Re:ゼロから始める異世界生活 第9話

 フラグ立ちまくり。
 フラグの本数も凄いが、フラグの種類も複数。なんかフツーに死に戻りなんて排除して物語を構成したほうが、そりゃオリジナリティは失われるけど、完成度は高くならないか?。まぁそのへんは難しい問題なのだが、今回の場合はスバルが普通知り得ないことを知っていることについてレムが訝しがるのだが、結局目先の危機でごまかしてレムとスバルの心理的距離が縮まっていた。これは普通に考えてもおかしい。これは監視役からすると今まで屋敷内のことは知らない振りをしてその実機密事項レヴェルのことまで知っていたのだから、これは十分に情報を調査した上で潜入した諜報員であると考えるべきこと。レムラムは上役に命じられた事柄を忠実にこなすだけの護衛ではなく、護衛を屋敷とそれ以外で分けることの危険性まで判断できるのだから優秀とみるべきで、だからこそ帰ったらいろいろ聞きたいことがあると言わせているわけなんだが、やはり激情で流してまた死に戻りをさせてごまかしてる。
 で、スバルはそういうことに無自覚であるだけでなく、綺麗事を盾に思い込みで行動しようとするのだが、またこゝではレムにスバルの行動を理由つきで一々否定して警告を発しているのに相変わらずその忠告を一つとして受け入れることもせず、後先考えない行動で結局また振り出しに戻るんだから世話ねぇなとしか。ホントスバルは学習能力が無いなぁ、この展開なんだったらおそらくまた死に戻りをさせるんだろうとぼんやり(さすがに確定ではなかった)思っていたら案の定。
 あと評価すべき点ではないのだが、オモロイと思ったのは上記一言ツッコミのフラグ管理の部分。フラグと呼ぶには弱い要素ではあるのだが、例えば死亡フラグ一つとってみても、死亡フラグを複数立てたと思ったら、死亡否定フラグも複数ポンポン立てるんだよ。自分もネット小説を初見で読んでいた際には気付かなかったのだが、こうやってアニメとはいえ二周目を自分なりに読み込んでみてわかったということではあるのだが、なんか読者をバカにしているとまでは言わないが、少なくとも原作者は自覚的にやっていると思われ、不誠実な感じを受ける。ほんでもって恋愛フラグは恋愛否定フラグをたてないんだからなんだかなぁといったところ。いや、これもレムとスバルの関係性が以後どうなっていくのかを自分は知っているからその上で二周目をあらためてなぞってあぁそうかとわかったことではある。
 うーん、でもやっぱり難しい。確かに採用しているエピソードを見る限り別に原作者のライターとしての能力が低いとも思わないし、上記で述べたとおり普通の感動ポルノを完成させたらそれなりにクォリティの高いものを作れるじゃんとは思う。だが、しんどいのはそういう旧来の構造を採用したところで、同じような作品より頭一歩ぬきんでることは難しいということだ。だから新要素を考えなければならない。そのオリジナリティの部分が死に戻り(別にリセマラ構造ものが原作者のオリジナルというわけではないが)であって、作劇能力とオリジナリティの合体があまりにも稚拙だったというだけの話。前回も述べたとおり、別にネット小説なんだから完成度が高いだけの王道作品を発表するのではなく、クォリティは低くても実験的な作品をいち早く発表して評価を貰うというのは全然構わない。すべての要素について考えつくして、それで完成度を出来る限り高めた上で作品を世に問いたいのであれば、なろうで発表せずに、出版社の賞に応募したり持込みをすればよいが、そこまでやらなくてもネットで十分と考えるなら、これはたゞで読める小説としたらそこそこ面白い部類には入ると思う。とはいえ、サイトが「小説家になろう」なのであって、やはり人気が出たら色気が出て小説家になってもいゝかなと思っていても不思議は無い。なろうのサイトは雑誌編集者がざっと目を通しており、新人発掘の場所扱いされ実際に商業化された小説もあるので、そのへん原作者はなれるものならなってもという夢を見ていてもなんら不思議は無い。少しぐらいは色気があるんだろうが、とはいえ商業作品に格上げされたときのことも考えてすべてに気を配る必要は全然ないし、そのへんやりたい要素を躊躇無く入れてトコトン実験でも何でもしてくださいってなもんだが、でもいったん商業化するというのだったらやはり修正なり書き直しは必須だろうなとは思う。