ブレイブウィッチーズ 第3話

 うーんなんだか判断が難しくなってきたなぁ。
 菅野のあり方は、子供の進路に対して壁になる親の立ち位置なり、圧迫面接官の役割なんで、物語上は別に普通のことではあるんだが、司令官あたりの言動がちょっと引っかゝる。どう考えてもいろんな可能性を試しているようにしか見えないのだが、そこまでやるもんかねという疑問が頭を離れない。即戦力を求めていながら、潜在能力に期待するってのは、現代社会でいうと何を意味してるんだろう?といったところ。アニメ業界だと割と志望者も多いし脱落者も多いだろうからそのへんの実態を反映させているのかもという気がしないでもないが、前期までゞ組織論を入れ込んだものと考えると、昨今の人手不足と若手の教育という観点があるように思えてしまう。
 即戦力を求めるといったって、基本的に今までその業界が発展もし持続をしてきたのは、最初は新業界であったはずのその分野に経験もなく取り組んだ人がいるからであり、日本が新卒重視で未だに雇用をし続けているからには、本当に即戦力を求め続けてきたわけではない。日本の学校教育システムを振り返ってみても即戦力になるような教育をしてきたわけでもなく、企業も余計な知識をつけた若者を新卒として雇ってきた。中途採用だってある企業が倒産して放出された技術者などを他の企業が取り入れてきたわけで、そうでもなかったらどこで即戦力になるような経験を積む場があるというのか教えて欲しいぐらい。即戦力になる人間は本当にラッキーな条件でしか雇われてこなかったわけであり、むしろ即戦力になるような人間はかつて勤めていた企業文化が雇うほうの企業文化にとって邪魔になるとばかりに雇われなかったこともあるぐらいで、本当に即戦力になる中途採用がそれなりに雇用の流動化の波に乗れてきたのは、スキルに汎用性が出来てからの話であって、昔は企業がポンポン人を切ることがなかったから中途採用自体が少なかったし、バブル崩壊後のリストラで首を切られた人はなかなか雇ってもらえなくて苦労した期間が長かった。雇ってもらってもその企業で培われた独自のやり方に慣れる必要があったし、ブラック労働が恒常化したら企業は教育コストを現場におしつけて経営層がその浮いた費用をネコバヾしてきたから地獄化したわけだ。でもやはりOJTなりといえども現場でなんらかの慣熟化や教育は行われてきたわけで、そのへん軍隊あたりは現場で培われたノウハウはやはり現場でこそ伝達しやすいわけであって、そのへんを反映させるって感じかねぇ。
 現状の日本を反映させた作品であるならこそ、人手不足なのになに即戦力なんて贅沢言ってんだって話になるわけで、それこそ人手不足という状態なら即戦力になる人材なんているはずないだろということになる。今回の話を見るにつけ、雁淵妹を扶桑に帰すという話ばかりしていて、じゃぁ雁淵姉の替わりを扶桑なり他の地域から補充するって話は出てきてなかったから、能力が足りない人間を入れても足手まといになるかもしれないが、人員不足で首が回らなくなるのはどう考えてんだ?ということを考えると、雁淵妹に扶桑に帰すと言い続けているのはたゞの脅しであって、どっちにしろ潜在能力を見据えてなんのかんのいって教育するんでしょ、そのための覚悟をつけさせるって効果しかなくって、結局のところ日本企業の新卒重視の方針と大して違いがないことがわかる。
 但し、大企業が卒業した学校のランクで足切りしたり、コネ採用して新卒の中身を見ずに入れ続けてきたという態度ではなく、ちゃんと現場に突っ込んで司令官以下組織のすべての意見を聞いて見極めているあたり、最近の事情を取り入れるなり(企業によってはインターンシップをなんちゃって職業体験にしてしまってるところもあれば、人物を見極める機会として十分に活用しているところもあるだろう)、先取りしているってところだろうか。今までは組織の人事課は採用に関しても目利きであったという話をほとんど聞かないし、むしろ内部統制ばかりやって現場から嫌われる足手まといの部署という位置づけであって、そういう役立たずの部署に頼るんじゃなくて全組織的に新人をどう扱うべきか?という提示であるのならば見るべきところはあるのかもとは思った。