荒野のコトブキ飛行隊視聴した

 今期あまり視聴したい新作少ないなぁと思ってそれほどチェックも確保もしてないのだが、さすがに意識している作品数が少ないのかアニメ視聴に関して手持ち無沙汰な感じ。でも過去に確保した作品を視聴するのもハードル高いなと思っていたのだが、軽めの作品だろうと目星をつけて視聴してみた。



 自分も割とこういう戦闘機というガジェットがそこそこ好きなので、視聴開始からダルいとは思っていても、他の萌え作品のようにしばらく様子見だなという感覚は実はなかった。2~3話視聴した時点で、空戦の描写が結構評価高くて、あー、これPCゲーでフライトシムが長らく静かに流行ってたから、そのへんの技術も、視聴者に対する露出の仕方もそれなりに蓄積が有るんだろうなと納得した。
 で、ふと気づくと監督が水島努ガルパンの人かと思ってそのへんは安心してたが、視聴を続けていくとどうもガルパンとは様子が違う。あちらはコテコテの萌え要素てんこ盛りだが、こちらはそういう要素が皆無とは言わないが極めて希薄。で、町議会の場が土俵様なのを見て、まぁ普通に考えてこれ日本社会の有り様そのものだし、登場人物主人公のキリエ除いてみんな日本社会の大人の生き様そのもの。萌アニメのようにキャラクターの関係性におけるドラマの盛り上がりはなくって、あるのは環境の変化の盛り上がり。キャラクターはその変化にどう対応しているのかが描かれ、群像劇の要素が強い。
 で、これ新番チェックのときはおそらく自分もわかってなかったと思うんだけど、ゲーム連動企画でアニメ1月放映、ゲームサービス開始2月らしい。群像劇にしたのはそういうことかという。
 水島努の名前を見て、兵器ものだしやはりガルパンの客も当て込んだのかなという気がしないでもなかった。ガルパン、戦車に対するこだわりは確かにそれなりに評価されるのもわかるのだが、テキストの筋はモロ萌えアニメフォーマットだった。で、おそらく年齢層広めに取っていたと思われるがついた客が「ガルパンおじさん」だったわけで、これもそういうターゲット層なんだろうなと思ったのだ。つく客が年齢層高めなんだったら、最初っから大人向けのテキストにすれば?という考えなんだろうけど、そのへんあまりうまくいったように見受けられない。確かにガルパンのほうが泣く怒る笑うなどの視聴者の感情のスイッチを押す能力は高いのだが、後から冷静になるとなんにも残らないのであって、個人的にはこの作品のようなテキストのほうが好みではある。なんのかんのいってエンタメとして成功するためには含蓄深いものを志向するよりは、幼稚な表現をうまく構成してみせるほうが大切なんだろうなという。
 一通り全話視聴してWikipediaを読んでみたが、リアリティに関しては記述の通り、リアリティ感を出しつつもデフォルメを使って見せ所を作るって感じ。そのへんのバランスは納得感ある。飛行船からの発艦はともかく着艦は無理なんじゃね?とか、空戦シーンで機首上げして進行方向に腹向けて急減速する機動とかWWⅡ時点ではなかったんじゃね?とか、峡谷内部の飛行シーンが多すぎるのにはうんざりだったんだが、本当にリアリティだけで構成したら迫力もなにもないわけで、エンタメ作品ならこのぐらいやらんと見劣りするだろうと思う。人物CGは、それほど重視しているわけでもないのだが、なんかキズナアイっぽくてちょっと薄っぺらい感じはした。アルペジオではそれほど気になっていなかったのだが、自分も贅沢になったんだろうか?。でもまぁフルで手描きよりコストを削減できるのだったら、別にこの程度の表現でも全然構わない感じ。
 この作品のテーマに関して思うところがないわけでもないんだけど、全体的な評価で言えば上述の通り、ガルパンに比べたら全然個人的な評価は高い。あちら気持ち悪いほど男キャラを排除してたケド、この作品最初っからおっさん出してて最初戸惑ったくらい。でも10年?もしくは20年前のアニメっておっさん出てて全然フツーだったんだけどな。まぁ水島努ガルパン以上の人気作にしなきゃという気負いもなかったろうし、それほど大ヒットしなかったのもある意味納得ではある。セリフに関してはマシンガントークでうるさくて落ち着きのない部分がありはするが、大人が視聴してそれなりに刺さるものがあるものにはなってると思う。