放課後のプレアデス 第12話

 なるほど、一炊の夢ですか。
 どこが変わったのか?と思って第1話を見返してみると、第1話であおいに話しかけられなかったすばるが、第12話では話しかけることができたわけね。小さい。が、劇的に変わりましたというより、人類にとっては小さな一歩だが、すばるにとっては大きな一歩だった…ということは、なるほど現実的ではある。かけら集めの壮大な一件があのすばるのちいさな変化を引き起こしていたというのはエクスチェンヂレートゝして正当性がある。が、あまりにキャラ達が変わりたい変わりたいといっていたから、どういう変化があったのか自分は第1話を見返さなくてはならなかったから、同じように忘れてた人はそれなりにいたんじゃなかろうか。あと、みなとが白服を着てたのは今回の話で整合性がついたが、すばるが黒服だったのはどうしてなのか自分にはわからないまゝだった。
 結局元に戻ってすばるとみなとのその後は描かれなかったのだが、結局あの描写だと、やはり軽症だったみなとゝすばるは過去出会っており、その後みなとは病状が悪化して植物状態になったと見るしかないと自分は思っている。で、おそらくいつかすばるはなんかの拍子でみなとのことを思い出し、見舞ってみなとが奇跡の回復を示すとかそういう展開になるんだろうという予測をしてる。が、この作品のシステム上具体的な描写をするのは無粋だとその後の展開を予感だけで済ませたのは当然なんだけど自分的にはなんか不親切だなと思ってしまった。
 結局引っ込み思案のすばるが、プレアデス星人*1の呼びかけによってエンジンの欠片集めで成功体験を積み重ね、それで宇宙船が修復されたら元の世界に戻り、踏み出せなかった小さな一歩を進めるってことでいゝのかな。自分はやはりエンジンの欠片集め部分が本体と思ってしまうし、そこで行われるいろいろな思考実験で頭を捻らされたという感じではある。そこに宮沢賢治に触発されてあたらしい童話というか創作寓話を量子力学的知見を織り交ぜて作ってみましたというところか。物語を構成する人間ドラマの部分は質量が大きくて決して素粒子レヴェルでしか発現しない量子力学的知見を適応することなんて無理があるのだが、扱う事柄をあくまで可能性に留めて思考実験をするのは試みとして面白いとは思った。
 残念に思ったのはすばるのみなと救う発言。視聴中、あ〜やっちまったかという感慨が。メルヒェンだからさもありなんだが、やっぱりガイナックスとして視聴者サーヴィスの呪縛から逃れ得なかったかという感じ。
 個人的には埃を被っていた知識を掘り起こしてきて、この部分は量子力学のこの部分の適用…だとか推測する作業が楽しかった。別に厳密に量子力学について復習したわけではないが、量子力学の概念についてこんなに時間をかけて思いを致したのは人生のうちで今回が最大ってぐらいだと思う。

*1:それもプレアデスとは何の関係もなかったという。むしろタイトルのプレアデスは若い星だから、それはすばるたち若者を表すものだったのだろう。