冴えない彼女の育てかた 第6話

 あぁ、これか、こゝがサビだったんだ…。
 ようやくこの作品の見所にぶちあたった様子。ちょっと前に、「ストーリーをオリジナルにすればキャラはテンプレにせざるを得ず、キャラをオリジナルにすればストーリーはテンプレにしなくてはならない」というのを読んでいたから、この作品が、ストーリーもキャラもテンプレじゃんと思いながら視聴してた。が、冷静に考えてみると、いちおう加藤はキャラとしてはオリジナルであって、ストーリーは期待できないんかなという風になるが、ちょっと今回は気合が入っていたと感じた。
 過去の主人公が霞ヶ丘のテキストをフライングしなかったのは大ファンだからというのが直球勝負で、これでちょっと驚いた。この作品がメタ構造主体だから、今までの流れで、「おいおい、このテンプレどおりのストーリーでそれを今言いますか」みたいなツッコみもありながら、しかし、今まで主人公が作りたい「オレ様の考えた最強の〜」のをバカにして視聴者は眺めていたわけで、フックとしては十分。これで主人公に(この作品で言うところの)クリエーターの素質があると提示し、主人公がブレストで訴えかける主張で明快な言語化を行い、一皮剥ける様子を描く流れは勢いもあってか惹きこまれた。これは霞ヶ丘を媒介に、「状況が主人公の才能を引きだした」という流れを作り出しており、霞ヶ丘の元プロットがテンプレだけでなく噴飯ものであるというところから変化を生み出して視聴者の頭にパンチを食らわせるという形になってる。で、もしかしたらこのクリエーターの情熱を視聴者に伝えるというのがこの作品の一つのメッセージなのかなと思わせるものがあった。
 とはいえ、本当の名作からすれば正直この作品の位置はそれほど高くないのは相変わらずで、それでも別に自分はすべてが新機軸で構成もすばらしいものを期待していなかったのもあって、これでも十分この作品を視聴した甲斐はあったかなという感じはしている。作画もこの段になっても崩れないのは優秀。すくなくとも原作者が今ドキの流行を把握した上で、何がラノベにとって必須な条件であるかをわかっていて、それでもなにか自分なりの何かを表現というか生み出すために、今回の台詞にもあった苦闘をしているのか、原作者だけでなく、一定数のクリエーターの格闘ぶりを描き出したその意気は買いたい。