SHIROBAKO 第24話

 みんな揃って大団円。
 ちょっとした危機を織り込んで乗り越えるってのはカタルシスの演出ということだろうから普通の最終回っていったところ。大体言いたいことは前話に言ってるからそれほどあるわけではないんだけど、まぁ割と全年齢層あたりに訴求力がある作りで出来は良い。要するに幼児向け番組でも脚本に保護者向けのメッセーヂも込められているのと同じ。アニメに興味のある中高生〜仕事に慣れる段階の社会人若手あたりが主なターゲット層であって、そういうのは宮森周りの主人公〜監督までの現場を固めるメインキャラあたりに感情移入してくださいってところ。割と年取った視聴者向けに社長や杉江の言葉が理解できるように作ってある。逆に中高生や若手は社長や杉江の言動はせいぜい若手に理解ある長老ぐらいにしか見えなくて、年齢層高めの視聴者は大抵社長や杉江の言動の意図がわかるようになっている。でもって、どの視聴者にもアニメ製作の現場が臨場感を持って疑似体験できるという仕掛け。
 お仕事紹介モノだから多少説教臭くなるのはそうなんだが、そういうのをあまり意識させずにあくまでトラブルを乗り越える流れに自然に仕込まれていて、そのへんいろんな意味でバランスが取れている感じ。自分は2〜3話ぐらい視聴して友人に感想を聞いたら、「ブラック労働を美化すんなよ」という言だったが、それも言われて気付く程度であって、振り返ってみても美化と言われたらそうなんだがあからさまではないのでそれがこの作品の価値を大いに減ずるというものでもないとは思った。が、キャラには実在のモデルがいて、



 と、実際にアニメ業界はやはり生き残りが厳しくて脱落していくのがあたりまえではあるわけで、そのへんはやはり雰囲気が上向きに作られてはいる。が、厳しい現実を描いたところで視聴者は果たして何を動機にこの作品を視聴するのか?を考えると、別に業界の痛々しさを追体験したいがためでもないだろうということもあって、そのへん無難というしかない。別にアニメ業界志望の中高生を騙して厳しい業界に引きずり込むのが目的でもないだろう。
 よくできてはいるのだが、かといって作品が強いメッセージを持つというほどのものでもない。普通の業界紹介モノ(はたらくおじさん)とせいぜい労働者に対しての応援歌といったところで、個々に突き抜けたものがないわけではないんだけど、作品全体を貫いて視聴者に届いてくるものはなかったかな。どの年齢層が見てもそれなりに楽しめるし自分もお勧めできる作品であることは十分に認めるけど、名作に近いおもろ+という評価かな。バランスの勝利といったところ。