Re:ゼロから始める異世界生活 第8話

 相手の信頼を勝ち取り、警戒を解くことこそ間諜が目指すものだと思うが。
 うーん、なんというか、今回は割とフォーマット部分が迫力に繋がった感じ。行き詰ったスバルが空回りしているさまをエミリアが心配し、スバルの感情が噴き出すわけなんだが、これはリセマラの無い現代人が苦労の末に吐き出したい弱音でも持っていようもんなら間違いなく感情移入できる部分。これはむしろ自分的には原作を読んでいるときには、自業自得ぐらいに感じていて、こうやってアニメ化されて映像による感情のスイッチを入れ、声優の演技などもあってちゃんとカタルシスを感じさせるものになってると感じた。あのエミリアによる労いの言葉は過労状態の現代人にとって切望しているものであって、そのへんはなんとも時宜に適している。
 しかし、冷静に考えてみると、スバルは何度も死に戻りをしてエミリア達との経験が蓄積されているが、エミリアにとってみれば、盗品窟で偶然出会った見知らぬ少年が、なぜか盗まれた徽章を何の目的があってかエミリアに返すために必死になって命まで失いかけており、恩に感じたから屋敷に連れて面倒見てるけど基本行動原理がわからない怪しい人のはず。エミリアはスバルが彼女のために何度も力を尽くし、失敗の後何度も死に戻りをしたなんてわかってないから、その彼が空回りしているからといってあそこまで彼に寄り添おうとするかね?という疑問は残る。読者にはスバルの数度とない努力が蓄積されるような構造になっているが、これはなんかズるい手法であって、ちょっと冷静な読者であれば、このような疑問は感じるはず。が、面白いことにこれが現実社会における「陰徳を積む」という構造になっており、エミリアは逆にその構造内では道化役でしかないのだが、視聴者は彼が報われる姿に喝采を送ることが出来るようにはなっている。スバルの今までの死に戻りの繰り返しによる献身さはエミリアにはちっとも知覚出来てないわけで、そこでスバルに示される優しさはせいぜい空回りしている彼にしかたがないからやってやったぐらいの意識しかないわけで、彼が報われたと感じたのであればそれは勘違いでしかないのだが、但し、それはこの死に戻りをスバルに強制している外部のものがいるとすれば、そのような存在(神とか世界とか)から彼に与えられたご褒美にはなっている。で、確かに読者(視聴者)はその外部(神とか世界とか)と同じ位置に立っているんだよな。
 いやなぜかエミリアがスバルに気を許している姿からレムラムはどうも彼を信頼する境地に至ったみたいな謎の展開になっているように見える。で、ロズワールの館に忍び寄る呪術師のお話に移っていくようだが、今までスバルを襲うロズワール側とはっきり区別をつけていなかったようなので、ちょっとわかりにくい。このへんの区別は原作では割としっかりしてたように思う。物語の軸のひずみからすると問題にする程度のものでもないが、なんか結構迷走しているかも。