからスタッフも増員していて今更縮小もないだろって感じだろうから、方向を修正するのは難しいだろうね。サーヴィスの方向性としてゲーム性の向上よりは、前にも述べたとおり敵の強さをインフレさせてこちらのほうは新規要素を追加してどんどん下駄を履かせてバランスさせるけども、その発動は博打要素にして結局のところ攻略の可否は籤引きであるってことから脱却してないから、その方向性が続くとなれば、ついていけない層は難易度を小さくしてからの脱落って傾向は続くと思う。しかしまぁゲーム性向上ってったって、それは結局情報共有で誰でもクリアできてしまうってことだから、それもなかなか方向性としては難しいんだよな。


 なんだろ、春からどうするかはっきり決めているわけでもないんだが、サーヴィスに参加してそれなりに古参であるってこともあって第1期までは最高難易度でクリアしていくのが礼儀だろうぐらいに思っていたのだが、第2期は少なくとも今まで楽しませてもらったから今後も最高難易度で取り組むって態度はさらさらなくて、運営の様子を見てがっついているようならなるべく難易度を下げるなりプレイを控える方向でいくつもりだし、それなりに穏やかになっていくようならできるだけマップの意図を汲んで取り組んでいきたいぐらいに思っている。まとめサイトさんで見たのだが、先の大戦で実艦に乗っていた人がプレイしていたらしいので、そういう人にも認められるようなサーヴィスであったらなぁと。あと、これは家族も持っていて仕事もあってという層には情報量も多いし拘束時間も長すぎで、どう考えてもそういう層向けじゃないわなといった感じ。飲み会の回数を少し減らすとか、今だとそういう時代でもないがタバコを控えて浮いたカネで楽しむってだけではとてもまともに対応できないってところ。むしろ今回は最終海域は甲を諦めてさっさと最低難易度でクリアしていったユーザーが多かったらしいのでまぁそうなるわなといった感じ。